地質学では、ケイ素、酸素、アルミニウム、ナトリウム、カリウムなどの軽元素に富む珪酸塩鉱物、マグマ、火成岩を指す言葉としてフェルシック(felsic)が使われます。英語の語源は「feldspar(長石)」と「silica(珪酸)」に由来し、珪酸(SiO2)やアルカリ成分に富むことを示します。
定義と化学組成
フェルシックは化学的には珪酸(SiO2)含有量が比較的高い岩石群を指します。一般的な目安として、SiO2含有量が約63 wt%以上のマグマ・岩石がフェルシックに分類されることが多いです。組成的にはNa、K、Alが豊富で、Fe、Mg、Caなどの重い元素は比較的少ない点が特徴です。したがって、化学的性質は、苦鉄質岩と反対側にある。
代表的な鉱物
- 石英(Quartz):純粋なSiO2で、珪長質(felsic)岩の重要な構成鉱物。
- 長石(Feldspar):K-長石(正長石・微斜長石など、アルカリ長石)とNaに富む斜長石(アビサイト〜オリゴクレース域)が多く含まれます。
- 白雲母(Muscovite):高アルカリの条件で生じやすく、花崗岩などに見られます。
- 少量の黒雲母(Biotite)や角閃石が伴われる場合もありますが、全体としては淡い色調になります。
代表的な火成岩
- 深成岩(粗粒):花崗岩(Granite)、花崗閃緑岩(Granodiorite)、トーナライトなど。
- 火山岩(微粒〜斑晶質):流紋岩(Rhyolite)、デイサイト(Dacite)など。
- 分類には深成岩ではQAPF図、火山岩では化学組成に基づくTAS図が使われます。
物理的性質と火山活動上の特徴
- 色は淡く、比重は概ね3.0以下で軽い傾向にあります。
- フェルシックマグマは粘性が高く、ガスを閉じ込めやすいため、爆発的な噴火(プルームや火砕流)を起こしやすいです。
- テクスチャーは深成岩では斑状〜粒状(ファネリティック)、火山岩では斑晶を持つ斑状(ポルフィリック)やガラス質になることがあります。
生成過程と地殻での役割
フェルシック岩石は、主に大陸地殻の主要構成要素です。生成過程としては次のようなものがあります。
- 既存の岩石の部分溶融(特に大陸地殻の変成・融解)によって生じることが多い。
- 深部での分化(分別結晶)により、マフィックマグマからアルカリ成分と珪酸分が残存して進化した結果として生じる場合もあります。
利用と地質学的意義
- 花崗岩は耐久性が高く、建築材(石材)として古くから利用されてきました。
- フェルシック岩体は鉱床(例:貴金属やスカルン関連鉱床など)の母岩となることがあり、経済的にも重要です。
- 地球の大陸地殻はフェルシック成分が豊富であるため、地殻進化やプレートテクトニクス研究で中心的な役割を果たします。
まとめ
フェルシックは、珪酸とアルカリ成分に富み、淡色で比重が小さい鉱物および岩石群を指します。代表鉱物は石英やアルカリ長石、Naに富む斜長石、白雲母などで、花崗岩や流紋岩などが典型例です。マグマの粘性が高く爆発的な噴火と関連しやすい点、そして大陸地殻の主要構成要素である点が重要な特徴です。



