複合材料(コンポジット)とは|定義・種類・特性と用途(鉄筋コンクリート・繊維強化プラスチック)
複合材料の定義・種類・特性・用途を図解でわかりやすく解説。鉄筋コンクリートや繊維強化プラスチックの構造・性能・実用事例を網羅。
複合材料は、2つ以上の基本的な材料を混ぜ合わせて作られています。材料は天然のものであっても、そうでないものであってもよく、一緒に混合されたときには、それぞれの別々の特性を維持します。しかし、全体としての複合材料は、そのどちらかの部分とは異なる挙動をすることがあります。例えば、鉄筋コンクリート(コンクリートと鋼でできている)は、圧力に対する抵抗力と曲げ力に対する抵抗力を持っています。防弾ガラス(ガラスとプラスチックでできている)は、それ自体がガラスやプラスチックよりも耐衝撃性に優れています。
コンクリート自体は、世界で最も古くから使用されている人工材料の一つである複合材料です。
木材は、リグニンのマトリックスの中にセルロース繊維が入った天然の複合材です。最も初期の人工的な複合材料は、藁と泥を組み合わせて建築用のレンガを形成したものでした。この古代のレンガ作りのプロセスは、エジプトの墓の絵によって記録されています。
繊維強化ポリマーは、ガラス強化プラスチックと同様に、今日では広く使用されています。
複合材料の基本構造と働き
複合材料は一般にマトリックス(母材)と強化材(補強材)から構成されます。マトリックスは強化材を包み込み、形状を保ち、荷重を強化材に分配します。強化材は主に荷重を負担して材料の強度や剛性を高めます。両者の界面(接着・結合)が良好であることが、性能を発揮するうえで極めて重要です。
分類(代表的な種類)
- マトリックス別
- ポリマー基複合材料(PMC):熱硬化性樹脂・熱可塑性樹脂を用いる。例:FRP(繊維強化プラスチック)。
- 金属基複合材料(MMC):アルミニウムやチタンなど金属マトリックスにセラミックス粒子や繊維を配合。
- セラミックス基複合材料(CMC):高温環境に強い、タービン部品などに用いられる。
- 天然マトリックス(例:木材)も複合材料の一種。
- 強化材の形状別
- 繊維強化(長繊維、短繊維、不織布、編布)— ガラス繊維(GFRP)、炭素繊維(CFRP)、アラミド繊維(Kevlar)など。
- 粒子強化(微粒子、粉末)— 摩耗耐性や剛性向上に用いられる。
- 層状(ラミネート)— 異なる材料を重ねてシート状にすることで、必要な方向に強度を持たせる。
特性(長所と短所)
- 長所:
- 高い比強度(重量あたりの強度)・比剛性により軽量化が可能。
- 耐食性や耐疲労性に優れるものが多い(材料や設計による)。
- 設計自由度が高く、必要な方向に特性を持たせることができる(異方性を利用)。
- 短所:
- 製造工程や材料コストが高い場合がある。
- 破壊時に脆性破壊・層間剥離など特有の損傷モードを示す。
- リサイクル性が低い素材(特に熱硬化性樹脂)もある。
代表的な用途と事例
- 建設・土木:鉄筋コンクリートは圧縮に強いコンクリートと引張に強い鋼材を組み合わせた典型的な複合材料で、構造物の主要技術。コンクリート自体も骨材とセメントペーストから成る複合材です。
- 輸送・航空宇宙:CFRPは航空機の胴体・翼、レーシングカーや高性能自動車の車体、鉄道車両などで用いられ、軽量化と燃費向上に寄与します。
- 風力発電:大型ブレードはガラス/炭素繊維強化プラスチックで作られ、軽さと高強度が求められます。
- 海洋・船舶:FRPは腐食に強く船体や艇の材料として広く利用されています。
- 防護材:防弾ガラスのように、異なる材料を重ねて衝撃吸収性能を高める用途。
- スポーツ・医療:自転車フレーム、テニスラケット、義肢など、性能と軽量性が重要な分野。
- インフラ補修:橋梁やトンネルの補強にFRPシートが用いられ、既存構造物の延命に貢献します。
製造方法(代表例)
- ハンドレイアップ(手積み)— 小ロットや複雑形状で用いられる基本的手法。
- 真空注型(RTM)・真空バッグ加圧— 表面品質や繊維含有率を向上させる。
- オートクレーブ硬化— 高性能複合材で用いられる。
- プルトルージョン、押出成形、フィラメントワインディング— 連続成形や管状部材の製造に適する。
設計・検査・維持管理
複合材料の設計では、荷重方向に応じた繊維配向や層構成(ラミネート設計)が重要です。損傷は内部で進行することが多く、非破壊検査(超音波、赤外線サーモグラフィー、X線など)を用いて点検します。補修も専用の接着剤やパッチ工法で行われます。
環境・リサイクル・今後の課題
熱硬化性樹脂を用いた複合材はリサイクルが難しい場合がありますが、熱可塑性樹脂の採用やリサイクル技術(機械的・熱化学的処理)、バイオ由来マトリックスの開発など、持続可能性向上の取り組みが進んでいます。また、製造時のエネルギー削減やライフサイクル評価(LCA)を考慮した材料選定が重要になっています。
まとめ(ポイント)
- 複合材料は、異なる材料を組み合わせることで単独材料より優れた特性を発揮する。
- 用途に応じてマトリックスや強化材を選び、設計と製造法を最適化することが重要。
- 耐久性と環境対応(リサイクル性・省エネ)は今後の重要な課題であり、研究・技術開発が続く分野である。

複合材料の共通要素である炭素繊維のフィラメントを織り込んだ布
背景
最も原始的な複合材料は、建築物の建築に使用されるレンガの形をした藁と泥でした。聖書の出エジプト記には、イスラエルの人々がファラオに圧迫され、「藁のないレンガ」を作らざるを得なかったことが記されています。今日、私たちは複合材の一種であるグラスファイバー製のシャワー室や浴槽を使用しています。

合板は、多くの人が日常生活の中で遭遇する一般的な複合材です。
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質問と回答
Q:複合材料とは何ですか?
A:複合材料とは、2つ以上の基本的な材料を組み合わせて、個々の要素とは異なる有用な特性を持つ材料を作り出したものです。
Q: 複合材料は、どちらか一方の部品と異なる挙動を示すことがありますか?
A: はい、複合材料は全体として、その部品のどちらかとは異なる挙動を示すことがあります。
Q: 鉄筋コンクリートは何からできているのですか?
A: 鉄筋コンクリートは、コンクリートと鋼鉄からできています。
Q: 鉄筋コンクリートの特性は何ですか?
A:鉄筋コンクリートは、圧力や曲げに対する抵抗力があります。
Q:防弾ガラスは何からできていますか?
A:防弾ガラスは、ガラスとプラスチックでできています。
Q:防弾ガラスはどのような性質を持っているのですか?
A:防弾ガラスは、ガラスやプラスチック単体よりもはるかに耐衝撃性に優れています。
Q:コンクリートは何からできているのですか?
A:コンクリートそのものは、セメント、水、粗骨材、細骨材からなる複合材料です。
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