コピーレフトとは|GPL・CC BY-SAで学ぶ自由ソフトとコンテンツのライセンス

コピーレフトとは何かを初心者向けに解説。GPLやCC BY‑SAで学ぶ自由ソフト・コンテンツの権利と実務、再配布ルールをわかりやすく紹介。

著者: Leandro Alegsa

コピーレフトとは、フリーコンテンツやフリーソフトウェアのライセンスにおける方針で、著作権制度を利用して作品の「自由」を保護・継承する仕組みです。コピーレフトは著作権の反対ではありません。むしろ著作権を用いて、利用者が「使用・複製・改変・再配布」などの自由を享受できるようにし、その自由が派生物にも受け継がれること(同じ条件で配布されること)を義務づけます。

コピーレフトのライセンスは、単に「何かを禁止するために著作権を使う」ものではなく、著作権を逆手に取って受け取る人にも同等の権利を保障するために使います。したがってコピーレフトは「著作権がない」という意味ではなく、むしろ著作権を使って権利の行使条件を定める一形態です。コピーレフトと、変更や再配布の制約が少ないいわゆる「寛容(パーミッシブ)」なライセンスの両方は、書籍や美術、音楽、ソフトウェアなど様々な表現物に適用できます。たとえば本や論文、絵画、楽曲、プログラムなど(例:書籍美術音楽ソフトウェア)に使われます。

コピーレフトの重要な点は、ある人がコピーレフトで配布された著作物を他者に譲渡・販売・再配布する場合、受け取った人が元の著作物の作者から与えられた自由(利用・改変・再配布の権利)を行使できるようにしなければならない、という点です。たとえば、誰かがコピーレフトでライセンスされた本をあなたに渡し、あなたがそれを改変して新しい本を作った場合、あなたはその新しい本を元の作品と同じライセンス(同等の自由を維持する条件)で配布しなければならないことが多い、という意味になります。

主な特徴と利用者の義務

  • 同一条件の継承(Share-Alike):派生物を配布する際に、元の作品と同じ(または互換性のある)ライセンスで配布することを要求します。
  • 著作権表示とライセンスの明示:元の著作権表示やライセンス文を保持し、利用者に知らせることが求められます。
  • ソースの提供(ソフトウェアの場合):バイナリで配布する際には対応するソースコードを付けるか、入手方法を提示する義務がある場合が多いです(ライセンスによる)。
  • 帰属(Attribution):多くのコピーレフト系ライセンスは作者への帰属表示を要求します。

種類と代表的なライセンス

コピーレフトには強いものと弱いものがあります。強いコピーレフト(例:GNU一般公衆ライセンス)は、プログラム全体にわたって同じ条件を適用することを意図しており、他のコードと組み合わせる場合でもその影響が広がります。一方、弱いコピーレフト(例:LGPL)は、ライブラリとして利用される場合にリンク先のプログラム全体に同一条件を強制しないなど、適用範囲が限定されます。ネットワーク経由の利用も対象に含めるタイプ(例:AGPL)のライセンスもあります。

コンテンツ分野では、クリエイティブ・コモンズの表示-継承(CC BY-SA)がコピーレフトに相当します。これに対して、MITやBSD、Apacheのようなライセンス(ソフトウェア)や、CC BY(表示)やCC0(パブリックドメイン志向)のようなライセンスは、より寛容な(パーミッシブな)ライセンスとして扱われ、派生物に同じ条件を要求しない点でコピーレフトとは性質が異なります。

互換性・法的側面・誤解

  • 互換性の問題:異なるコピーレフト条件を持つライセンス同士は併用できないことがあり、複数のライセンス条件を満たす必要が出ると実務上の制約になります。
  • 「ウイルス性」という表現:コピーレフトの性質を批判的に表すために「ウイルス的」と呼ばれることがありますが、公式には「相互帰属(reciprocal)」や「同一条件の継承(share-alike)」と表現される方が正確です。
  • 法的執行:ライセンスは契約的・著作権的な根拠で執行されます。各国の法制度により解釈や執行の仕方が異なるため、重要なプロジェクトではライセンス条項を専門家と確認することが推奨されます。

まとめると、コピーレフトは著作権を放棄するものではなく、むしろ著作権を利用して作品の自由(利用・改変・再配布)を確保し、それらの自由が下流に受け継がれることを義務づけるライセンス設計です。代表的なコピーレフトの例としてはGNU一般公衆ライセンスや、コンテンツ分野でのクリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンスがあります。用途や目的に応じて、どのライセンスが適しているか、ライセンス文をよく読み理解した上で選ぶことが重要です。

コピーレフトのシンボルマーク。著作権マークの鏡像です。Zoom
コピーレフトのシンボルマーク。著作権マークの鏡像です。

質問と回答

Q: コピーレフトとは何ですか?


A: コピーレフトとは、フリーコンテンツやフリーソフトウェアのライセンスの一種で、著作権を利用して、何かを変更したり、与えたり、販売したりすることを禁じるものです。

Q: 著作権とどう違うのですか?


A: 著作権は通常、何かを変えたり、与えたり、売ったりすることを禁止していますが、コピーレフトは著作権を使ってこれらの行為を許可しています。

Q: コピーレフトは本や音楽のような文書にも使えるのですか?


A: はい、コピーレフトもコピーレフトでない(「寛容な」)ライセンスも、本や音楽のような文書に使うことができます。これらのライセンスは常に、人々が著作物を変更し、他の人々に与えたり販売したりすることを認めています。

Q: コピーレフトはパブリック・ドメインと同じですか?


A: いいえ。しかし、どちらもコンテンツのライセンスに関係しているという点では、関連しています。コピーレフトはライセンスの一形態であり、パブリックドメインは誰もその作品の権利を所有していないことを意味します。

Q: 人気のあるコピーレフトのライセンスの例にはどんなものがありますか?


A: GNU General Public LicenseやCreative Commons Attribution-ShareAlikeライセンスが代表的な例です。

Q: 著作者の作品をコピーレフト・ライセンスのもとで使いたい場合、作者の許可が必要でしょうか?


A: はい、コピーレフト・ライセンスのもとで作品を使うには、作者の許可が必要です。


百科事典を検索する
AlegsaOnline.com - 2020 / 2025 - License CC3