ナッツ(果物)とは 植物学上の定義と種類 真正ナッツと俗称ナッツの違い

ナッツは、堅く木質化した殻に包まれた乾いた果実(通常は1個の種子を含む)を指す言葉で、いくつかの植物の系統で独立して進化した果実型です。人間や野生動物にとって重要な食物の資源であり、貯蔵性が高くエネルギー密度も大きいのが特徴です。英語や日常語では多くの乾燥種子・果実が「ナッツ」と総称される一方で、植物学者にとっては厳密に「堅果(true nut)」と呼べるものは限られます。

植物学上の定義(堅果=true nut)

堅果は、果皮全体(外果皮・中果皮・内果皮)が厚く硬化して「殻」となり、成熟後も裂けて種子を放出しない(不開裂=indehiscent)タイプの乾果です。種子は殻にしっかり閉じ込められ、自然には外に出ません。これは、成熟時に果実が裂けて種子を放出するタイプの乾果と対照的です。

代表例として、ヘーゼルナッツ(ハシバミ属)やブナ科の、カシ類のドングリなどが挙げられ、これらは「真正ナッツ」とみなされます。これらは石のように硬化した果実壁(果皮)が種子を内側に閉じ込めており、通常は1種子(例外もあり)を含みます。

一方、クルミやヒッコリーの多くは外側に皮様の果皮(外果皮・中果皮)があり、その内側に硬い殻(内果皮)がある「核果(drupe)に近い構造」で、実際に食べているのは殻の中の種子です。見た目や名称はナッツでも、厳密な意味での堅果ではありません。

真正ナッツと俗称ナッツの違い

日常語の「ナッツ」は、食用の堅い殻付き種子・果実の総称であり、必ずしも堅果ではありません。以下に典型的な例を示します。

  • 真正ナッツ(堅果)の例:ヘーゼルナッツ、、ブナ、ドングリ(カシ類)など。
  • 俗称ナッツ(堅果ではない)の例:アーモンド(核果の種子)、クルミ・ペカン・ヒッコリー(核果に由来)、ピスタチオ(核果の種子)、カシューナッツ(特殊な偽果に付く核果の種子)、ブラジルナッツ(大型の蒴果の種子)、ピーナッツ(マメ科の豆果)、松の実(裸子植物の種子)、ココナッツ(核果)など。

要点:日常語では「硬い殻に包まれた食用の種子・果実」を広くナッツと呼びますが、植物学的な「堅果」はその一部に限られます。

形態と機能

堅果では、石のように硬化した果実壁が種子を物理的・化学的ストレス(乾燥、微生物、捕食)から守ります。多くのナッツは動物によって貯蔵され、忘れられた種子が発芽することで散布が成立します。殻の硬さと不開裂性は、長距離散布や越冬・越乾期の生存に有利な適応と考えられています。

関連する果実タイプとの比較

  • 核果(ドゥループ):外側が肉質で内側に硬い「核(内果皮)」を持つ。例:モモ、アーモンド、クルミ、ピスタチオ、カシューナッツなど。
  • 豆果(レグーム):成熟すると莢が裂ける。例:ピーナッツ(地中で果実をつける性質を持つ)。
  • 蒴果(カプセル):成熟時に裂開する多種子の果実。例:ブラジルナッツの果実。
  • 球果由来の種子:被子植物ではなく裸子植物に由来。例:松の実。

食用・栄養・利用

  • 栄養:不飽和脂肪酸、たんぱく質、食物繊維、ビタミンE、マグネシウム・銅などのミネラルが豊富で、少量でも高エネルギー。
  • 利用:焙煎、塩味・スパイス加工、ペースト(例:ピーナッツバター、タヒニ)や菓子、サラダ・料理のトッピング、食用油の原料。
  • 保存:酸化(酸敗)を避けるため、冷暗所または冷蔵・冷凍で密閉保管が望ましい。
  • 注意:ピーナッツや木の実(ツリーナッツ)アレルギーは重篤化することがあり、表示確認や交差汚染防止が重要。

まとめ:日常語の「ナッツ」は広義の食材名であり、真正ナッツ(堅果)はその一部に過ぎません。由来する果実タイプを理解すると、名称の違いや調理・栄養の特徴がより明確になります。

コモンヘーゼルからのヘーゼルナッツZoom
コモンヘーゼルからのヘーゼルナッツ

チェスナッツZoom
チェスナッツ

クルミとクルミの芯を取り除いた外果。クルミは真のナッツではありません。Zoom
クルミとクルミの芯を取り除いた外果。クルミは真のナッツではありません。

植物学的定義

植物学でいうナッツとは、1粒(まれに2粒)の種子を持つ単純な乾燥果実のことである。成熟すると卵巣の壁は硬く(石状または木状)なり、種子は卵巣の壁に貼り付いている。

ナッツの種類

ナッツの種類には、オーク、ヒッコリー、クリ、ストーンオーク、バーチ、ヘーゼルナッツなどがあります。ピーナッツ、ココナッツ、アーモンド、マカダミア、ピスタチオ、ペカン、クルミ、カシューは真のナッツではありません。


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