Choix des plus belles fleurs(「最も美しい花の選択」)は、フランスの植物画家ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ(1759年7月10日 - 1840年6月19日)による水彩画集である。フルタイトルはChoix des plus belles fleurs et de quelques branches des plus beaux fruits. Dédié à LL.AA.RR. les princesses Louise et Marie d'Orléans (1827)で、フランス語の献呈文が付く。英語ではおおむね「Selection of the most beautiful flowers and some branches of the finest fruits」と訳される。

刊行と構成

本書は1827年にパリで発行されたフォリオ版で、カラー図版を特色とする。1827年5月から1833年6月までの間に分冊(リヴレゾン)方式で刊行され、合計144葉の図版が印刷された。作品は36のパートに分かれており、各パートには花、花木、果実を描いた図が4枚ずつ収められている。こうした分冊刊行は当時の美術・博物図譜の常套手段であり、購読者は部分ごとに受け取って全巻を揃えていった。

制作と技法

ルドゥーテは精密で写実的な描写と優れた色彩感覚で知られ、Choix des plus belles fleursでも植物学的な観察に基づく正確さと、画家としての美的表現が両立している。原画は水彩を基礎とし、当時の版行では彩色版画(銅版画やエングレーヴィングの刷りに手彩色を施すなど)が用いられることが多かった。結果として、科学的資料としての価値と美術作品としての魅力を兼ね備えた仕上がりになっている。

意義と受容

本作はルドゥーテの代表作群(たとえば『Les Roses』や『Les Liliacées』など)と並び称され、19世紀の植物図譜の中でも特に高く評価される。学術的には標本や植物学的記述を補完する図版資料として参考にされ、美術史的には優雅な線描と繊細な彩色が作品の価値を高めた。現代でも主要な図書館や美術館、個人収集家によって所蔵・展示され、古書市場でも人気の高いコレクションである。

補足情報

  • 刊行当時の献呈先は「ルイーズとマリー・ドルレアン王女たち(princesses Louise et Marie d'Orléans)」で、上流階級や学術界で好評を得た。
  • 全36パート×4図=144図版という構成は、図譜としての網羅性と分冊による入手のしやすさを両立させている。
  • 現在、図像は学術研究・復刻や複製の題材としても用いられているため、美術愛好家のみならず植物学者にも参照されることが多い。