アレスV:NASAが中止した大型貨物打上げロケット
アレスVは、コンステレーション計画向けにNASAが計画した大型貨物ロケットである。月着陸船と地球離脱ステージの輸送を想定したが、実機が建造される前の2010年に中止された。
概要
アレスVは、NASAのコンステレーション計画の一部として構想された大型貨物ロケットである。地球離脱ステージやアルタイル月着陸船などの大型機器を宇宙へ運び、人類を月へ再び送り出す有人ミッションを可能にすることが意図されていた。アレスVは、より小型の有人打上げ機アレスIと連携して運用されるよう設計され、スペースシャトル由来の技術と新しい液体・固体推進剤技術を組み合わせた全体アーキテクチャを共有していた。
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6 画像設計と構成要素
計画されたアレスVのアーキテクチャは、大型の液体燃料式コアステージ、強力なストラップオン固体ロケットブースター、そして月遷移軌道への投入に最適化された上段を組み合わせるものだった。コアステージには、液体水素・液体酸素を用いる設計から発展させたRS-68系列エンジンを複数基搭載する予定であり、地球離脱ステージにはJ-2X級の上段エンジンを使用する構想だった。2基の5セグメント固体ロケットブースターは、スペースシャトルの4セグメント・ブースターを、より大きな総力積に対応するよう発展させたものであった。
性能と比較
開発中に公表された性能見積もりでは、アレスVの搭載能力は低軌道へ約18万8,000キログラム、月への投入へ約7万1,000キログラムとされた。完成していれば、これまでに構想された打上げ機の中でも最も高性能な部類の一つとなり、ミッションによってはサターンVなど先行する大型打上げ機の搭載質量を上回ることが想定されていた。その名称は、ローマ神話のマルスに相当するギリシア神話の軍神アレスに由来し、人類探査における役割を反映している。
沿革と中止
開発は、2010年代後半までに月面運用へ段階的に復帰することを目指したコンステレーション計画のアーキテクチャ選定後、2000年代半ばに始まった。技術検討によってサブシステムの配置や段構成の概念が導かれたが、計画の見直し、予算上の圧力、国家的優先順位の変化を受け、コンステレーション計画は2010年に中止された。アレスVは一度も飛行しなかったものの、多くの研究、エンジン設計、ブースター技術は後続計画に情報を与えた。
用途、遺産と注目すべき事項
アレスVは主として貨物・補給用の打上げ機であり、月ミッションのための着陸船、推進剤ステージ、大型居住モジュールを打ち上げることが主な役割になるはずだった。大型コアステージ、RS-68派生エンジン、5セグメント・ブースターといった設計要素は、その後の大型打上げ機構想や、NASAおよび産業界における設計論議に影響を与えた。この計画は、低軌道を越える有人探査を構想する際の再使用性、費用、安全性、性能の間にあるトレードオフを浮き彫りにした。
主要構成要素と年表(要約)
- コアステージ:複数の極低温エンジンと大型液体水素タンク。
- 固体ロケットブースター:シャトルのハードウェアに由来する、2基の5セグメント・ストラップオンブースター。
- 上段:高エネルギー上段エンジンを備える地球離脱ステージ。
- 計画の経緯:2000年代に構想・設計作業を実施し、2010年に中止。遺産は後の大型打上げ機をめぐる議論へ引き継がれた。
建造されることはなかったが、アレスVは21世紀初頭における大型打上げ機設計の考え方を示す代表例であり、人類をいかに月へ戻し、低軌道の先へ進出させるかという議論の基準点であり続けている。
背景資料および技術概要については、ロケットの構想、貨物打上げ機の概要、ならびに低軌道搭載量の研究にある過去の計画レビューを参照。
関連項目
著者
AlegsaOnline.com アレスV:NASAが中止した大型貨物打上げロケット Leandro Alegsa
URL: https://ja.alegsaonline.com/art/5433
出典
- nasa.gov : HSF Final Report: Seeking a Human Spaceflight Program Worthy of a Great Nation
- nasa.gov : Overview: Ares V Cargo Launch Vehicle
- nasaspaceflight.com : "NASA sets Orion 13 for Moon Return"
- nasa.gov : "NASA - Ares I Crew Launch Vehicle"
- ntrs.nasa.gov : "Ares V: Refining a New Heavy Lift Capability"