モルモン教(Mormonism)は、ジョセフ・スミスによって創設されたキリスト教の復古主義的な宗教運動である。長い間、教会員は外部の人々から「モルモン」と呼ばれてきましたが、現在は教会自身が氏名の正式化を進め、「モルモン」という呼称よりも末日聖徒イエス・キリスト教会の会員(members of The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints)と名乗ることを推奨しています。教義の多くは他のキリスト教派と共通点を持ち、自らをキリスト教徒と認めていますが、一般社会や他宗派の見解は分かれており、2007年の世論調査では回答者の約31%がモルモンをキリスト教とは見なしていないという結果が示されています。

歴史の概略

モルモン教は1830年にジョセフ・スミス・ジュニアが米国で正式に教会を組織したことに始まります。スミスは天使モロナイからの指示により金版(later translated as the Book of Mormon)を翻訳したとされる伝承を持ち、これが教義の中心となりました。初期の教会は迫害を受けながら移動を繰り返し、ブラグハム・ヤングの指導のもと多くの信者がユタ盆地に移住して共同体を形成しました。19世紀には一部の指導者による複数婚(重婚)を実践した時期があり、これが外部との対立の一因ともなりました。1890年の宣言(Manifesto)以降、公式には重婚は中止され、以降20世紀を通じて教会は世界的に伝道と組織拡大を続けています。

教義と聖典

末日聖徒教会は自らを修復(復元)教会と位置づけます。これは、初代教会がイエス・キリストによって設立された後、歴史の流れの中で真理が一部失われたとし、ジョセフ・スミスによる啓示と預言者的な指導を通じて信仰と儀式が再び「復元」されたと信じる立場です。主要な聖典は次のとおりです:

  • 聖書(旧約・新約) — 他のキリスト教派と同様、重要な役割を果たします。
  • モルモン書(Book of Mormon) — 新世界での預言者たちの記録とされ、教義の中心的聖典の一つです。
  • 教義と聖約(Doctrine and Covenants) — ジョセフ・スミスや後継指導者に与えられたとされる啓示の集成です。
  • 高価な真珠(Pearl of Great Price) — 教義や創世に関する追加的文書を含みます。

神観や救済論では、天の御父、イエス・キリスト、聖霊を区別する三位一体観とはやや異なる表現を用いること、永遠の家庭(家族)や前生の存在(前定存)・復活や栄光の階層など独自の教えを持つ点が特徴です。預言者と啓示の継続を重視し、現代の教会指導者(大管長や十二使徒定員会など)を通じた導きが重要視されます。

礼拝・儀式・実践

教会は組織的かつ典礼的な実践を持ちます。主なものは次の通りです:

  • バプテスマ — 成人の信仰告白に基づく完全沈水(完全に水中に入る)による洗礼を行います(完全に水中にいることによるバプテスマ)。
  • 聖餐(サクラメント) — 聖餐式は週ごとの礼拝で行われ、キリストの犠牲を記念します。
  • 神殿儀式 — 結婚や洗礼(代わりに行う「死者のための洗礼」など)を含む終末的・永続的な契約を取り扱う、一般公開されない神殿での儀式があります。
  • 伝道活動 — 若年層を中心とした全世界的な宣教プログラムがあり、多くの会員が期間限定で宣教師として奉仕します。
  • 生活規範 — 健康指導(Word of Wisdom)によりアルコールやタバコ、コーヒー・紅茶の摂取を控えること、十分な貯蓄や慈善(十分の一の献金)を奨励する点など。

組織と指導体制

教会はトップに大管長(教会会長)がおり、その補佐団として十二使徒定員会などの指導組織が存在します。地方には郡・支部などの単位があり、多くの指導職は無給の従事者(信徒による奉仕)によって担われます。会員活動や社会支援(福利プログラム)も組織的に行われています。

分派と規模、現代的課題

現在「モルモン」と自称するグループは約70あり、その中でも最も大きく、最もよく知られているのは末日聖徒イエス・キリスト教会です。教会は世界各地で急速に成長してきましたが、歴史的な重婚問題や、かつての人種に関する司祭職制限(1978年に撤廃)といった論争、現代の性倫理やLGBTQに関する立場など、社会的議論の的となることもあります。宗教的帰属については意見が分かれており、一部の宗教学者やキリスト教徒は末日聖徒教会をキリスト教の一派とみなす一方で、他方では教義的差異を根拠にキリスト教とは別の宗教体系と見なす立場もあります。モルモン教とバハイ教は「第四のアブラハム教」と呼ばれることもあります。

まとめ

モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)は、独自の聖典と預言者的伝統、礼拝儀式、家族中心の倫理観を持つ復元主義的な宗教運動です。歴史的に複雑な経緯と独自の教義ゆえに評価は分かれますが、世界中に多くの信者を持ち、宗教的・社会的に大きな影響力を有しています。