弩(クロスボウ)とは?定義・歴史・構造・用途をわかりやすく解説
弩(クロスボウ)の定義・歴史・構造・用途を図解でやさしく解説。仕組みや種類、使用法・特徴、史実まで初心者でも理解できる完全ガイド
クロスボウ(別名:弩、アーバレスト)は、プロッドと呼ばれる弓状の横材と、矢を載せる横向きの本体であるストック(操作者が保持する銃床)およびトリガー機構からなる弓の一種です。弓の引き力を機構で保持しておけるため、発射時には短い矢(一般にボルトと呼ぶ)を非常に大きな力で打ち出すことができます。
歴史の概略
クロスボウの起源は古代にさかのぼります。特に中国では紀元前5世紀ごろの文献や出土品により、すでに構造の整った横弓(弩)が使われていたことが確認されています。一方、地中海世界でも投射機や機械化された弓に類する装置が発達し、ギリシャ・ローマ時代にかけては腹弩(ガストラフェテス)や大きな機械式投射器(しばしばarcuballistaと呼ばれる)などが知られています。
中世ヨーロッパでは、クロスボウは特に中世の兵器として広く普及しました。十字軍はもクロスボウを戦場で用いた記録があり、アラブ側の文献ではクロスボウをqaws ferengi、すなわち「フランクな弓」と呼んでいた例があります。鋼製のプロッドや複合プロッド、巻き上げ装置(クランクやウィンドラス)の導入により性能は向上し、鎧貫通力の高さから兵士や狩猟用として重宝されました。
構造と仕組み
- プロッド(弓体):横方向に取り付けられる弓の部分。材質は木、角、複合材、近代では鋼やグラスファイバーなど。
- ストック:プロッドを支え、ボルトを載せる本体。射手が抱える部分で、レール(トラック)により弦とボルトの位置を一定に保ちます。
- トリガー機構とナット(ボルトを保持するフック):「コック」した(弦をかけた)状態を保持し、トリガーでナットを解除して弦を放ちます。多くの近代クロスボウは安全装置を備えています。
- 発射体:短い矢であるボルト(弩矢)。弓矢(ロングボウの矢)より短く太めで、安定性と貫通力を重視した設計です。
- 装填補助装置:弦をかけるのが重いため、ベルトフック、ゴートフット、クランク(クレインキン)、ウィンドラスなどの機構が用いられます。
長所・短所(通常の弓との比較)
- 長所
- 高い発射力:プロッドを高張力にできるため、ボルトの初速が高く、近距離では高い貫通力を発揮します。
- 比較的習得しやすい:狙いを定めたまま保持できるため、射撃精度は比較的短時間で向上しやすいです。
- 安定した照準:ストックとレールによりボルトの位置が安定するため、精密射撃が行いやすい。
- 短所
- 装填に時間がかかる:プロッドが硬いため、連射性で劣ります(ただし装填補助で改善されている機種もあります)。
- 射程・弾道特性:プロッドが短く弾道が早く落ちるため、長距離の効果は必ずしも優れておらず、ロングボウのような長射程・直進性に勝るとは限りません。
- 重量と携帯性:大型のクロスボウは重く、長時間の携行や素早い展開には不向きです。
用途と現代での位置づけ
歴史的には戦闘や城攻め、狩猟に使用されました。現代では以下のような用途があります。
- 狩猟:一部の国や地域で狩猟用具として合法的に利用されています(法規制は国・地域によって大きく異なります)。
- スポーツ・射撃競技:ターゲット射撃や歴史再現イベント、射撃クラブでの練習などで用いられます。クロスボウ射撃は今日ではポピュラーなスポーツとなっています。
- 研究・展示:博物館や学術研究で、歴史的な武具としての研究・復元が行われています。
安全性と法規制
クロスボウは威力がある道具であるため、保管・取り扱いには注意が必要です。多くの近代クロスボウは安全装置(セーフティ)やスコープ、矢止めなどが備わっていますが、事故防止のため次の点に注意してください。
- 使用前の点検:弦やプロッド、ナット、レールに損傷がないか確認する。
- 取り扱い教育:正しい装填・照準・発射・収納方法を学ぶこと。
- 法規制の確認:国や地域によっては所持・販売・狩猟での使用が制限または禁止されている場合があります。購入・所持前に必ず該当する法令を確認してください。
まとめ
クロスボウは、短い学習期間で高い命中精度と強力な打撃力を発揮できる射撃具です。古代から現代に至るまで、戦闘・狩猟・スポーツと多様な分野で役割を果たしてきました。一方で装填時間や携行性、法的規制など留意すべき点もあります。趣味や競技、歴史研究などで取り扱う際は、安全対策と各地の法令を守ることが重要です。
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弓を射る射手の絵
質問と回答
Q:クロスボウとは何ですか?
A: クロスボウ(アーバレスト)は、プロッドと呼ばれる弓状の円弧とストックと呼ばれる十字型の本体とトリガー機構で構成される弓のことです。ストックと呼ばれる木片は、2つの交差する木片の上に取り付けられています。クロスボウは、ボルトと呼ばれる矢に似た短い矢を射る。
Q: クロスボウが最初に作られたのはいつですか?
A: クロスボウは、戦国時代の紀元前6年頃、中国の人々によって初めて作られました。
Q:他に誰がクロスボウを発明したのですか?
A: ギリシャ人が紀元前4世紀に独自のクロスボウを発明し、arcuballistaと名付けました。
Q: なぜ中世にクロスボウがそんなに人気があったのですか?
A: クロスボウは中世に非常に人気がありました。強力で正確、そして鋭い射撃の武器として使用できたので、当時の多くの軍隊で非常に人気がありました。
Q: 良質のクロスボウはどれくらいの威力があるのですか?
A: 良質のクロスボウは鎧を貫通するほどの威力を持ち、鎧のない軽装の相手には一発で致命的な威力を発揮します。
Q:普通の弓と比較して、クロスボウを使う利点と欠点は何ですか?
A:クロスボウは普通の弓に比べて、より強く、より正確に射ることができるので、正確な射撃を習得しやすいですが、短いプロッドが非常に硬いため、普通の弓より装填に時間がかかり、ロングボウより射程距離が短くなります。
Q:現代のクロスボウには安全機構がありますか?
A:はい、現代のクロスボウはクランクやウインドラスなど弦を引くための機構や、弓を装填する際に誤射を防ぐための安全機構を備えているものが多くあります。
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