ヘルプ!は、1965年のビートルズ主演の映画であり、映画の主題歌、サウンドトラック・アルバムの名前でもある。監督は、彼らの処女作『ハード・デイズ・ナイト』と同じリチャード・レスターで、前作のモノクロ作品に対して本作はカラー撮影が用いられた。ジョージ・マーティンは、アルバム用のビートルズの楽曲と映画用のレコーディング(主にバンド演奏パート)をプロデュースしている。
概要
『ヘルプ!』はコメディ色の強いアドベンチャー映画で、ビートルズの軽快な音楽とスラップスティックな演出を融合させた作品。物語は、偶発的に巻き込まれたリヴァプール出身の若者たち(ビートルズのメンバー)が、古代の宗教集団や陰謀などに翻弄されるという筋立てで、ポップカルチャーと風刺を交えた映像表現が特徴的である。
制作と撮影
リチャード・レスターはテンポの速いカット割りやコミカルな演出で知られ、本作でもその手法を踏襲した。スタジオ撮影を中心に行われたが、一部ロケーション撮影も実施され、映像的にはよりカラフルで動きのある作品になっている。レスターの演出はビートルズのスクリーン上の自然な魅力を引き出し、前作とは異なる映画的冒険感を強調している。
音楽とサウンドトラック
映画に使用された楽曲群はバンドの音楽的成長を示す内容で、タイトル曲「Help!」はジョン・レノンの私的な告白めいた歌詞を含む曲として知られるほか、ポール・マッカートニー作の「Yesterday」など多彩な楽曲が収録されている。映画本編ではビートルズの演奏シーンに加え、映画用のオーケストラ・スコア(映画音楽のための編曲)が用いられたが、これらの映画用スコアはビートルズ本人以外の作曲・編曲家が関わっている部分もある。アルバムの制作ではジョージ・マーティンのプロデュースが中心となり、スタジオ録音のクオリティが高められた。
主な登場人物とキャスト
ビートルズの4人(ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター)が本人役で出演し、脇を固める俳優としてエレノア・ブロン(Eleanor Bron)やビクター・スピネッティ(Victor Spinetti)らが参加している。レスター作品におなじみの顔ぶれや、映画的な演技とバンドの自然なやり取りが見どころの一つだ。
反響と影響
公開当時は興行的に成功し、批評家からは賛否両論の評価を受けた。音楽映画としてのスタイルや映像表現は後のミュージシャン主演映画やミュージック・ビデオ表現に影響を与え、ビートルズ自身の音楽的転換(より内省的・実験的な方向への移行)を示す一端とも見なされる作品である。
収録曲(UKオリジナル・アルバム)
- "Help!"
- "The Night Before"
- "You've Got to Hide Your Love Away"
- "I Need You"
- "Another Girl"
- "You're Going to Lose That Girl"
- "Ticket to Ride"
- "Act Naturally"
- "It's Only Love"
- "You Like Me Too Much"
- "Tell Me What You See"
- "I've Just Seen a Face"
- "Yesterday"
- "Dizzy Miss Lizzy"
※アルバムと映画のサウンドトラックには版本や地域(UK/US)による違いがあり、映画用のオーケストラ曲や編曲が別途存在する点に注意が必要である。