イリューシン Il-78(NATOコードネーム: Midas)は、ソビエト連邦がイリューシン Il-76輸送機を専用給油機として発展させた、四発の空中給油機である。戦闘機や支援機の航続距離と滞空時間を延ばすために設計され、Il-78は大量の燃料搭載能力とホース・アンド・ドローグ式の給油装置を組み合わせ、Il-76の基本的な機体構造や各種システムの多くを受け継いでいる。この機種はソ連、のちのロシア空軍で運用され、ほかのいくつかの国にも輸出された。

設計と特徴

Il-78は、Il-76の胴体を改修し、貨物室内の着脱式燃料タンク、さらに主翼内および胴体下部のタンクに追加燃料を搭載できるようにしている。給油は主として、翼端および主翼下のパイロンに装備されたホース・アンド・ドローグ・ポッドによって行われ、一部の型では胴体用ドローグも備える。操縦席はIl-76に近いが、給油作業を管理するための機材と要員を搭載する。4基のターボファンエンジンは、大型輸送機や戦闘編隊に随伴して運用するのに必要な性能を与える。

歴史と開発

冷戦期に長距離爆撃機や戦闘機の運用を支援する目的で構想されたIl-78は、まったく新しい設計ではなく、既存の輸送機を実用的に転用した機体であった。この方針により開発期間が短縮され、Il-76ファミリーと生産ラインを共有することも可能になった。後年には、より効率的なエンジン、更新された給油ポッド、アビオニクスの改良、構造強化を中心とする近代化型が登場した。

運用と意義

Il-78給油機は、長距離哨戒、戦略空輸任務、多国間演習に参加する空軍の行動半径を広げるために使われてきた。これにより、戦闘機、早期警戒機、輸送機は、より長く空中に留まることができ、また母基地からより遠い地点で運用できる。運用国は日常訓練と実任務の双方でこの機種を使用しており、独自の空中給油能力が持つ戦略的価値を示している。

派生型と注目点

  • 改良型は複数存在し、後期のIl-76開発に由来する、改良エンジンや近代化システムを備えた給油機が含まれる。
  • この航空機は、NATO報告名のMidasで呼ばれることが一般的である。
  • 輸送機設計の派生型として、Il-78は輸送プラットフォームが特殊任務へ転用されうることを示している。

より詳しい技術的・歴史的背景については、イリューシン設計局および元となったIl-76輸送機ファミリーに関する資料を参照。