鉄鉱石とは|成分・種類・採掘・製鉄・歴史をわかりやすく解説
鉄鉱石の成分・種類・採掘方法・製鉄工程・歴史を図解とともにやさしく解説。初学者から業界人まで必読。
鉄鉱石は、金属鉄を経済的に抽出することができる岩石や鉱物である。
鉄(Fe)は、最も多く存在する岩石形成元素の一つである。地殻の約5%を占めている。鉄は2番目に多く、広く分布している金属である(アルミニウムが最も多い)。人々は3,000年以上前からこの金属を利用してきた。しかし、その利用が広まったのは、鍛冶屋に代わって溶鉱炉(溶鉱炉の前身)が使われ始めた14世紀以降である。
鉱石は通常、酸化鉄を多く含み、色は濃い灰色、明るい黄色、濃い紫、錆びた赤などさまざまである。
成分と品質指標
鉄鉱石の主成分は酸化鉄で、代表的な鉱物には以下がある。
- 赤鉄鉱(ヘマタイト):主成分はFe2O3。高品位(Fe含有量が高い)で、製鉄原料として重要。
- 磁鉄鉱(マグネタイト):Fe3O4。磁性を持ち、磁力選別で効率的に濃縮できる。
- 針鉄鉱(ゴーサイト)・褐鉄鉱(リモナイト):水和酸化鉄を含み、含水率が高くLOI(Loss on Ignition:焼失率)が高くなる。
- 方解石性鉄鉱(シデライト):FeCO3を主成分とし、酸処理や焙焼が必要になる場合がある。
鉄鉱石の品質は主に以下で評価される:Fe含有率(%Fe)、不純物としてのSiO2(珪酸)、Al2O3(アルミナ)、P(リン)、S(硫黄)、および含水率(LOI)。高品位の鉱石ほど製鉄コストが低く、環境負荷も小さい。
鉱石の形状と品種
- Lump(ラブ)/ Lump ore:大きな粒状のままで使える鉱石。
- Fines(微粉):細かい粒状。直接高炉へ投入するには凝集(ペレット化やシンター化)が必要。
- Concentrate(濃縮鉱):選鉱で不純物を除きFe濃度を高めたもの。
- Pellets(ペレット):細かい鉱石を焼結して球状にしたもの。高炉や直接還元炉で広く使用。
- Sinter(シンター):粉状鉱石を焼結して塊にしたもので高炉原料として多用される。
採掘と選鉱(採掘から製品までの流れ)
鉄鉱石の採掘は主に露天掘り(オープンピット)で行われることが多いが、埋蔵深度や地質によっては地下採掘になることもある。採掘後は以下の工程を経て鋼の原料となる。
- 破砕・粉砕:鉱石を小さく砕く。
- 選鉱:磁力選別、浮遊選鉱、比重選別などでFe濃度を高める。
- 濃縮:不純物を除去して高品位化。
- 結球(ペレット化)・焼結(シンター):細粒を高炉で使える形に加工する。
- 輸送:鉱山から製鉄所へは鉄道、船舶、トラックで輸送される。大規模鉱山では港湾設備が整備されることが多い。
製鉄プロセスの概要
鉄鉱石は主に高炉(blast furnace)で還元されて銑鉄(pig iron)になり、さらに転炉や電気炉で鋼に精錬される。代表的な流れは次の通り:
- 高炉法:石炭をコークス化したコークスを燃料兼還元剤として用い、シンターやペレット、コークス、石灰石を層状にして高温で還元する。主反応の一つは、Fe2O3 + 3CO → 2Fe + 3CO2。高炉からは銑鉄とスラグが得られ、銑鉄は転炉(BOF)や連続鋳造工程へ送られる。
- 直接還元法(DRI):天然ガスや水素を還元剤として使用し、低温で酸化鉄を金属鉄に還元する方法。生成物はスポンジ鉄(Direct Reduced Iron)で、電気炉での製鋼原料として重要。COやH2を用いる方式があり、将来的には水素還元がCO2削減策として注目されている。
