パキスタンの対外関係:歴史と主要国(インド・中国・米国)との外交概説

パキスタンの対外関係を歴史的背景からカシミール問題やインド・中国・米国との外交戦略、紛争と協力の変遷まで分かりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

パキスタンはインドネシアに次いで人口が多いイスラム教国である。公用語はウルドゥー語と英語が中心で、主要都市はイスラマバード(首都)、カラチ、ラホールなどである。核兵器を保有していることが知られている唯一のイスラム教国であり、1998年の核実験は地域安全保障に大きな影響を与えた。また、パキスタンはイスラム会議機構(OIC)の重要なメンバーでもあり、イスラム世界での発言力を維持している。経済面では農業と工業の双方が基盤であるが、貧困やインフラ不足、政治的不安定さが課題となっている。

国際組織と地域的立場

パキスタンは国連に積極的に加盟しており、国連平和維持活動への参加も長年にわたり行っている。外交政策は時に宗教的・民族的要因と戦略的利害が絡み合い、地域の安全保障や経済協力に重点を置く傾向がある。

インドとの関係

パキスタンは外交関係に問題を抱えてきた。特にパキスタンの隣国インドとの関係は長年にわたり緊張している。両国はカシミールを巡って以下のような重大な対立と戦争を経験した:

  • 第一次印パ戦争(1947–48年)— カシミール紛争の発端。
  • 第二次印パ戦争(1965年)— 両国間の全面衝突。
  • 第三次印パ戦争(1971年)— バングラデシュ(旧東パキスタン)の独立をめぐる戦争。
  • カルギル紛争(1999年)— 限定された軍事衝突。

現在もカシミール問題が両国関係の最も重要な火種であり、国境沿いの銃撃やテロ、相互不信が続いている。経済面では貿易や人の往来を通じた関係正常化の試みが行われたこともあるが、安全保障上の懸念や国内政治の影響で一進一退を繰り返している。数年前からインド共和国との関係が徐々に改善され、安全保障以外の問題にもパキスタンの外交政策が開かれてきたが、紛争や外交的対立は依然として大きな課題である。

中国との関係

パキスタンは中国と長く良好な関係を持っている。両国は「山と山が出会う友情(iron brother)」と表現されるほど戦略的な結びつきが深い。近年は特に経済協力が拡大しており、次のような特徴がある:

  • 中国・パキスタン経済回廊(CPEC):インフラ整備、道路・鉄道・電力プロジェクト、港湾(グワダル港)整備など大規模投資が行われ、パキスタンの経済成長にとって重要な柱となっている。
  • 軍事・防衛協力:装備の供与や共同演習、技術協力が進展している。
  • 外交的支援:国連や地域問題で互いに支持する場面が多く、中国はパキスタンの外交的孤立を緩和する重要なパートナーである。

この関係はインドとの対立や地域の戦略的バランスの中で、パキスタンにとって不可欠な選択肢となっている。

アメリカ合衆国との関係

パキスタンは冷戦時代の多くの期間、ソ連(後のロシア)に不信感を抱いていた。これを背景にパキスタンはアメリカ合衆国中華人民共和国の両方と関係を築いてきた。冷戦期にはパキスタンはSEATOやチェント(CENTO)といった米国主導の安全保障体制に参加し、西側との結びつきを強めた。

ソビエトが隣国アフガニスタンに侵攻した後、パキスタンと米国の同盟関係は特に緊密になった。1980年代にはパキスタンが亡命アフガン勢力(ムジャヒディン)への支援や国境管理に重要な役割を果たし、米国からの軍事・経済支援が増加した。

しかし、2001年の9.11以降の対テロ戦争では、パキスタンは米国と協力する一方で、国内の反米感情や軍と民間政府の間の対立、無人機攻撃や情報共有を巡る摩擦に直面した。米国の支援は数度にわたり変動し、援助の条件や人権・テロ対策を巡る緊張が両国関係を複雑にしている。近年は反テロ協力、情報交換、経済支援や援助削減などを巡り、協力と対立が混在した関係が続いている。

冷戦後から現代まで:地域協力と多国間関与

1964年、パキスタンはトルコ、イランと開発のための地域協力(RCD)条約に署名したが、この3カ国はいずれも米国と密接な同盟関係にあり、ソ連の拡張主義を警戒していた。RCDはイラン革命後に機能を失ったが、パキスタンとトルコのイニシアチブにより、1985年に経済協力機構(ECO)が設立され、中央アジアや近隣諸国との経済・交通協力の枠組みとなった。今日に至るまで、パキスタンはトルコと緊密な関係を保っている。

また、パキスタンは地域の移民・難民問題(特にアフガニスタン難民)、国際テロ問題、核拡散防止といったグローバルな課題にも直面しており、外交政策は安全保障、経済、宗教・文化的な要素が複合している。

アフガニスタン・イランとの関係

隣国のアフガニスタンイランとの関係も良好ではありませんと記事にあるように、両国との関係は歴史的・民族的な結びつきと境界問題、宗派対立、越境治安問題などで複雑である。アフガニスタンとの国境(ダラムザード)は不安定化や武装勢力の流入の場となることがあり、両国間の信頼醸成が外交の重要課題である。イランとはシーア派・スンニ派の緊張や経済協力、国境管理を巡る協議が続いている。

結び(今日の課題と展望)

パキスタンの対外関係は、インドとの長期的な対立、強力なパートナーとしての中国、そして戦略的利害の変動により米国と関係を調整するという三大要素によって特徴づけられる。加えて、アフガニスタン情勢、地域の経済統合、国際的なテロ対策、核拡散問題などが外交の優先課題として存在する。将来的には経済成長と安定的なガバナンスの改善が、パキスタンの外交的選択肢を広げ、地域の平和と繁栄に寄与する可能性がある。

質問と回答

Q:パキスタンの人口規模は?


A:パキスタンはインドネシアに次いで2番目に人口の多いイスラム教国です。

Q: パキスタンは核兵器を持っているのですか?


A: はい、パキスタンは核兵器を持っていることが知られている唯一のイスラム教国です。

Q: パキスタンはどのような組織に属しているのですか?


A: パキスタンはイスラム会議機構(OIC)の重要なメンバーであり、国連の活発なメンバーでもあります。

Q: その外交関係にはどのような問題がありますか?


A: パキスタンは、隣国アフガニスタンやイランとの困難な関係や、カシミール地方をめぐるインドとの緊張など、その外交関係においていくつかの問題を抱えています。

Q:パキスタンは誰と強い絆で結ばれているのですか?


A:パキスタンは中国と長く良好な関係にあり、アメリカやその他の西側諸国とも幅広い二国間関係を持ち、アメリカが提唱するCENTOやSEATOの軍事同盟のメンバーでもありました。

Q:RCDはなぜ消滅したのですか?


A:イラン革命の後、地域開発協力(RCD)協定は消滅した。

Q:ECOはどのような経緯で設立されたのですか?


A:パキスタンとトルコのイニシアティブにより、1985年に経済協力機構(Economic Cooperation Organization: ECO)が設立されました。


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