ハリコフ(ハルキウ)とは:ウクライナ第2の都市・歴史と経済概要

ウクライナ第2の都市ハリコフ(ハルキウ)の歴史・経済・文化を解説。1655年創設から人口・産業、ソビエト政権成立の背景まで詳しく紹介。

著者: Leandro Alegsa

ハリコフウクライナ語:Харків, [ˈɑrkiu]ロシア語:Харьков, Kharkov)は、ウクライナの都市で、同国第2の規模を持つ都市である。ウクライナ東部に位置し、工業・学術・文化の重要拠点として発展してきた。建設は17世紀半ば(一般に1654–1655年とされる)に始まり、2010年の人口は約144万9千人であった。近年の推計では市域人口はおおむね140万人前後とされるが、2014年以降の政治的出来事や2022年以降の軍事衝突により変動が生じている。市長はイホール・テレホフ(Ihor Terekhov、2021年選出)。前市長のヘンナディー・ケルネス(Hennadiy Kernes)は2020年に死去した。

また、ハリコフはウクライナで初めてソビエト政権が宣言され、ソビエト政権が成立した都市でもある。

地理と気候

ハリコフはロシア国境に比較的近いウクライナ北東部に位置し、ハリコフ川流域の平坦な地形に広がる。交通の要衝であり、鉄道・道路・空港が整備され、周辺地域と連絡する重要なハブになっている。気候は温暖湿潤気候から冷温帯(湿潤大陸性気候)に属し、四季が明瞭で夏は比較的暑く、冬は寒さが厳しくなる。

歴史の概略

  • 建設と拡大(17–18世紀):コサックや移住者による集落が成長し、商工業の拠点として発展した。
  • 帝政ロシア・ソ連時代:19世紀以降、教育・工業都市として成長。1804年創立のヴァシリー・ナウモフ・カラジン(V. N. Karazin)ハリコフ国立大学などの教育機関が設立され、学術都市としての地位を確立した。ソ連時代には重工業や機械工業が振興され、大規模な工場や研究施設が置かれた。
  • 第二次世界大戦:1941年にナチス・ドイツに占領され、1943年にソ連軍により奪回されたが、戦争による人的・物的被害は甚大であった。
  • 近年の政治・軍事状況:2014年以降の国内情勢や、2022年のロシアによる全面侵攻に伴い、ハリコフは砲撃や被害を受け、住民の避難や復興が続いている。

人口と言語

ハリコフは多言語・多民族の都市で、ウクライナ語とロシア語の双方が広く使用される。歴史的にロシア語話者が多い都市だが、公的にはウクライナ語が公式言語である。民族構成は概ねウクライナ人が多数を占めるが、ロシア系住民やその他の少数民族も暮らしている。

経済と産業

ハリコフはウクライナ有数の工業都市で、以下の分野が主要産業である。

  • 機械工業・重工業:軍需・輸送機器・大型機械の製造が伝統的に盛んで、多くの工場と設計局が集積している。
  • 航空宇宙・防衛:航空機部品やエンジン、装甲車などの生産を行う企業が存在する。
  • 電子・情報技術:ソフトウェア開発やITサービス、研究開発の拠点が拡大しており、近年はIT産業の成長が顕著である。
  • 化学・食品:化学製品、食品加工業も地域経済を支える重要な分野である。
  • 流通・交通:交通の要衝であることから流通産業も発達している。

教育・文化

ハリコフは教育・文化施設が充実した都市であり、多くの大学や研究機関、美術館、劇場がある。主な施設には以下がある。

  • カラジン大学(Kharkiv National University):長い歴史を持つ総合大学で、自然科学・人文科学の中心。
  • 劇場やオペラハウス、美術館:地域文化の中心として多数の劇場や展示施設が活動している。
  • 広場・建築:スヴォボダ(自由)広場はヨーロッパでも大きな広場の一つで、市のランドマークとなっている。

観光と見どころ

市内には歴史的建造物や公園、美術館、市場などがあり、観光資源が豊富である。代表的な見どころは市中心部の広場や古い大学建築、劇場群などである。ただし、訪問の際は現地の安全情報や渡航情報を必ず確認することが重要である。

現代の課題と展望

ハリコフは工業・学術の強みを持つ一方で、政治的緊張や軍事衝突による被害、人口の流出・避難といった課題に直面している。復興・インフラ整備、経済の多様化、国際協力による再建が今後の大きなテーマとなるだろう。都市としての基盤(教育・産業・交通)は依然として強く、復興の可能性も大きい。

(注)本文中の人口や政治的状況に関する数値・出来事は時期によって変動するため、最新情報は公式発表や信頼できる報道で確認してください。

ハリコフの自由広場。Zoom
ハリコフの自由広場。

注目の人物

関連ページ



百科事典を検索する
AlegsaOnline.com - 2020 / 2025 - License CC3