虫垂炎とは?症状・原因・治療法をわかりやすく解説

虫垂炎とは、虫垂の炎症のことです。虫垂は、大腸の入り口にある小さな袋状の付属物で、炎症を起こすとさまざまな腹部症状を引き起こします。典型的には右下腹部に鋭い痛みを感じ、同時に吐き気や嘔吐、食欲低下などもよく見られます。ただし、約4割の人には典型的な症状がはっきり現れないことがあり、特に高齢者や小児、妊婦では症状が非典型的になるため注意が必要です。虫垂が破裂(穿孔)すると内容物が腹腔内に漏れ出して激しい腹膜炎や敗血症を起こします。そのため、虫垂炎が疑われる場合は病院での迅速な診断と治療が重要で、感染した虫垂は通常摘出されます。

類人猿の盲腸(虫垂を含む部分)の主な機能は、葉や繊維質の多い植物性食物を消化することに関係していると考えられています。人間は類人猿ほど植物を多く消化しないため、我々の盲腸は現在の類人猿のものよりも小さくなりました。一方で、いくつかの理由で我々の免疫システムはその部位にある感染症を十分に排除できず、虫垂炎が起きやすくなることが示唆されています。

症状

  • 初期:食欲不振、軽い腹痛、吐き気、嘔吐、便秘や下痢、微熱
  • 典型的:臍周囲の痛みが次第に右下腹(マクバーニー点付近)へ移行し、局所の鋭い圧痛が出現
  • 非典型例:高齢者や小児、妊婦では痛みの位置や程度が異なり、発熱や全身倦怠感のみで現れることがある
  • 進行例:虫垂が穿孔すると強い腹痛、発熱、腹膜刺激症状、ショック(重篤な場合)

原因と病態

  • 虫垂内の通過障害(糞石〈便塊〉、リンパ組織の肥厚、異物、腫瘍など)が起点となり、細菌が増殖して炎症を起こすことが多い。
  • 原因菌は腸内細菌が主体で、混合感染になることが多い。これにより虫垂の血流障害や壊死、穿孔に進行することがある。
  • 若年者ではリンパ組織の増殖、成人では糞石や腫瘍が原因になりやすい、といった年齢による傾向がある。

診断

  • 問診と身体診察(マクバーニー点の圧痛、ロヴィング徴候、腸腰筋徴候など)
  • 血液検査:白血球増加、炎症反応(CRP)の上昇が認められることが多い
  • 画像検査:超音波検査(特に小児や妊婦に有用)、腹部CT検査は成人での診断精度が高い
  • 鑑別診断:急性胃腸炎、腸間膜リンパ節炎、卵巣嚢胞破裂や卵巣捻転、異所性妊娠、尿路感染症など

治療

  • 外科的治療(虫垂切除術)が標準的。腹腔鏡下手術が一般的で、創が小さく回復が早い。状態により開腹手術が選択されることもある。
  • 抗菌薬治療:軽症例や手術リスクが高い場合、まず抗生物質で保存的に治療を行うこともある。近年、抗生物質単独で治癒する症例が報告されているが、再発のリスクや適応を慎重に評価する必要がある。
  • 膿瘍形成や穿孔がある場合:ドレナージ(腹腔穿刺や経皮的ドレナージ)を行い、炎症が落ち着いてから計画的に手術を行うことがある。
  • 手術後:通常は短期間の入院、術後の抗生物質投与や創部ケア、数週間の重労働制限が必要。腹腔鏡だと回復が早く日常生活への復帰も早いことが多い。

合併症と注意点

  • 穿孔(破裂)による腹膜炎、腹腔内膿瘍、敗血症は生命に関わる合併症で、迅速な対応が必要。
  • 高齢者や乳幼児では症状が軽微で見逃されやすく、診断の遅れが致命的になることがある。
  • 妊婦では子宮の位置により痛みの位置が変わるため、専門医の診察や画像検査が重要。

予防と生活上のポイント

  • 明確な予防法は確立されていませんが、食物繊維の多い食事(野菜、果物、全粒穀物など)を摂ることで糞石の形成を減らし、相対的に発症率が下がる可能性を示す研究もあります。
  • 右下腹の持続する強い痛み、発熱、嘔吐がある場合は自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。特に発熱や頻脈、意識障害などがあれば救急受診が推奨されます。

術後の回復

  • 腹腔鏡手術の場合、数日から1週間程度で退院できることが多く、日常生活への復帰は手術内容や職種によるが通常1〜4週間程度。
  • 創部の赤み・膿・高熱・激しい痛みが続く場合は再診が必要。

疫学と歴史

虫垂炎は世界的に「腹部の痛み」の代表的な原因の一つです。年齢分布では、男性は10〜14歳、女性は15〜19歳の間に多く発症するとされますが、全年齢で起こり得ます。最も深刻な経過は小児や高齢者に多い傾向があります。レジナルド・フィッツ(Reginald Fitz)が1886年に急性虫垂炎について初めて系統的に記載したことで、現在の診断・治療の基礎が築かれました。

疑問や症状がある場合は、自己判断せずに医師のアドバイスを求めてください。

質問と回答

Q:虫垂炎とは何ですか?


A: 虫垂炎とは、大腸の始点にある袋である虫垂に炎症が起こることです。

Q:虫垂炎の一般的な症状は何ですか?


A: 虫垂炎の一般的な症状は、右下腹部の鋭い痛み、吐き気、嘔吐、食欲減退などです。しかし、約40%の人はこれらの典型的な症状がありません。

Q: 感染した虫垂が破裂した場合はどうなりますか?


A:感染した虫垂が破裂(裂ける)すると、痛みを伴う腹膜炎や敗血症になる可能性があります。そのため、虫垂炎の場合はすぐに病院での治療が必要です。

Q:類人猿の虫垂の機能は何だったのか?


A:類人猿の虫垂の機能は、葉っぱなどの植物性のものを消化することでした。人間は葉を消化しないが、猿の祖先からこの植物性の器具の一部を受け継いでいる。

Q:虫垂炎の原因にはどのようなものがありますか?


A:虫垂炎の原因には、虫垂の詰まりや細菌感染などがあります。治療しないと腹膜炎やショック状態になる可能性があります。

Q:急性虫垂炎を最初に報告したのは誰ですか?


A:レジナルド・フィッツが1886年に急性虫垂炎を初めて報告しました。

Q: 虫垂炎の重症例は、通常誰に起こるのか?


A 重症化しやすいのは、ある一定の年齢層(男性では10〜14歳、女性では15〜19歳)の幼児や高齢者です。

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