コル・アングレイングリッシュ・ホルン)は、木管楽器の中でもダブルリードの楽器に属します。外観や奏法はオーボエによく似ていますが、胴体が長くベルが大きいため、より低く、温かみのある音色が特徴です。

特徴

コル・アングレはオーボエの仲間ですが、以下の点で明確に区別されます。

  • 音色:胴やベルの形状、リードの形状の違いによって、オーボエよりも柔らかく、哀愁を帯びた「こもった」音色になることが多い。
  • 形状:ベルは一般に洋梨のような膨らみを持ち、これが鼻にかかったような鋭さを抑え、豊かな中低域を生みます(そのためコル・アングレの音は、鼻で演奏しているようには聞こえません)。
  • 構造:リードはダブルリードで、オーボエと同様ですが、リードは楽器本体ではなく短い金属の管(ボッカール、英: bocal)に差し込んで使います。

音域と移調

一般的にオーボエの最低音はB♭(ミドルCのすぐ下)とされます。コル・アングレはオーボエよりも長いため、より低いを出すことができます。

重要な点はコル・アングレがF管の移調楽器であることです。実際には「書かれた音より完全五度低く」聞こえます(すなわち、書かれたCは実際にはその下のFに聞こえる)。この点はしばしば誤解され、減五度(diminished fifth)と混同されることもありますが、コル・アングレは減五度ではなく完全五度で移調します(減五度は半音を除いた音)です。)。

書かれた運指はオーボエとほぼ同じで、オーボエを演奏できる奏者は比較的スムーズに移行できますが、ボッカールやリードの違いで吹奏感や反応は変わります。使いの面では共通点が多いものの、音の出し方や息の使い方は調整が必要です。

奏法・リード・メンテナンス

コル・アングレのリードはオーボエ用リードよりやや大きめで、リードの形状や硬さが音色・反応に大きく影響します。プロの奏者は自作リードを使用することが多く、ボッカールの長さや角度も音程や音色に影響を与えるため微調整されます。

メンテナンス面では、木製モデルは湿気や温度の変化に敏感で、定期的なオイル塗布やひび割れ対策が必要です。一方、プラスチック/樹脂製のモデルは耐久性が高く、学校や屋外演奏向けに使われることがあります。

レパートリーと使用例

オーケストラや室内楽で印象的な独奏パートを任されることが多く、代表的な例としてドヴォルザーク『新世界より』第2楽章のイングリッシュホルンのソロ(しばしばこの楽器の代名詞のように扱われる)や、ラヴェル、シベリウス、マーラー、ベルリオーズなどの作品に重要なソロが登場します。映画音楽や現代作品でも独特の色彩を与えるために用いられます。

まとめ

コル・アングレは、オーボエに似た操作性を持ちながら、より低く豊かな表現ができる独特の木管楽器です。移調楽器(F管)として書かれた音より完全五度低く鳴る点、リードとボッカールによる奏法の違い、そして温かく叙情的な音色が特徴で、オーケストラの中で重要な色彩を担います。