ヴェルサイユ宮殿のラトナの泉 — 噴水の歴史・設計・彫刻解説

ヴェルサイユ宮殿のラトナの泉:ル・ノートル設計、マルシー兄弟の彫刻とマンサール改造を紐解く、噴水の歴史・設計・伝説を詳述。

著者: Leandro Alegsa

ラトナの泉(仏:Bassin de Latone)は、ヴェルサイユ庭園を代表する噴水の一つで、宮殿の正面軸線上に配された主要な彫刻噴水群の中央に位置します。元の設計は造園家アンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre)によるもので(1666年)、庭園の遠近感(パースペクティブ)を強調する軸線構成の一部として計画されました。噴水は東西方向に延びる軸に置かれ、ヴェルサイユ宮殿、アポロの泉、緑の絨毯、大運河と視覚的につながっています。ラトネ像は西を向いて配置されています。

歴史と改造

中央の彫像群は、1668年から1670年にかけてマルシー兄弟(ガスパール・マルシー、バルタザール・マルシー)によって制作され、当初は鉛(鉛合金)で鋳造されました。1686年には建築家ジュール=アルドゥアン=マンサール(通称アルドゥアン=マンサール)が噴水の改造を行い、ラトナ像を180度回転させ、台座を高くするなど現在の階層的な構成に近い形に整えました。以後も景観維持のため幾度か修復や補修が行われており、現在見る形は歴史的改変の積み重ねの結果です。

設計と構成(「ウェディングケーキ」型)

噴水は段ごとに人物や動物が配された「ウェディングケーキ」風の多段式デザインが特徴です。上段に母神の像が据えられ、その周りを子供や動物が取り巻く構成は、視覚的にも故事の劇性を強調します。庭園の主要軸に置かれることで、遠方からの眺め(特に大運河に向かっての眺め)で彫刻群が画面の焦点となり、王権と神話的イメージ(後述)を結びつけます。

彫刻と登場人物・動物

  • 最上段:女神 ラトナ(ラテン語名Latona、ギリシア名はレトー)が母として中央に立ちます。彼女は双子の子であるアポロとダイアナ(ギリシア神話のアポロンとアルテミス)を伴っています。
  • 二段目・三段目:多数のカエルの彫像が配され、段ごとに水を跳ね上げる造形になっています。
  • 最下段:ワニ(あるいはワニに近い爬虫類)などの動物像が置かれ、噴水の水景に豊かな表情を与えています。

彫像の素材は当初鉛で鋳造された点が確認されており、風雨や保存の都合で部分的に補作や修復が施されています。

神話的意味と王権の象徴

噴水が描く主題はローマ時代の詩人オウィディウスの『変身物語』(Metamorphoses)にあるラトナ(レトー)の逸話に由来します。ラトナは双子の子を産もうとして飲み水を求めた際、ある地方の住民(ここではリュセアンの農民をあざけり、原典ではリュキア人)に水を断られ、女神の怒りに触れ彼らはカエルに変えられてしまいます。この場面は噴水の多くのカエル像の由来となっています。

ヴェルサイユにおける解釈としては、ラトナとその子ら(特に太陽神アポロ)を配した配置が、太陽王ルイ14世と結びつけられることがよく指摘されます。すなわち、アポロ像やアポロの泉と軸を成すことで、王の権威や守護のイメージを強調し、従順な者に対する恩恵と、御法度に背く者への罰という二重の象徴性を持たせています。

保存・修復と見学のポイント

ラトナの泉は造園・彫刻ともに歴史的価値が高く、時代を通じて何度も修復が行われてきました。風化しやすい素材や噴水設備の老朽化があるため、専門的な保存処置が定期的に行われています。観賞の際は、庭園の主軸(宮殿から大運河に向かう視線)に立ち、遠近法で噴水群がつくる連続的な景観を確認すると、設計者の意図がよく分かります。

噴水の通水は季節やイベント(グラン・トゥーや特別公開日など)によって行われることが多く、春から秋にかけての噴水稼働時に最も見応えがあります。訪問前に公式サイトや展示情報で運転スケジュールや修復情報を確認すると良いでしょう。

補足

学術的な研究やガイドでは、制作当時の鋳造技術、石組みや配水システム、王立庭園におけるプロパガンダ的役割など、さらに細かな分析がなされています。興味があれば、庭園史やバロック彫刻、ヴェルサイユの王権表象に関する文献を参照してください。

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バサン・ドゥ・ラトーン

ギャラリー

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質問と回答

Q: ラトナの泉とは何ですか?


A: ラトナの泉は、ヴェルサイユ宮殿、アポロンの泉、緑の絨毯、大運河を結ぶ東西の線上にある噴水です。

Q: ラトナの泉は誰が設計したのですか?


A: ラトナの泉は、1666年にル・ノートルによって設計されました。

Q: ラトナの泉の噴水は、誰が制作したのですか?


A: ラトナの泉の噴水像は、1668年から1670年にかけて、マルシー兄弟が鉛で制作したものです。

Q: 1686年にラトナの泉を改造したのは誰ですか?


A: アルドゥアン=マンサールが1686年にラトナの泉を改修しました。

Q: 1686年、ラトナの泉はどのように改造されたのですか?


A: アルドゥアン=マンサールは、ラトナの像を180度回転させ、台座を高くしました。

Q: ラトナの泉はどのようなスタイルでデザインされているのですか?


A: ラトナの泉は、ウェディングケーキのようなスタイルでデザインされています。

Q: ラトナの泉にまつわるラトナのストーリーは?


A: ラトナは、嫉妬して怒ったユノーから逃れるために、リセアンの農民たちが彼女をあざけり、水を与えることを拒否したため、カエルに変えてしまいました。ラトナの泉には、女神ラトナとその幼い子供であるアポロンとディアナ、そしてカエル、カメ、ワニが描かれています。


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