エリザベス・クロスは、2009年に創設され、第二次世界大戦後に敵の行動やテロリズム、またはそれらに関連する状況で死亡した軍人の近親者に授与される英国の公式な追悼の印です。授与対象となる死亡は一般に1948年以降に発生した事案が対象とされ、受領者には亡くなった人を追悼するための記念品が渡されます。受賞者には、故人の氏名と死亡年月日が記されたメモリアルスクロールが付属しており、女王の署名(創設当時はエリザベス2世の署名)が入っています。
この賞は、勇気や勇敢さを称えるための個人的な勲章(いわゆる戦功章)ではなく、戦死者の家族への追悼と敬意を表するものです。デザインは四つの等しい腕を持つ十字架で、各腕の先端にはグレートブリテンおよび北アイルランドを構成する各国を象徴する国花(例:イングランドのバラ、スコットランドのアザミ、北アイルランドのシャムロック、ウェールズのダフディルなど)があしらわれています。十字の背後には月桂の花輪が配され、裏面には故人の名前が刻まれます。さらに、正式な大きさのメダルに加えて、礼装用とは別に日常や式典で着用できる小型のミニチュア(リプリカ)が同封されます。
ジョージ・クロス以来、英国の君主の名を冠した比較的新しい栄誉であり、勲章自体は君主の追悼の意を示すものです。授与は国防省(Ministry of Defence)が管理しており、受領権を持つ「近親者」は一般に配偶者・シビルパートナー、親、子などに限定されます。授与の手続きや受け取り方法(案内・儀式での授与、郵送での送付など)は状況に応じて国防省が調整します。
エリザベス・クロスはあくまで追悼のための記章であり、故人の勲章や功績を示すものではありません。また、メダルおよびミニチュアは原則として受賞した近親者のみが着用することを想定しており、他人が無断で着用することは不適切であり、場合によっては法的な問題や社会的非難の対象となります。実務上は、近親者への授与と保護を重視するため、取り扱いに関するガイドラインや注意事項が国防省から示されています。
要点としては、エリザベス・クロスは遺族に対する国家的な追悼の象徴であり、形状や付属品(メモリアルスクロール、ミニチュア)を通じて故人を記憶し、家族に連帯と敬意を示すことを目的としています。具体的な授与対象や手続き、儀礼的な扱いについては、国防省の公式発表や関連する指針を参照するのが確実です。