歴史的背景
鉄の利用は古代にさかのぼり、初期は小規模な鍛冶(ブロム炉や炉)の技術で鉄器が作られていました。産業的な大量生産は中世以降に進展し、14世紀から15世紀にかけて溶鉱炉の発展で鉄生産が拡大しました。19世紀にはコークス高炉やベッセマー法など製鋼技術の革新で鉄鋼産業が飛躍的に成長しました。20世紀以降は電気炉や連続鋳造、無煙コークスや環境対策技術の導入が進んでいます。
世界の生産と資源
鉄鉱石の主要生産国はオーストラリア、ブラジル、中国、インド、ロシア、南アフリカなどです。特にオーストラリアとブラジルは高品位の鉱石を大量に輸出しており、世界の供給に大きな影響を与えます。鉄鉱石の埋蔵量は豊富ですが、品位や採掘コスト、地政学的要因が供給に影響します。
環境面と持続可能性
鉄鉱石の採掘・製鉄は環境負荷を伴います。主な問題点は以下の通りです:
- CO2排出:高炉・転炉プロセスは大量の化石燃料を使うためCO2排出が大きい。水素還元や電気炉+再生エネルギーへの移行が脱炭素の鍵。
- 土地や生態系への影響:露天掘りは広範囲な土地改変を伴うため、採掘後の復元や生態系保全が重要。
- 排水・ダスト・廃棄物(テールings):酸性排水や有害物質の漏出、粉塵対策が必要。
対策としては、排水処理、乾式テールings、鉱山再生、電力の脱炭素化、製鋼プロセスの高効率化などが進められています。
用途とリサイクル
鉄鋼は建設、自動車、造船、機械、家電など社会インフラに不可欠な材料です。鉄鋼はリサイクル性が高く、スクラップを電気炉で溶かして再利用することで、鉄鉱石の需要を一部代替できます。リサイクルはエネルギー消費とCO2排出の削減に寄与します。
まとめ:鉄鉱石の重要性
鉄鉱石は現代社会の基盤である鉄鋼製品の原料であり、鉱物学的・経済的に重要な資源です。品質(Fe含有率や不純物)、採掘・選鉱・製鋼の各工程、環境対策が供給と持続可能性を左右します。今後は脱炭素技術や効率的な選鉱・製鋼法の普及が、鉄鉱石産業の課題解決に向けた鍵となるでしょう。

鉄鋼の原料となる鉄鉱石の破片。
鉄鉱石
- マグネタイト
3O
472.4% Fe) - ヘマタイト
2O
3, 69.9% Fe) - ゲータイト
- リモナイト2
- シデライト (FeCO3 , 48.2% Fe)
質問と回答
Q:鉄鉱石とは何ですか?
A:鉄鉱石とは、金属鉄を抽出することができる岩石や鉱物のことです。
Q:どの程度の鉄分を含んでいれば「天然鉱石」「直送鉱石」と判断されるのでしょうか?
A:天然鉱石及び直送鉱石は、約60%以上の鉄分を含んでいる必要があります。
Q:鉄はいつ頃から広く使われるようになったのですか?
A:14世紀に鍛冶場に代わって製錬炉が普及し、鉄が使われるようになりました。
Q:地球の鉄の供給はどこから来ているのですか?
A:Ia型超新星が爆発した地域を太陽が通過するときに拾われたものです。
Q: 火山が形成した島々には、金属鉱石が多く含まれているのですか?
A:火山列島は玄武岩が多く、金属鉱石はほとんどありません。
Q:なぜ金属鉱石が豊富な島とそうでない島があるのか?A:かつて超大陸の一部であった島には重元素鉱石が多く、火山でできた島(海洋島)には大陸地殻のような希少元素や普通元素はあまり含まれていません。
Q:日本の鉄鋼はどこから調達しているのですか?
A: 日本の鉄鋼のほとんどは西オーストラリア州から調達しています。
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