ナイジェル・アーネスト・ジェームズ・マンセルOBE(Nigel Ernest James Mansell OBE、1953年8月8日生まれ、ウスターシャー州アップトン・アポン・セバーン出身)は、イギリス出身のレーシングドライバーで、F1世界選手権(1992年)とCARTワールドシリーズ(1993年)の両タイトルを獲得した。両タイトルを同時に保持したのは史上唯一の人物であり、デビューシーズンにCARTのタイトルを獲得したのは彼が初めてである。90年代初頭、マンセルは特にイギリスのメディアから「Our Nige」(通称:アワー・ナイジ)」の愛称で親しまれていた。

経歴の概要

マンセルは若年期からモータースポーツに親しみ、フォーミュラ・レースで頭角を現してF1に進出した。F1ではロータス、ウィリアムズ、Ferrariなどトップチームで活躍し、常に積極的で観客を魅了する走りを見せた。F1でのキャリアは通算15シーズンに及び、トップレベルのレースに参加した最後の2シーズンはCARTシリーズで過ごした。

F1での歩みと実績

F1における通算勝利数は31勝で、当時のイギリス人ドライバーとして最も成功を収めた一人に数えられる。勝利数では当時、ミハエル・シューマッハ、アラン・プロスト、アイルトン・セナに次ぐ位置にランクされていた。マンセルは決して冷静一辺倒のドライバーではなく、豪快なオーバーテイクや猛烈な追い上げで知られ、観客からの人気も高かった。

1992年はウィリアムズに所属し、技術的に優れたマシンを手にしたことで圧倒的な強さを発揮しF1ワールドチャンピオンに輝いた。この年の活躍により彼は国際的な評価を確立し、長年にわたってF1史上の実力者として語られている。解説者のマレー・ウォーカー氏は、歴代F1ドライバーのトップ10に入ると評しており、アメリカのスポーツテレビネットワークESPNも歴代ドライバーのランキングで高く評価している。

CART挑戦と二冠達成

1993年、マンセルはアメリカのCART(インディカーに近いオープンホイールシリーズ)へ転向し、ニューマン/ハースなどのチームで参戦してデビューシーズンにシリーズ制覇を成し遂げた。この達成により、F1とCARTの両タイトルを保有した史上唯一のドライバーとなり、異なるカテゴリで即座に結果を残した点が高く評価された。アメリカのサーキットやレース形式にも素早く適応し、幅広いドライビング能力を示した。

引退後と遺産

現役引退後もマンセルは名声を保ち、シニア向けのレースやチャリティイベントに参加するなどモータースポーツ界との関わりを続けている。GPマスターズシリーズへの参戦や、2007年5月6日に行われたシルバーストーンでのスクーデリア・エコッセGTレースチームとのワンオフ契約でナンバー63のFerrari430 GT2をドライブしたこともある。

マンセルはその激しいレーススタイルと勝利への執念によって、多くのファンと後進ドライバーに影響を与えた。タイトル獲得や勝利数だけでなく、国際的に通用するドライバーとしての実績と、観客を沸かせる走りで長く記憶される存在である。