核小体(ヌクレオルス)とは — リボソーム合成・機能と疾患の関係
核小体(ヌクレオルス)の構造とリボソーム合成、ストレス応答や疾患との関連を図解で解説。細胞機能を深く理解する必読ガイド。
核小体(ヌクレオルス)とは、真核細胞の中でリボソームが作られる中心的な領域のことです。顕微鏡で見ると、核小体は核の中にある濃く染まる部分として観察され、RNAとタンパク質が高濃度に集まった、膜で囲まれていない(非膜性)オルガネラです。原核細胞にもリボソームは存在しますが、真核細胞のような明瞭な核小体は通常見られません。真核生物の細胞には通常複数のヌクレオラス(複数形:ヌクレオール)が存在し、それぞれが核小体オーガナイザー領域(NOR)に対応して形成されます。
構造と形成
核小体は膜に囲まれないため動的で、液–液相分離(liquid–liquid phase separation)により形成されると考えられています。核小体内部は機能に応じて幾つかの領域に分かれます(電子顕微鏡で識別されることが多い)。主な区画は次の通りです。
- 線維中心(fibrillar center, FC):rDNAの転写開始部位やRNAポリメラーゼIの集積と関連する領域。
- 高密度線維成分(dense fibrillar component, DFC):前駆体rRNA(pre‑rRNA)の切断や修飾が行われ、snoRNPなどの因子が存在します。
- 顆粒成分(granular component, GC):リボソームサブユニットの組み立てが進行する領域で、成熟に近いリボソーム前駆体が集まります。
核小体は、NOR(核小体オーガナイザー領域)にある反復するrDNA遺伝子クラスターから形成されます。ヒトではこれらのNORは第13、14、15、21、22染色体の短腕に局在しています。rRNA遺伝子の転写は主にRNAポリメラーゼIによって行われ、最初に合成される45S前駆体rRNAが切断・修飾を受けて18S、5.8S、28S rRNAになります。5S rRNAは別の遺伝子座からRNAポリメラーゼIIIにより転写され、後で核小体に輸送され組み込まれます。
主要な機能
- リボソーム合成(リボソームバイオジェネシス):rRNAの転写、修飾(メチル化・擬尿化など)、リボソームタンパク質との組み立てを通じて40S/60Sサブユニットが作られ、核膜を越えて細胞質へ輸送されます。リボソームは細胞のタンパク質合成という基本機能を担います。
- 小核小体RNA・RNPの組み立て:snoRNAやsnoRNPなどがpre‑rRNAの修飾に関与します。また、シグナル認識粒子(SRP)など一部のリボヌクレオタンパク複合体の組み立てにも関与します。
- ストレス感知とシグナル伝達:核小体は細胞ストレスに敏感で、ストレス時には核小体構造やrRNA合成が変化します。核小体の機能障害は「核小体ストレス」を引き起こし、リボソームタンパク質とMDM2の相互作用を介してp53経路を活性化するなど、細胞周期やアポトーシスに影響を与えます。
- その他の細胞機能への関与:クロマチンの局所構造、RNA代謝、ウイルス感染時のウイルス蛋白の局在・複製、細胞増殖に関する調節など多面的な役割があります。
核小体と疾患
核小体の異常は多くの疾患と関連しています。代表例を挙げると:
- リボソモパシー(ribosomopathies):リボソーム合成の欠陥に基づく遺伝性疾患群で、Diamond–Blackfan貧血、Shwachman–Diamond症候群などが含まれ、骨髄形成不全や先天性異常を引き起こします。
- がん:がん細胞ではしばしば核小体が肥大し(核小体の増大は増殖能の指標の一つ)、rRNA合成が亢進しています。核小体機能を標的とする治療(例:RNAポリメラーゼI阻害剤など)の研究も進んでいます。
- ウイルス感染:多くのウイルスは核小体因子に結合したり核小体に局在して複製や蛋白の組み立てを助けます。
- 核小体ストレスによる細胞死・老化:核小体の機能喪失はp53経路を介して細胞運命に影響し、発生異常や老化にも関与します。
研究と観察法
- 位相差顕微鏡・蛍光顕微鏡や電子顕微鏡で核小体を観察できます。核小体マーカーとしてはfibrillarin、nucleolin、NPM1(nucleophosmin)などのタンパク質がよく用いられます。
- rRNA合成活性は放射性同位体取り込みや新生RNA標識法、RNAポリメラーゼI活性の検出で評価されます。
- 分子生物学的手法(クロマチン免疫沈降、RNAシークエンシング、プロテオミクス)により核小体関連因子やその変化が解析されます。
ポイントのまとめ
- 核小体はリボソーム合成の中枢であり、rRNAの転写・加工・組み立てがここで行われる。
- 膜を持たない動的な構造で、液–液相分離により形成され、細胞の代謝状態やストレスに応じて構造・機能が変化する。
- 核小体の異常は多様な疾患と関連し、基礎研究や治療標的として重要な研究分野である。
核小体は単に「リボソームを作る場」以上の多機能性を持つ細胞核内の重要な構造です。研究は現在も進行中で、核小体の分子機構や疾患との関連は今後さらに深く解明されると期待されています。

細胞核の内側にある核小体
質問と回答
Q:核家族とは何ですか?
A:核小体とは、真核細胞でリボソームが作られる部分のことです。
Q: 顕微鏡で見ると、核小体はどのような形をしていますか?
A:顕微鏡で見ると、核小体は細胞の核の中にある黒い点です。
Q: 核小体の成分は何ですか?
A:核小体は、高密度のRNAとタンパク質で構成されています。
Q: 真核細胞の核小体は、原核細胞の核小体とどう違うのですか?
A:真核細胞は原核細胞よりも核小体が多く、原核生物には目に見える核小体は存在しません。
Q: 核小体オーガナイザー領域(NOR)とは何ですか?
A: 核小体オーガナイザー領域(NOR)とは、核小体を形成する染色体領域のことです。
Q: 核小体はストレスに対する細胞の反応にどのような役割を果たしているのですか?
A: 核小体は、ストレスに対する細胞の反応に関与しています。
Q: 核小体の機能不全は病気の原因になるのでしょうか?
A:はい、核小体の機能不全は、いくつかの病気の原因となる可能性があります。
百科事典を検索する