ロンドン交響楽団(LSO)は、世界で最も著名なオーケストラの一つです。 ロンドンの バービカンセンターを本拠地とし、定期演奏会のほか世界各地でのツアーや録音活動、教育普及活動を行っています。
設立と自主管理のしくみ
LSOは1904年に設立されました。当初のメンバーの多くはヘンリー・ウッドのクイーンズホール・オーケストラ出身で、ウッドのリハーサルやコンサートに関する方針の違いなどを背景に新たに組織を立ち上げました。創設以来、LSOは楽団員による自主管理(musicians' cooperative)の形態を取ってきたことが大きな特徴で、報酬や契約、演奏会の運営について楽団員自身が大きな決定権を持っています。
初期の歩みと国際進出
LSOはハンス・リヒターの指揮で1904年6月9日に最初の公演を行い、リヒターは1911年まで首席(主席)指揮者を務めました。その後もエドワード・エルガーら著名な指揮者が関わり、オーケストラのレパートリーと技術を拡げていきました。
海外演奏は早く、1906年にはパリで演奏し、イギリスの主要オーケストラとして早くから国際舞台に登場しました。1912年にはアメリカとカナダへのツアーを行い、これが英国オーケストラとしての初の北米ツアーになりました。
本拠地の移り変わり
設立当初の主要演奏会場はクイーンズホールなどでしたが、第二次世界大戦中の空襲でクイーンズホールが破壊された後、複数の会場で演奏を続け、1982年頃からは現在のバービカンセンターを主な本拠地として活動しています。
主要指揮者と指揮陣
LSOは歴史を通じて多くの著名な指揮者と協働してきました。初代のハンス・リヒター、国民的作曲家であるエドワード・エルガーなどに続き、時代ごとに世界的な名指揮者が芸術的方向性に影響を与えています。2007年1月からはヴァレリー・ゲルギエフが首席指揮者に就任しました。アンドレ・プレヴィンは名誉指揮者(conductor laureate)として深く関わり、録音や教育面での貢献が評価されています。
また、2006年にはダニエル・ハーディングがマイケル・ティルソン・トーマスとともに共同の客演指揮者に就任し、リチャード・ヒコックスは準客演指揮者として関わりました。客演指揮者としては、ゴードン・ニコリッチなど、多彩な指揮者が登場しています。
合唱団と大編成作品
1966年にはロンドン交響楽団合唱団(LSO Chorus)が結成され、交響曲やオラトリオなど合唱を伴う作品の上演においてLSOと密接に協働しています。合唱団の結成により、コンサートのレパートリーが一層拡充されました。
録音・映画音楽・教育活動
LSOは1920年頃から録音を行っており、その後もレコーディングを通じて幅広い作品を残しています。クラシックの正規録音のみならず、映画音楽の録音でも高い評価を受け、映画音楽・メディア音楽の分野でも多くのプロジェクトに参加しています。また、教育・コミュニティ活動にも力を入れ、次世代の音楽家育成や地域向けの普及プログラムを展開しています。
女性団員とダイバーシティの変化
歴史的に多くのオーケストラ同様、LSOも初期には男性中心の編成でした。長年にわたり女性の加入が限定的だった時期があり、これは当時の社会的慣習や採用慣行の影響によるものでした。近年はオーディションの匿名化(ブラインドオーディション)など公正な採用手続きの導入により、多様性と公平性が進み、女性や多様な背景を持つ演奏家が増えています。
まとめ
- 設立:1904年に創設、初演はハンス・リヒターの指揮。
- 本拠地:バービカンセンター(主な常設会場)。
- 合唱:1966年にロンドン交響楽団合唱団を結成。
- 録音・ツアー:1920年以降多数の録音、早くから国際ツアーを展開(1906年のパリ公演、1912年の北米ツアー等)。
- 指揮陣:歴代の著名な指揮者が関わり、近年も多彩な客演・首席指揮者陣によって活動の幅を広げている(例:ヴァレリー・ゲルギエフ、アンドレ・プレヴィン、ダニエル・ハーディング、マイケル・ティルソン・トーマスなど)。
ロンドン交響楽団は伝統と革新を両立させながら、国際的な演奏活動・録音・教育活動を展開し続けています。