ガラス繊維(グラスファイバー・FRP)とは|定義・製造法・特性・用途
ガラス繊維(FRP)の定義・製造法・特性・用途を図解で解説。軽量で高強度の仕組みと産業別活用例をわかりやすく紹介。
ガラス繊維(ファイバーグラス、グラスファイバーとも呼ばれる)は、非常に細いガラスの繊維から作られた素材です。
これは、多くのポリマー製品の補強材として使用されています。この方法で作られた複合材料は、一般的に「グラスファイバー」と呼ばれている。正式名称は、FRP(Fiber-reinforced Polymer)またはGRP(Glass-reinforced Plastic)です。
ガラス繊維は、歴史上のガラス職人たちが実験的に使用してきたが、大量生産が可能になったのは、機械用のより微細な工具が作られてからである。最初に大きく使われたのは、1930年代に始まった断熱材「グラスウール」でした。
ガラス繊維は、シリカ系などの調合ガラスを繊維加工に適した小径の多数の繊維に押し出して形成される。ガラスは他のポリマーと異なり、繊維であっても結晶構造をほとんど持たない(非晶質固体を参照)。柔らかい段階でのガラスの構造の特性は、繊維に紡がれたときの特性と非常によく似ている。
定義と種類
ガラス繊維は、幅数マイクロメートルから十数マイクロメートルの非常に細いガラスの糸であり、単独で用いられることは少なく、樹脂と組み合わせて複合材(FRP/GRP)として使われます。代表的な種類には以下があります。
- Eガラス:電気絶縁性とコストのバランスが良く、最も一般的。
- Sガラス:高強度・高弾性率を持ち、航空・軍事用途など高性能を要求される分野で使用。
- Cガラス:化学的耐食性に優れる。
- ECR(E-CR)ガラス:腐食に対する耐性を高めたタイプ。
製造法(概略)
一般的な製造工程は以下の通りです。
- 原料調合:シリカ(砂)、ソーダ灰、石灰石などを所定比率で混合。
- 溶融:高温でガラスを溶かす(約1,300〜1,600°C)。
- 押し出し(ファイバー化):溶融ガラスを多数の小穴(ブレード)から押し出して細い糸状にする。
- 引き伸ばしと冷却:所望の直径まで引き伸ばし、急速に冷却して非晶質構造を保持。
- サイズ塗布:繊維表面に樹脂と相溶性を高めるための処理剤(サイズ)を塗布。
- 集束・撚糸:ロービング、マット、クロスなどの形態にまとめる。
最終製品化では、手積み、スプレーアップ、真空注型(RTM)、圧縮成形、押出成形など多様な成形法が使われます。
物理的・化学的特性
- 引張強度・比強度が高い:軽量でありながら引張強度は高く、比強度(強度/密度)が優れる。
- 耐食性・耐候性:樹脂と組み合わせることで耐腐食性に優れる。適切な樹脂と表面処理で屋外使用も可能。
- 電気絶縁性:ガラス自体は絶縁体のため、電気的用途にも用いられる。
- 熱的特性:ガラス繊維は高温で強度が低下するため、使用温度域は樹脂の耐熱性に依存する。
- 寸法安定性:湿度や温度変化に対する寸法安定性が比較的良好だが、樹脂マトリクスの影響を受ける。
- 加工性:切削や穴あけ、接着が可能だが、粉じんや繊維飛散への対策が必要。
代表的な用途
ガラス繊維強化プラスチック(FRP)は、軽量化・耐腐食性・成形自由度を活かして多くの分野で利用されています。主な用途例:
- 船舶(ボートの船体)、自動車部品(バンパー、内装)、鉄道車両の内装部材
- 建築(外装パネル、配管、貯槽、屋根材、断熱材のグラスウール)
- 風力発電のブレードや航空機部品(E系やS系のグラスファイバーや他繊維との組合せ)
- 電気・電子:絶縁基板、ケーブル被覆、アンテナ等
- スポーツ用品:ゴルフクラブ、テニスラケット、スキー板、自転車フレームの一部
- 化学プラントの配管・タンク(耐腐食性が必要な場面)
加工・接着・仕上げ
