Crelle's Journal(クレレズ・ジャーナル)は、月刊で発行されていた数学の論文掲載を目的とする歴史的な雑誌で、1826年にAugust Leopold Crelle(アウグスト・レオポルト・クレレ)がベルリンで創刊しました。創刊年は1826で、ドイツ語の正式名称は「Journal für die reine und angewandte Mathematik」(英語ではJournal for Pure and Applied Mathematics)です。誌名は創刊者の名にちなみ英語圏ではしばしば「Crelle's Journal」と呼ばれ、数学の純粋・応用両分野を広く扱う場として19世紀以来重要な役割を果たしてきました。
歴史と影響
クレレは1855年に亡くなるまでこの雑誌の編集を担当し、同誌は19世紀を通じて非常に重要な研究成果を多数掲載しました。掲載された論文の中には数学の発展に大きな影響を与えたものが多く、特に初期から中期の数学の発展(解析学、数論、代数、幾何、後には集合論や抽象代数学の基礎づくり)に貢献しました。たとえば、ニールス・ヘンリック・アベル、ジョージ・カントール、ゴットホルド・エイゼンシュテインなど、多くの著名な数学者が本誌に論文を発表しています。
1856年から1880年までは編集をカール・ヴィルヘルム・ボルヒャルトが引き継ぎ、その期間は英語で「ボルヒャルト・ジャーナル」と呼ばれることもありました。以後も編集者や出版社は時代とともに変わりましたが、本誌は長年にわたり数学界における主要な論文発表の場であり続けています。現在の編集者はRainer Weissauer氏(Ruprecht-Karls-University, Heidelberg)です。
本誌の意義は、単に個別の重要論文の掲載にとどまらず、研究分野の交流と新しい理論の普及を促進した点にあります。多くの歴史的な巻号は大学図書館やデジタルアーカイブで保存・閲覧可能で、現代の研究や歴史的研究にも重要な資料を提供しています。また、創刊以来の継続性から、現存する数学雑誌の中でも最古級のものの一つと見なされています。
参考として、本誌に関する研究史や各巻の索引、代表的な寄稿者の一覧などを参照すると、19世紀から20世紀にかけての数学の発展を追ううえで非常に有用です。学術研究や歴史研究、数学教育の資料としても広く利用されています。