マフィックとは、マグネシウムと鉄を豊富に含む珪酸塩鉱物または火成岩を表す形容詞です。語源は英語の "mafic"(magnesium + ferric)に由来し、マグネシウムと鉄に富む性質を示します。
特徴
マフィック鉱物は一般に色が暗く(黒色~暗緑色)、金属元素を多く含むため比重が大きいのが特徴です。例えば、比重が3以上になる鉱物も多く、見た目や密度でフェルシック(珪長質)鉱物と区別できます。マフィック岩はシリカ(SiO2)含有量が比較的低く、マグネシウム(Mg)や鉄(Fe)が相対的に多い化学組成を示します。
代表的な鉱物と岩石
一般的な岩石を形成するマフィック系鉱物としては、以下のようなものがあります。
- カンラン石(オリビン)— マフィックおよび超マフィック岩で重要な一次鉱物。
- 輝石 — 単斜・斜方輝石を含み、暗色で高温で結晶化する。
- アンフィボーレ — 水酸基を含む複雑な鉱物群で、マフィック岩に見られることが多い。
- 黒雲母などのミカ(例:黒雲母〈バイオタイト〉)— 暗色の片麻岩や火成岩中に現れる。
- オーガイト(一部の輝石)や、カルシウムを豊富に含む斜長石(アノーサイト側)— 斜長石については斜長石長石などが当てはまる。
代表的なマフィック岩には、一般的にマフィック質岩には、玄武岩やガブロが含まれます。玄武岩は火山岩(表成岩)、ガブロは深成岩(貫入岩)であり、組成はよく似ていますが、結晶の大きさや生成環境が異なります。
化学・鉱物学的な位置づけ
化学的には、マフィック岩は、いわゆるフェルス質岩とは成分面で対立するスペクトル上にあります。シリカ含有量が低く、Fe・Mgの割合が高いため、色指数(暗色鉱物の割合)が大きくなります。この用語は、大まかには、英語で言うbasic(塩基性)や基本的な岩石のクラスに対応します。
冷却・噴火の性質と生成環境
マフィック溶岩はシリカ含有量が低いため粘性が低く、流動性が高いことが多いです。一般に、マフィック溶岩はフェルシック溶岩に比べて粘度が低く、噴火時に火山ガス(H2O、CO2など)の脱ガスが容易であるため、爆発的な噴火よりも流出(溶岩流)を伴う穏やかな噴火(エフューシブ)が起こりやすいとされます。こうした性質のため、マフィック溶岩でできた火山の多くは、海洋性のホットスポットに見られるようなハワイの溶岩のような盾状火山を形成することが多いです。
生成・分類上の補足
マフィック岩は海洋地殻の主要成分であり、特に海嶺やホットスポット、沈み込み帯における部分溶融で生成されます。ボーエン反応系列では、マフィック鉱物が比較的高温で先に結晶化するため、マフィック成分はマグマの初期結晶分離や部分溶解過程で重要です。
さらに、マフィックよりもさらにマグネシウムと鉄に富むものは「超マフィック(ultramafic)」と呼ばれ、例としてペリドタイトやドナイトなどがあり、これらは地殻よりも上部マントルに由来することが多いです。
まとめと実用的意義
マフィック(苦鉄質)とは、主にマグネシウムと鉄に富む鉱物やそれを多く含む火成岩を指す用語で、暗色・高密度・低シリカという特徴を持ちます。地球の構造や火山活動、鉱床や建材としての利用(玄武岩の道路材料など)を理解するうえで重要な概念です。