FRPの加工では、繊維方向と積層角度を設計して力学特性を最適化します。表面はゲルコートや塗装で保護・美観向上を行い、プライマーや接着剤で他材料に接合します。接着時は、表面の脱脂・サンドペーパー仕上げ・プライマー塗布など適切な前処理が重要です。
安全性と環境面
- 作業時の粉じん・繊維飛散:切削や研磨で微細なガラス繊維が発生し、皮膚刺激や眼・呼吸器への影響があるため、防塵マスク、保護メガネ、手袋の使用が推奨されます。
- 燃焼性と煙:樹脂の種類によって燃焼特性や有毒ガス発生が異なる。難燃性樹脂や適切な防火対策が必要。
- リサイクル・廃棄:ガラス繊維は熱可塑性樹脂との組合せでリサイクルが難しい場合がある。粉砕再利用、燃料化、サーマルリサイクルなどの手法が研究されているが、地域の廃棄規制に従うことが重要。
規格・表記
FRP(Fiber-reinforced Polymer)やGRP(Glass-reinforced Plastic)は同様の意味で使われます。材料選定・設計時には、ガラス繊維の種類(E/S/C等)、繊維配向、含有率(体積比)、使用樹脂(ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ等)を明確にする必要があります。
まとめとポイント
- ガラス繊維は軽量で高い比強度、優れた耐食性と電気絶縁性を持ち、FRPとして広く使われる。
- 製造法や仕上げ、使用する樹脂の種類により性能・耐久性が大きく変わるため、用途に合わせた材料設計が重要。
- 加工時の安全対策や廃棄・リサイクル方法も考慮して選定・利用することが求められる。

光ファイバーを束ねたもの。
安全性
ガラス繊維がむき出しになっていると、手袋をせずに扱うと皮膚が荒れたり、切り傷を負ったりすることがあります。また、ガラス繊維を誤って肺に吸い込むと、アスベストと同様に、がんなどの肺障害を引き起こす可能性があると懸念されています。グラスファイバーは「人造アスベスト」と呼ばれています。グラスファイバーに代わる断熱材として、セルロースやエアロゲルなどが登場し始めています。
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質問と回答
Q:グラスファイバーとは何ですか?
A:ファイバーグラスとは、ガラスを非常に細かくした繊維でできた素材で、多くの高分子製品の補強材として使用されています。
Q: グラスファイバーから作られる複合材料の正式名称は何ですか?
A:ガラス繊維を用いた複合材料の正式名称は、FRP(Fiber Reinforced Polymer)またはGRP(Glass Reinforced Plastics)です。
Q: なぜグラスファイバーの大量生産は歴史の後半になってから可能になったのでしょうか?
A: グラスファイバーの大量生産が可能になったのは、より微細な機械用工具が生産されるようになってからです。
Q: グラスファイバーの最初の主な用途は何ですか?
A: グラスファイバーの最初の主な用途は、1930年代から始まった断熱材としての「グラスウール」です。
Q: ガラス繊維はどのように作られるのですか?
A: ガラス繊維は、シリカ系ガラスやその他の調合ガラスを、繊維加工に適した小径の繊維に多数押し出すことで形成されます。
Q: ガラスの柔らかい段階の構造と、繊維に紡いだときの特性はどのように似ているのですか?
A:ガラスは他のポリマーと異なり、繊維であっても結晶構造をほとんど持たないため(非晶質固体を参照)、軟らかい段階での構造は繊維にしたときの性質に非常によく似ています。
Q: 歴史上、ガラス繊維の実験は行われてきたのでしょうか?
A: はい、歴史上、ガラス職人がガラス繊維の実験をしています。
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