オシロイバナ科(Nyctaginaceae)とは:特徴・分布・代表種をわかりやすく解説
オシロイバナ科の特徴・生態・分布と代表種を図解と写真でやさしく解説。多彩な花色やアントカープ、栽培のポイントまで詳述。
オシロイバナ科(Nyctaginaceae)は、約33属、290種の顕花植物が知られている。多くは熱帯・亜熱帯地方に分布し、温帯域にも少数の代表種が見られる。観賞用に重要なブーゲンビリアや、夕方に花を咲かせるオシロイバナ(Mirabilis jalapa)などが含まれる。生態的には多年草や低木が多く、つる性となる種類や小さな樹木になる種類もある。
形態的特徴
- 葉:単葉で全縁、互生または対生するものが多い。托葉は基本的に欠く。
- 花:真正の花弁はなく、花被(萼)が花弁状に発達して花の色や形を作る。通常は筒状で先端が5裂することが多い。単生するか総状・頭花状に集まる。
- 果実:多くの属で花被が肥厚して種子を包む「アントカープ(anthocarp)」と呼ばれる付属果を形成する。実自体は一室に単一の堅果(achene)を含むことが一般的で、外被が種子散布の役割を担う場合がある(例:有毛・翼状など)。果実
- 花粉:属によっては花粉粒が非常に大きく、直径が100μm以上に達することもある。これらは受粉生物との関係や花粉輸送の特徴に影響する。花粉粒が大きい点は科の特徴の一つとして注目される。
分布と生態
オシロイバナ科は新世界(アメリカ大陸)に多様性の中心があるが、アジア、アフリカ、オセアニアにも分布する種がある。多くは乾燥や岩場に適応したものもあり、砂浜や乾燥地に生える属(Abroniaなど)も含まれる。花は夜間に開花し蛾類により送粉される種が多い一方で、昼間に開く種や鳥類・ハチによる送粉に適した種もある。
代表属と利用
- Mirabilis(オシロイバナ属):代表種 Mirabilis jalapa は「四時花(よじばな)」とも呼ばれ、夕方〜夜に開花し芳香がある。園芸植物として広く栽培される。
- Bougainvillea(ブーゲンビリア属):大きく発達した苞(包葉)が鮮やかな色を見せることで人気の観賞植物。庭園やフェンス緑化に多用される。
- Pisonia:熱帯の海岸林に生える樹木があり、種子の粘着性により動物に付着して散布される。鳥類との関係が知られる種もある。
- その他:砂浜に生えるAbroniaや、薬用・民間利用される種も少数ある。
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)の色変異と開花習性
Mirabilis jalapa(オシロイバナ)は夕方に花を開き夜行性の昆虫(蛾など)を引きつけるために芳香を放つことが多い。興味深い現象として、同一個体に複数の花色が同時に現れることがある。これは遺伝的モザイクや転移因子(トランスポゾン)による色素遺伝子の発現変化、もしくは局所的な細胞変異が原因とされる。園芸品種では染め分け(スポットや縞)が見られることも多く、観賞価値が高い。
生態学的・経済的意義
- 観賞植物としての利用が最も重要で、ブーゲンビリアやオシロイバナは世界中で栽培されている。
- 一部の種は在来植物群落や沿岸生態系で固有の役割を果たし、種子散布や訪花昆虫との相互作用が注目される。
- 薬用利用や民間療法で用いられる例もあるが、種によって成分が異なるため利用には注意が必要である。
まとめ(ポイント)
- オシロイバナ科は約33属・290種ほどの顕花植物群で、熱帯〜亜熱帯を中心に分布する。
- 特徴的なのは花被が果実の外被となる「アントカープ」を形成する点と、場合によって非常に大きな花粉粒を持つこと。
- 種の形態は多様で、園芸植物として重要なブーゲンビリアやオシロイバナなどが知られる。
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