同軸ケーブルは、特殊な電気ケーブルで、主に信号の伝送に使われます。ケーブルは内部の導体を絶縁体で覆い、さらに導電性のシールド(外側導体)と外被(ジャケット)で保護する多層構造を持つため、一般に硬めで扱い方に注意が必要です。現在は家庭用のケーブルテレビや衛星受信、監視カメラ、無線機器の給電・受信線として広く使われています。かつてはコンピュータネットワーク(例:10BASE2、10BASE5)にも使われましたが、21世紀に入ってからはツイストペアケーブルや光ファイバーが普及し、用途が変化しました。
構造(内部の各層)
同軸ケーブルは中心から外側へ次の構成要素でできています。
- 内側導体:信号を運ぶ芯線。単芯(ソリッド)または撚り線(ストランド)で、材質は銅、銅めっき鉄(CCS)、銅被覆鋼(CCS)など。
- 誘電体(ダイエレクトリック):内側導体と外側導体を絶縁する材料。発泡ポリエチレン(PE)や固体PE、PTFE(テフロン)などがあり、比誘電率は伝搬速度(velocity factor)や特性インピーダンスに影響します。
- 外側導体(シールド):編組(ブレイド)や箔(フォイル)、またはその併用で構成され、外来ノイズの遮蔽と同時に帰線路として機能します。シールドの密度や材質で遮蔽性能が変わります。
- 外被(ジャケット):PVC、PE、または低煙非ハロゲン(LSZH)などの材料で被覆し、機械的保護や耐候性を提供します。
動作原理と特性
同軸ケーブルでは信号を運ぶ電磁界が内側の導体と外側導体の間の誘電体領域にほぼ限定されます(理想的には外側の空間には広がらない)。このため外部の電磁界と干渉したり、外部へ電波を漏らしたりする可能性が低く、結果的にノイズ耐性が高くなります。これが同軸ケーブルが高周波信号や広帯域信号の伝送路として好まれる理由です。
主な電気的仕様
- 特性インピーダンス(Z0):代表的には50Ω(無線・通信機器用)と75Ω(映像・ケーブルテレビ用)。送受信機とケーブルのインピーダンスを一致させることが重要です。
- 減衰(挿入損失):周波数と長さに依存し、dB/100mなどで表されます。周波数が高くなるほど損失は増えます。
- 伝搬速度(velocity factor):光速に対する割合で表され、誘電体の種類で決まります(例:PEで約0.66〜0.85)。
- SWR(整合)と反射:インピーダンス不整合があると反射が起き、SWRが悪化します。特にアンテナ接続や長距離伝送で重要になります。
種類と規格(代表例)
同軸ケーブルは用途や性能に応じた多数の型番・規格があります。一般的な例:
- RG-6:家庭用ケーブルテレビ・衛星用でよく使われる75Ωケーブル。
- RG-59:古くからの映像用(短距離)75Ωケーブル。高周波での損失がやや大きい。
- RG-58:無線・ネットワーク(かつての薄型イーサネット)で使われる50Ωケーブル。
- LMRシリーズ(例:LMR-400):低損失で屋外・アンテナ接続に使われる同軸ケーブル。
- その他:50Ω/75Ωのプロフェッショナル向けタイプ、耐油・耐熱・耐候性ジャケットを持つ製品など。
国際規格(IEC)や軍事規格、RG番号などで性能指標が定められています。
主な用途
- 家庭用・商用のケーブルテレビ配線や衛星(BS/CS)受信
- 無線機・アマチュア無線のアンテナフィーダー(50Ω)
- 防犯カメラ(CCTV)の映像伝送(75Ω)
- 試験測定器やRF機器の接続(同軸試験ケーブル、50Ω)
- 放送設備、基地局設備、医療機器など高周波信号が必要な分野
コネクタ(代表)
- Fコネクタ:家庭のテレビ・ケーブルテレビで一般的(75Ω)。
- BNC:試験機器、ビデオ機器で広く使用(50Ω/75Ωの両方のタイプあり)。
- N型:高周波での使用に強く、屋外アンテナ接続など(50Ω)。
- SMA/SMB:マイクロ波帯の機器や小型無線機器で使用(50Ω)。
利点と欠点
- 利点
- 外来ノイズに強く、安定した高周波伝送が可能
- シールドにより電波漏洩が少ない
- 構造が単純で様々な用途に適応可能
- 欠点
- 柔軟性が低く、太いケーブルは取り回しが難しい
- 長距離では損失が大きくなる(光ファイバーに劣る)
- 接続(コネクタ処理)によっては性能が劣化しやすい
施工・運用時のポイント
- 指定の最小曲げ半径を守る(被覆破損や反射の原因になる)。
- コネクタの取り付けはメーカー推奨の工具・手順で確実に行う。
- 屋外配線は耐候性ジャケット、接続部の防水処理、アース/雷対策を行う。
- 用途に合わせたインピーダンス(50Ωか75Ωか)を選ぶ。混在すると反射や損失が増える。
- 長距離伝送や高周波での使用では低損失タイプを選定する。
まとめ
同軸ケーブルは、内側導体と外側導体の間に電磁界を閉じ込めることで高周波の信号を安定して伝送できる便利なケーブルです。家庭のケーブルテレビから専門的な無線機器、放送・計測機器まで幅広い用途で使われていますが、用途に合った種類(50Ω/75Ω、シールド形状、損失特性)と適切な施工が重要です。ケーブルの選定やコネクタ処理を誤ると干渉や信号劣化の原因になるため、用途や周波数帯域に適した製品を選んでください。

