伊藤淳子 言語学者。日本生まれ、米国在住。1986年、マサチューセッツ大学アマースト校で言語学の博士号を取得。博士課程の指導教員はアラン・プリンス。現在、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の言語学教授を務め、1999年から2006年まで学科長を歴任した。

研究分野とアプローチ

伊藤は主に音韻論と形態論を中心に研究しており、音韻構造と形態構造の関係を明らかにすることを目指しています。特に音節やモーラ(拍)の扱い、韻律階層(プロソディック・ヒエラルキー)、語形成過程と音韻規則の相互作用といったテーマに継続的に取り組んでいます。音節構造に関する理論的・実証的研究は国際的に高い評価を受けており、形式的音韻論(プロソディー理論やOptimality Theory など)の枠組みを用いて問題にアプローチすることが多いです。

連濁(れんだく)と日本語音韻論

日本語の複合語に見られる連濁現象についても長年研究・執筆しており、連濁が生じる条件やその音韻的・形態的制約を、語のプロソディック境界や語彙層の違いなどと結びつけて分析しています。連濁を単なる例外的現象として扱うのではなく、より一般的な音韻・形態理論の中で説明可能な現象として位置づけることを試みています。

業績と刊行

  • 査読付き学術誌(例:Linguistic Inquiryなど)に多数の論文を発表し、国際会議での招待講演やワークショップでの発表経験も豊富です。
  • 夫であり共同研究者でもあるアーミン・メスターと共同で行った研究は、日本語を含む語の音韻体系や語彙構造の理解に大きな影響を与えています。
  • 理論的枠組みと実証データを結びつけた論考が多く、言語理論の発展と日本語の記述的・理論的理解の双方に貢献しています。

教育・指導

大学院課程での教育・研究指導にも力を入れており、音韻論・形態論・日本語音声研究に関心のある大学院生を多数指導してきました。講義科目では音韻論、形態論、言語理論入門、研究方法論などを担当し、比較的形式的な分析手法と実証的データの収集・解析を組み合わせた指導を行っています。

人物・背景

私生活では数学者の父、伊藤清の娘として知られ、学問的な環境で育ちました。研究・教育においては同分野の研究者と幅広く協働しており、特にアーミン・メスターとは長年にわたり共同研究を続けています。