パニック!アット・ザ・ディスコ「Lying Is the Most Fun a Girl Can Have Without Taking Her Clothes Off」(2006)シングル解説
"Lying Is the Most Fun a Girl Can Have Without Taking Her Clothes Off "は、ロックバンド、パニック・アット・ザ・ディスコのアルバム『A Fever You Can't Sweat Out』に収録されている4枚目のシングルである。2006年8月7日に4枚目のシングルとして発売されたが、3枚目の広告付きシングルである(「The Only Difference Between Martyrdom and Suicide Is Press Coverage」はシングルとして商業的に発売されていない)。
背景と制作
この曲はデビュー・アルバム『A Fever You Can't Sweat Out』の楽曲の一つで、バンドの初期サウンドを象徴する作品のひとつです。タイトルは映画Closer(2004年)に登場するセリフから引用されたとされ、歌詞やタイトルの長さ・言い回しは当時のバンドの演劇的で文学的なアプローチをよく表しています。制作はアルバム制作時の流れの中で行われ、バンドの特徴であるピアノやギター、テンポの速いドラム、そして強調されたボーカル表現が組み合わさったアレンジが特徴です。
曲の構成と歌詞のテーマ
- サウンド:ピアノを中心にしたポップ/ロックの編成に、エモやポップ・パンク、バロック的な情緒を取り込んだ劇的なアレンジが施されています。テンポは比較的速く、サビに向けて盛り上がる構造を持っています。
- 歌詞:恋愛における偽りや駆け引き、罪悪感と快楽の混在などを描写しています。タイトル自体にひねりがあり、表層的な「楽しさ」と内面にある複雑な感情を対比させる効果があります。
- ボーカル:ブレンダン・アーリー(当時のフロントマン)の表現力豊かなボーカルが、歌詞の皮肉や切なさを強調しています。
リリースと反響
商業リリースとしては2006年8月7日にシングル化され、アルバムからの複数のシングルの一つとしてプロモーションされました。前述の通り、同アルバムからは広告用のみで流通した曲もあり、本作は正式な商業シングルとして展開されました。批評面ではタイトルのキャッチーさや劇的な楽曲構成が注目され、ファンの間でも人気の高いナンバーとなっています。ラジオや音楽番組での露出により、バンドの知名度向上にも寄与しました。
ミュージックビデオとライヴでの扱い
シングルとしてのプロモーションに合わせてミュージックビデオやライブ映像が制作・公開され、映像作品では楽曲のドラマティックな雰囲気が視覚的にも表現されています。ライヴではエネルギッシュに演奏されることが多く、観客との一体感を生む定番のレパートリーの一つとなりました。
評価と影響
この曲は長いタイトルと印象的なフレーズでしばしば言及され、パニック!アット・ザ・ディスコの初期のアイデンティティを象徴する楽曲の一つとして評価されています。ドラマティックな演出や歌詞の機知に富んだ表現は、バンドが以後に築くシアトリカルなスタイルの基礎を示しています。
フォーマットと収録情報
シングルは商業的なフォーマットで発売され、CDシングルやデジタル配信などで入手可能でした。シングル盤や地域によっては編集版やリミックス、ライブ音源などが併録される場合もあり、コレクターズ・アイテムとしての側面もあります。
補足
- 曲タイトルの由来や長いタイトル表現は、バンドの当時のアーティスティックな志向を反映しています。
- 初期の代表曲のひとつとして、アルバム全体や同時代のシーンを語る際にしばしば取り上げられます。
ミュージック・ビデオ
このミュージックビデオは、2006年6月19日にカリフォルニア州ロサンゼルスで撮影された。2006年7月14日、MTV2で公開された。頭に水槽を乗せた人たちが登場する。このビデオはバンドを1シーンしか映していない(救急隊員はバンドメンバー)。バンドは彼らのルックスが音楽から気を散らすと感じたからである。
ミュージックビデオは、歩道を歩く一人の女性から始まります。なぜか彼女の頭には魚拓があり、周りの人々も皆魚拓を持っています。彼女はすぐに水たまりに逃げ込み、それをたどっていくと、魚がバタバタと泳いでいるのを見つけます。彼女はそれを水槽に入れ、じっと見つめる。水槽が壊れ、今にも死にそうな男の周りに集まっている人たちを発見する。女はフラッシュバックで、その男が自分の夫であることを知る。そして、彼女は自分のタンクを流して倒れ、自殺を図ろうとする。バンドは2台の救急車(Receiving Hospitalと書かれている)で到着し、2人をバスタブに乗せて運び出す。そしてバンドは2人を浜辺に運び、海に投げ入れる。そこで女が男を抱く。
曲目リスト
UK CD/Digital 2006年8月
- "嘘は女の子が服を脱がずにできる最大の楽しみ"
- "I Write Sins Not Tragedies" (ライブ・フロム・アストリア)
UKエンハンスドCD - 2006年8月
- "嘘は女の子が服を脱がずにできる最大の楽しみ"
- "Build God, Then We'll Talk" (ライブ・フロム・アストリア)
- 「嘘をつくことは、服を脱がずに楽しむこと」(ビデオ)
- "Lying Is the Most Fun a Girl Can Have Without Taking Her Clothes Off" (アストリアからのライブ映像)
UK 7" ピクチャーディスク - 2006年8月
- "嘘は女の子が服を脱がずにできる最大の楽しみ"
- 「殉教と自殺の唯一の違いは報道だ」(ライブ・フロム・アストリア)
WMI CD/Digital 2007年1月号
- 「嘘をつくのは女の子が服を脱がずにできる一番楽しいこと」(Radio Edit)
- "Lying Is the Most Fun a Girl Can Have Without Taking Her Clothes Off" (Album Version)
- "I Write Sins Not Tragedies" (ライブ・フロム・アストリア)
- "Build God, Then We'll Talk" (ライブ・フロム・アストリア)