リチャード・ポール・アストリー(Richard Paul Astley、1966年2月6日生まれ)は、イギリスのシンガー、ソングライター、ミュージシャンである。イギリス、ランカシャー州ウォリントンのグレートサンキーで生まれ、マージーサイドのニュートン-ル-ウィローズで育った。アストレイはデンマーク人の妻レネ・バウサガーと娘のエミリーとともにロンドンのリッチモンドに住んだこともある。
経歴と活動の流れ
若い頃から地元のクラブやバンドで歌や演奏を行い、1980年代半ばにプロデューサーのピート・ウォーターマンの目に留まったと言われている。その後、当時人気の制作チームであったStock Aitken Waterman(ストック=エイクン=ウォーターマン)と組み、シングル「Never Gonna Give You Up」で1987年にデビューした。
デビュー曲「Never Gonna Give You Up」はたちまち世界的なヒットとなり、複数の国でチャート1位を獲得した。これに続くデビュー・アルバム『Whenever You Need Somebody』も商業的に大きな成功を収め、アストリーは1980年代後半のポップ・シーンを代表する存在となった。
1990年代前半には一時的に音楽活動をセーブし、家族との生活に専念するために公の活動を減らした時期がある。その後は断続的に音楽活動を再開し、2001年にはアルバム『Keep It Turned On』を発表。2016年には自身の年齢にちなむアルバム『50』で本格的なカムバックを果たし、UKチャートで上位に入るなど再評価を受けた。以降もスタジオ録音やツアーを継続している。
代表曲と「リックロール」現象
代表曲「Never Gonna Give You Up」は、リリース後はもちろん長年にわたり親しまれてきた曲だが、2000年代半ば以降にインターネット・ミーム「rickrolling(リックロール)」として再び注目を集めた。これは、別のコンテンツに見せかけて同曲のミュージックビデオへ誘導するいたずら的な仕掛けで、世界中で拡散した。アストリー本人はこの現象を概ね好意的に受け止め、時にイベントやメディアでそれをネタにするなど、ミーム化によって新たな世代のファンを獲得した。
音楽性と評価
アストリーは豊かで深いバリトンの声を持ち、ポップス、ダンス・ポップ、青い目のソウル(blue-eyed soul)などを横断する歌唱で知られる。初期はStock Aitken Watermanによるダンサブルでキャッチーなプロダクションが特徴だったが、後年はより成熟したソングライティングやバンド志向のアレンジを取り入れている。商業的成功のみならず、長年にわたる知名度と親しみやすさから音楽界での存在感を保っている。
主要ディスコグラフィー(抜粋)
- Whenever You Need Somebody(1987)— デビュー・アルバム
- Hold Me in Your Arms(1988)
- Free(1991)
- Keep It Turned On(2001)— 活動再開後の作品
- 50(2016)— カムバックを印象づけたアルバム
- Beautiful Life(2018)
私生活と人物像
プライベートでは家族を大切にすることで知られ、長期にわたり公私のバランスを保ちながら音楽活動を行ってきた。人柄は穏やかでユーモアを交えた対応が多く、ファンやメディアに対しても親しみやすい印象を残している。
遺産と影響
リチャード・アストリーは、一曲の大ヒットとその後の長期的な活動を通して、1980年代ポップの象徴的存在であり続けている。インターネット文化による再評価(リックロール)は彼のキャリアにユニークな第二の波をもたらし、クラシックなポップ楽曲が時代を超えて影響を与え得ることを示した好例となった。