回腸は小腸の最後の区画で、空腸の遠位側に位置し、回盲弁で終わります。成人では、回腸の長さは一般におよそ2〜4メートルとされますが、体格や年齢によって個人差があります。主として腹部の右下象限にあり、血管や神経を運ぶ腸間膜によって吊り下げられています。

解剖学的特徴と微細構造

肉眼的には、回腸は空腸よりも細く、太い輪状ヒダが少ないのが特徴です。顕微鏡レベルでは、粘膜は絨毛と、微絨毛をもつ腸上皮細胞で覆われており、広い吸収表面を形成します。パイエル板と呼ばれる集合リンパ小節は回腸壁で目立ち、腸管の免疫監視に寄与します。動脈血は上腸間膜動脈の分枝から供給され、静脈血は上腸間膜静脈へ流れます。

主な機能

回腸は消化を完成させ、空腸で吸収しきれなかった物質を吸収します。これには、胆汁酸や内因子と結合したビタミンB12が含まれます。また、単糖、アミノ酸、脂質の取り込みも続けます。豊富なリンパ組織は抗原を取り込み、粘膜免疫応答を調整して、寛容と病原体に対する防御のバランスを保ちます。

臨床的重要性

  • クローン病は終末回腸を侵しやすく、炎症、狭窄、吸収不良を引き起こします。
  • 回腸の一部を外科的に切除すると、ビタミンB12欠乏や胆汁酸再循環の障害が起こり、慢性下痢の原因となることがあります。
  • 回腸の疾患評価には、回結腸内視鏡、カプセル内視鏡、画像検査などが用いられます。長期の回腸瘻は吸収機能を変化させます。

特徴の違いと注目点

空腸と比べると、回腸は一般に壁が薄く、血流が少なく、リンパ組織が多い傾向があります。胆汁酸を回収する役割は、脂肪の消化と腸肝循環の維持に不可欠です。臨床では終末回腸が特に重視され、その関与は栄養状態に影響し、下部腸管に及ぶ炎症性疾患や外科的疾患の治療方針にも関わります。

解剖図や臨床指針については、信頼できる臨床資料や解剖学アトラスを参照してください。小腸および腸管長の変異に関する追加情報は、人体の解剖学・生理学の一般的な参考文献で確認できます(ヒト)。