核融合発電とは、軽い原子核どうしを強制的に結合させてより重い原子核を作り、その過程で利用可能なエネルギーを得ることを指す。これは一般に核融合と呼ばれる。恒星の中心部ではこの反応が膨大な熱を放出する。地球上では、研究者が高温の電離状態であるプラズマを再現し、原子核が互いの反発を克服して融合できるようにしている。実験室でよく用いられる反応は、水素の同位体である重水素と三重水素で、より重い元素より低い温度で融合しやすく、また各反応で放出されるエネルギーは、原理的には電力へ変換できる。
基本的な特徴と方法
純増の発電を実現するには、核融合装置が極端な温度と閉じ込めを与え、ローソン条件に関わる要件(十分な温度、密度、閉じ込め時間)を満たす必要がある。現在の研究では、大きく分けて二つの工学的アプローチが主流である。
- 磁場閉じ込め:高温プラズマを強い磁場で整形し、閉じ込める方式。最もよく知られる装置はトカマクで、トーラス状(ドーナツ形)の容器と強力な磁石を用いてプラズマを保持する。代替的な磁場設計としては、ステラレーターや、ほかの高度な磁場形状がある。代表的な実験用トカマクには、JETのような施設が含まれる。
- 慣性閉じ込め:小さな燃料カプセルを高出力レーザーや粒子ビームで急速に圧縮・加熱し、全体が吹き飛ぶ前に融合を起こさせる方式。この路線を進める大規模レーザー施設では、短時間ながら強い核融合事象が報告されている。
歴史と発展
核融合の物理は、20世紀の恒星構造と核物理の研究を通じて初めて明確にされた。制御核融合研究は第二次世界大戦後に加速し、当初は軍事目的と民生目的の計画が並行して進んだ。熱核兵器は、核融合を制御されない爆発的な形で利用するものであり(熱核兵器)、一方で民生用核融合は、安定して制御可能なエネルギー生産を目指す。長年にわたり実験装置は大型化・高度化し、ITER計画のような国内外の協力は、将来の原子力発電所の設計に役立つと期待される、持続的で発電可能なプラズマの実証を目指している。
用途、利点、違い
核融合は、現在の核分裂ベースの原子炉に対して、いくつかの潜在的な利点を持つと期待されている。たとえば、燃料が豊富であること(海水から得られる重水素)、長寿命の放射性廃棄物がはるかに少ないこと、運転中に温室効果ガスを排出しないことなどである。想定される主要用途は中央集約的な電力供給であり、核融合の熱を蒸気に変え、その後、電気エネルギーへ変換する(電力)。ほかに、工業プロセスの熱源や、先進的な宇宙推進の概念も提案されている。
課題と研究の優先事項
数十年にわたる進展にもかかわらず、核融合が実用的な電源になるまでには、なお複数の大きな技術的・工学的課題が残っている。主な課題は次のとおりである。
- 現実的な高稼働条件で、純エネルギー増を達成し、それを維持すること。
- 強い中性子照射と高い熱流束に耐える材料を開発すること。
- 三重水素燃料を安全かつ経済的に増殖・取り扱いすること。
- 核融合の熱を効率よく電力へ変換し、送電網に統合するシステムを設計すること。
現在の状況と展望
近年の時点で、商業用核融合発電所が送電網へ電力を供給した例はまだないが、複数の実験的成果により、重要な隔たりは着実に縮まりつつある。国立研究所と民間企業は相補的な道を進めており、大規模な国際プロジェクトは純増と持続的燃焼の科学的実証を目標とする一方、小規模なチームは小型トカマク、高度な超伝導磁石、代替燃料や代替閉じ込め方式を探究している。進歩は段階的だが継続しており、商業化の時期は依然として不確実で、残る科学的・材料的・工学的問題の解決に左右される。
さらに詳しく知りたい場合は、研究機関や国際協力が提供する資料や計画ページを参照するとよい。たとえば、核融合の基礎、JETのような実験計画、大規模レーザー施設、ITERのような多国間の取り組みがある。加えて、閉じ込め方式と燃料サイクル(同位体、プラズマ物理)、エネルギー収支(エネルギー収率)、発電所概念(原子炉)、電力変換(電力)、核分裂との比較、そして兵器と拡散に関する安全保障上の考慮についての資料もある。