Elephants Dreamは、ほとんどがオープンソースソフトウェアで作られたショートムービーです。Blenderは、この映画を作るために使われた主なプログラムです。2005年9月に制作を開始し、2006年3月24日に公開されました。最初にOrangeという名前で開発され、その後Machinaに変更され、最終的にElephants Dreamに変更されましたが、これはMachinaの発音が決まらなかったためです。ムービーの長さは11分です。
制作の背景
Elephants DreamはBlender Foundation(ブレンダーファウンデーション)による最初の「オープンムービー」プロジェクトで、オープンソースの制作パイプラインを実際の商業作品に近い形で検証・公開することを目的としていました。プロジェクトは、Blender本体の機能改善や、アニメーション制作に必要なワークフローの整備を促すための実験的な意味合いも持っていました。
あらすじ(概略)
物語は、機械的で奇妙な世界(しばしば「マシン」と呼ばれる)を舞台に、二人の登場人物──年長の案内者プローグ(Proog)と好奇心の強い青年エモ(Emo)──の対話と葛藤を中心に進みます。プローグはマシンの構造や作動の仕組みを熟知しており、エモは外の世界や別の見方に興味を持っています。映像は象徴的で抽象的な演出が多く、テクノロジーと認識、支配と自由といったテーマを寓話的に描いています。
技術と制作手法
- モデリング・アニメーション・レンダリングの大部分はBlenderで行われ、当時のBlenderの開発版やプラグインを活用してさまざまなパイプラインの検証が行われました。
- 制作中に得られたシーンデータ、設定ファイル、テクスチャ、アニメーションデータなどは後にコミュニティ向けに公開され、教育用や研究用の素材として広く利用されました。
- 映像表現はフォトリアルというよりスタイライズ寄りで、ライティングやカメラワーク、セットデザインによって雰囲気を強調する手法が多用されています。
公開・ライセンス
作品は2006年に公開され、映像本編とともに制作で使われたプロジェクトファイル一式がオープンに配布されました。ライセンスはクリエイティブ・コモンズ(指定の条件下)での公開となり、学習・再利用が可能な形で提供された点が大きな特徴です。これにより、他のクリエイターや開発者が実際の制作データを分析・改変・再利用できるようになりました。
評価と影響
公開後、技術的な到達点と「制作データを丸ごと公開する」取り組みは高く評価されました。一方でストーリーや人物描写の解釈が分かれやすく、観客によって賛否両論がありました。いずれにせよ、本作は後続のBlender Foundationによるオープンムービー(たとえば『Big Buck Bunny』『Sintel』『Tears of Steel』など)に大きな影響を与え、オープンソースによるクリエイティブな共同制作の好例として知られています。
補足
- 上映時間はおよそ11分。
- 主要な登場人物はProog(プローグ)とEmo(エモ)。
- 現在でもDVDや各種動画配信、Blenderコミュニティのアーカイブから本編および制作ファイルを入手できます。
Elephants Dreamは、単なる短編アニメーションとしてだけでなく、ソフトウェア開発とクリエイティブ制作を結びつけるモデルケースとして、今もなお参照されることの多い作品です。

