数学では、ガンマ関数(Γ(z)は、負の整数を除く全ての複素数への階乗関数の拡張です。正の整数については、Γ ( n ) = ( n - 1 ) !Γ (n ) = (n - 1 ) !} {\displaystyle \Gamma (n)=(n-1)!}

ガンマ関数はすべての複素数に対して定義されています。しかし、負の整数やゼロに対しては定義されていません。実部が負の整数でない複素数については、関数は次のように定義されます。

定義(オイラーの積分表示)

実部が正である複素数 z に対して、ガンマ関数は次の不定積分で定義されます。

Γ(z) = ∫0 tz−1 e−t dt, (Re(z) > 0)

この積分表示は収束性と解析性を示し、部分積分などで以下の基本性質を導けます。

基本性質

  • 階乗との関係(漸化式):Γ(z+1) = z Γ(z)。これにより正整数 n に対して Γ(n) = (n−1)! が成り立ちます。
  • 解析接続と極:上の積分表示は Re(z)>0 で定義されますが、漸化式を用いることでガンマ関数は複素平面全体に正則解析接続されます。ただし z = 0, −1, −2, … に単極(simple poles)を持ちます。
  • 極での留数:z = −n(n = 0,1,2,…)での留数は

Res(Γ, −n) = (−1)n / n!。

重要な公式

  • 反射公式(リーフェルドの公式):Γ(z) Γ(1 − z) = π / sin(π z)。この式はガンマ関数の対称性と零点・極の位置を結び付けます。
  • 重複公式(ガウスの重複公式):Γ(z) Γ(z + 1/2) = 21−2z √π Γ(2z)。
  • ワイエルシュトラスの積表示:ガンマ関数の零点を避けて次が成り立ちます。

1/Γ(z) = z eγ zn=1 (1 + z/n) e−z/n,ここで γ はオイラー=マスケローニ定数。

特別な値と例

  • Γ(1) = 1, Γ(2) = 1!, Γ(3) = 2! など。
  • 半整数値:Γ(1/2) = √π。一般に Γ(n + 1/2) = ( (2n)! / (4n n! ) ) √π が成り立ちます。
  • 例:Γ(3/2) = (1/2) Γ(1/2) = √π / 2。

漸近展開(スターリングの公式)

大きな実数 x に対して、ガンマ関数は次の近似を満たします。

Γ(x+1) ∼ √(2π x) (x/e)x (1 + 1/(12x) + 1/(288x²) − …)。

複素数変数に対しても、適切な偏角領域で同様の漸近展開が成り立ちます(スターリングの公式)。

特徴づけ(ボーア=モレルプの定理)

ガンマ関数は、次の条件を満たす正の実数上の関数として一意に定まります:f(1)=1、f(x+1)=x f(x)(漸化式)、および対数凸(log-convex)であること。これがボーア=モレルプの定理です。

応用

ガンマ関数は解析学、確率論、統計学(例えばベータ関数やガンマ分布)、数理物理学、特殊関数論など幅広い分野で用いられます。ベータ関数はガンマ関数を使って次のように表されます:

B(x,y) = Γ(x) Γ(y) / Γ(x+y)。

まとめ(ポイント)

  • ガンマ関数は階乗の複素数への自然な拡張で、Γ(n) = (n−1)! を満たす。
  • オイラーの積分表示によって定義され、漸化式 Γ(z+1)=zΓ(z) により解析接続される。
  • 負の整数とゼロに単極を持ち、反射公式や重複公式、ワイエルシュトラス積表示、スターリングの近似式など多数の重要公式がある。