概要
流体継手(油圧継手、フルードフライホイールとも)は、循環する作動流体を用いて2本の軸の間で回転動力を伝える流体力学的装置である。直結する機械的な結合がないため、衝撃や急激な負荷を避けたい用途で、滑らかで段階的な接続を実現できる。自動車の変速機や多くの産業用駆動系で利用されてきた。
動作原理
流体継手の内部には、密閉されたケーシングの中で向かい合う2つの主要な回転要素がある。駆動側はインペラ(ポンプ)、従動側はタービン(ランナー)である。インペラが遠心作用によって流体を加速し、その流れがタービンに運動量を与えてトルクを伝える。伝達は直接接触ではなく流体の動きに依存するため、常にある程度のすべりが生じ、入力エネルギーの一部は熱として失われる。
主な構成要素と特性
- インペラ(ポンプ): 駆動軸に取り付けられ、流体にエネルギーを与える。
- タービン(ランナー): 従動軸に取り付けられ、流体からエネルギーを受け取る。
- ケーシング: 作動流体を収容し、回転要素を支える。
- 作動流体: 通常は、粘度と熱特性を考慮して選ばれる油。
歴史と発展
流体継手の基本原理は、エンジンや産業用モーターにおける動力伝達をより滑らかにするため、20世紀初頭に発展した。設計自体は比較的単純なままだが、材料、密封、流体配合の改良によって信頼性と熱容量は向上した。
用途と実用上の重要性
流体継手は、緩やかな接続と衝撃荷重からの保護が望まれる場面で使われる。たとえば、コンベヤー、破砕機、ポンプ、送風機、鉱山機械、そして一部の車両駆動系である。自動車では、初期の自動変速機において機械式クラッチの代替として用いられた。トルクコンバーターとは異なり、単純な流体継手はトルク増幅を行わないため、通常は変速機と組み合わせて使われる。定速巡航時のすべりを減らすため、ロック用クラッチやバイパス装置が追加されることもある。
利点、制限、区別
- 利点: 接続が滑らかで、機械的摩耗が少なく、過負荷保護を内在し、構造が سادهである。
- 制限: 負荷下で継続的なすべりが生じるため熱が発生し、機械効率が低下する。さらに、低速域でのピークトルクは、ステータを備える方式と比べて限定される。
- 区別: トルクコンバーターはステータを加えて流体の流れを受け止め、低速でトルク増幅を生み出すのに対し、基本的な流体継手はトルクを増幅できず、純粋な流体力学的連結として働く。