末日聖徒イエス・キリスト原理主義教会(FLDS)は、宗教団体である。19世紀から20世紀初頭にかけて、モルモン教の末日聖徒イエス・キリスト教会から脱退した。1890年、末日聖徒は一夫多妻制を認めなくなった。

歴史と成立

一夫多妻制を宗教的に重要と考え続けた一部の信徒たちが、新たに原理主義的な団体を形成しました。初期にはロリン・C・ウーリー(Lorin C. Woolley)らが旗振り役となり、末日聖徒教会本体が一夫多妻制を公式に放棄したことに反発して独自路線を歩み始めました。組織としての統一的な名称や構成は時期により変化しましたが、20世紀後半から21世紀にかけて「末日聖徒イエス・キリスト原理主義教会(FLDS)」として知られる集団が形成されました。

教義と慣行

  • 一夫多妻制(複婚):FLDSは、複数の妻を持つこと(plural marriage)を宗教的な義務、あるいは高位の救済条件の一部とみなす教義を保持しています。多くの信徒は、複婚が「昇天(天国での完全な状態)」に関わると信じています。
  • 霊的指導者(預言者)の権威:組織は強い階層構造を持ち、最高指導者(いわゆる「預言者」)の指示が婚姻や移住、生活全般に大きな影響を与えます。
  • 共同体の閉鎖性:信徒の結束や外部との接触制限、独自の教育や経済的相互扶助など、コミュニティ独特の生活様式が見られます。

居住地とコミュニティ

2009年の会員数は約10,000人と言われています。これらは、姉妹都市であるユタ州ヒルデール、アリゾナ州コロラドシティ(通称「ショートクリーク」地域)のほか、テキサス州エルドラド、コロラド州ウエストクリフ、マンコス、ブリティッシュ・コロンビア州クレストンおよびバウンティフル、サウスダコタ州プリングルに住んでいます。各コミュニティは互いに連絡を取り合いながらも、地方ごとに独自の慣行や指導体制を持つことがあります。

論争と法的問題

FLDSは一夫多妻制という実践により長年にわたって社会的・法的な注目を集めてきました。特に以下の点が問題視されています。

  • 未成年者との婚姻・結婚の強要:一部のコミュニティでは若年の少女が大人と結婚させられる事例があり、これが児童保護や刑事問題に発展したケースがあります。
  • 指導者の犯罪行為と有罪判決:組織の有力な指導者が逮捕・起訴され、有罪判決を受けた事例があり、これが組織内外で大きな波紋を呼びました。
  • 当局による捜索・保護措置:児童保護、婚姻年齢違反、性的虐待の疑いなどを理由に、捜索や一時的な保護措置が行われた例があります。代表的な事件として、テキサス州の大規模な捜査や子どもたちの一時保護が報じられました。
  • 財産管理と社会的統制:共同体内の財産や生活資源が教会指導部の管理下に置かれ、信徒の経済的自立が制約されているとする批判があります。

批判と内部の変化

外部からは、FLDSの慣行が人権・児童の権利・宗教の自由と衝突するとして批判されることが多い一方、内部からは信仰の継承やコミュニティの保護を主張する声もあります。指導者の処罰や法的措置の後、離脱する信徒や、より緩やかな原理主義グループへ移る動きも見られ、コミュニティの構造や人口は地域によって変化しています。

現在の状況と展望

FLDSは依然としていくつかの地域で活動を継続しており、信徒の暮らしや婚姻慣行は地域差があります。法的監視や社会的関心は続いており、児童保護や人権の観点からの議論は今後も続く見込みです。同時に、脱退者支援や地域社会との関係改善を目指す動きもあり、外部と内部の対話が重要な課題となっています。

参考として本記事では組織の歴史、教義、居住地、論争点を概説しました。FLDSに関する報道や学術的研究は多岐にわたるため、関心がある場合は信頼できる一次資料や複数の報道機関・研究を参照してください。