概要: ミンストレルという語は、関連しながらも異なる二つの伝統を指します。中世ヨーロッパでは、ミンストレルは歌い手であり作曲家であり、詩人であり、楽器奏者でもあり、宮廷や公の集まりで歌を作って演じました。19世紀アメリカでは、この語はミンストレル・ショーに結びつく興行者を指すようになり、人気はあったものの、人種的な固定観念に依拠した舞台芸能を意味しました。
中世における役割と特徴
中世のミンストレルは、作曲、詩作、演奏を組み合わせていました。自作の歌を歌い、叙事的な物語を語り、リュート、ハープ、ヴィエールなどの楽器を伴奏に用い、ときには曲芸や語り物も披露しました。なかには貴族の館に仕えた者もいれば、町から宮廷へと旅をしながら、歌やニュースを保存し伝えた者もいました。
地域的な類型
- トルバドゥール — オクシタニー(フランス南部)で活動した抒情詩人・音楽家。
- トゥルヴェール — 北フランスにおける対応する存在。
- ミンネゼンガー — 宮廷恋愛を主題としたドイツの詩人・音楽家。
これらの分類は、職能を厳密に分けたものというより、言語や地域様式の違いを示しています。いずれも作曲者であり演者であるという役割を共有していました。
アメリカのミンストレル芸とその遺産
アメリカ合衆国では、ミンストレル・ショーは19世紀初頭に人気の演劇形式として登場しました。通常は喜劇的な寸劇、歌、踊りで構成され、白人の出演者がしばしば黒塗りの化粧をし、アフリカ系アメリカ人を戯画化した表現に依拠しました。のちに黒人の出演者たちも自前の一座を結成し、ときにはこのジャンルの要素を取り入れて、大衆音楽を利用しつつ、同時に形作る作品を生み出しました。ミンストレル芸は、後のヴォードヴィルや初期のポピュラーソングなどのアメリカ娯楽に影響を与えましたが、人種差別的な固定観念への依存のため、きわめて問題のある遺産を残しました。
特筆すべき違いと意義: 中世の職業としてのミンストレルは、口承詩を保存し、各地の音楽伝統を形づくった存在として記憶されています。一方、アメリカの文化現象としてのミンストレル芸は、その芸術的影響と人種表象における役割の両面から研究されています。学術的な概説は 参考文献 を参照してください。