原生林とは?定義・特徴・生物多様性と保全をわかりやすく解説
原生林とは何かを定義から特徴、生物多様性の価値と保全の方法までわかりやすく解説。現状と保護の重要性を具体例で紹介。
原生林(プライマリー・フォレスト、ヴァージン・フォレスト、プリミヴァル・フォレスト、レイト・セラル・フォレスト、イギリスではエンシャント・ウッドランドとも呼ばれる)とは、多くの攪乱を受けずに長い時間をかけて成熟した森林のことを指します。ここでいう「攪乱」とは伐採や大規模な開発、集中的な放牧など人為的な干渉だけでなく、極端に短い間隔で繰り返される自然災害による破壊も含みます。そのため原生林は、自然のプロセスにより形成された独自の構造や機能を持っています。
原生林の主な特徴
- 多層のキャノピー構造:通常、原生林のキャノピーは幾重にも重なっており、開放的である。織り成すキャノピーは、しばしば下位の木や林床への太陽光の到達を妨げています。
- 樹齢と樹形の多様性:木の高さや直径がまちまちで、個体ごとの年齢や成長段階が幅広く存在します。
- 大量の倒木や立ち枯れ(大きな倒木や木の幹):林床には大きな倒木が散乱し、これが多様な微ハビタットや栄養循環の源になります。
- 高い生物多様性:植物、菌類、無脊椎動物、鳥類、哺乳類など多くの種が共存し、特有の生態系を形成します(以下で詳述)。
- 自然な遷移段階の保持:これはユニークな生態学的特徴を持ち、クライマックス・コミュニティに分類されることがありますが、地域によっては常に安定状態にあるとは限りません。
生物多様性と生態系サービス
原生林は多様な生物種の避難所であり、多くの種の繁殖地、採餌地、移動経路を提供します。特に大型哺乳類や希少種、固有種が依存することが多いです。さらに次のような重要な生態系サービスを担います:
- 炭素貯留:長期間にわたる成長と大量の立木・倒木により大量の炭素を蓄積し、気候変動の緩和に寄与します。
- 水源涵養と土壌保全:降雨の浸透や河川の流量安定化に寄与し、洪水や土壌侵食を抑える効果があります。
- 遺伝資源と学術的価値:未解明の種や生態過程が多く、保全と研究の価値が高いです。
原生林が受ける脅威
- 産業的伐採や違法伐採(商業伐採、製材、パルプ用地拡大)
- 農地開発やプランテーション化(焼畑や大規模農業への転換)
- 鉱山開発、道路建設、インフラ整備による分断
- 火災の増加(気候変動や人為的原因による)
- 外来種や病害虫の侵入
- 地域紛争や人口移動に伴う森林破壊(アジアなどでは地域紛争で原生林が失われることもある)
こうした影響により、世界中の原生林は減少しています。例えば、ヨーロッパでは、20世紀の工業的な伐採の影響で、原生林は7%以下になっています。アメリカでは、原生林は10%しか残っていないと言われています。
保全と管理のアプローチ
原生林を守るためには、多様な手段の組み合わせが必要です。主な対策には次が含まれます:
- 保護区域の設定:国立公園や自然保護区、世界遺産の指定など法的保護で人為的な破壊を制限します(例:白神山地、屋久島などの保護地域)。
- 先住民族・地域共同体の権利尊重:先住民族が伝統的に管理してきた土地の権利を認め、共同で保全を進めることが効果的です。
- 持続可能な土地利用計画:伐採や開発が避けられない場合でも、影響を最小限にする管理(選択伐採の回避、緩衝地帯の確保など)を行います。
- 違法活動の監視・取り締まり:違法伐採や不法開発に対する監視体制の強化が必要です。
- 修復とつなぎ直し:破壊された地域の植生回復や生態系回復(レストレーション)、生物回廊の整備によって断片化を緩和します。ただし、人工林では原生林と同じ機能を即座に回復するのは難しいため、予防的保全が最も重要です。
「原生林」と「天然林」「二次林」「古生林(オールドグロース)」の違い
- 原生林(プライマリーフォレスト):長期間にわたり大規模な人為的攪乱を受けておらず、自然な構造とプロセスが保たれている森林。
- 天然林:人為的な植林が行われていない自然林を指す広い用語。必ずしも原生林と同義ではなく、過去に利用された後に回復した林(二次天然林)も含まれます。
- 二次林(二次的自然林):伐採や開発の後に自然回復または植生回復が進んだ森林で、構造や種組成が原生林とは異なることが多いです。
- 古生林(オールドグロース):長寿で古い個体を多く含む森林を指し、原生林と重なる概念ですが、人為的干渉の履歴により区別される場合があります。
現地での見分け方(簡単なチェックポイント)
- 大径木や立ち枯れ、倒木が豊富にあるか。
- 樹種や年齢のばらつきが大きく、均一な植栽列が見られないか。
- 人為的な痕跡(伐採跡、林道、均一な植林パターンなど)が少ないか。
- 下層植生や菌類、コケ類など微細な生態系が豊かであるか。
代表的な原生林の例(世界と日本)
- ヨーロッパ:Białowieża(ビャウォヴィエジャ)原生林(ポーランド/ベラルーシ)など、残存する古い森。
- 北アメリカ:アラスカのトンガス(Tongass)などの大面積の古林。
- 熱帯地域:アマゾン地域や東南アジアの一部原生林(ただし減少が続く)。
- 日本:白神山地や屋久島など、古いブナ林・杉林が評価され保護されています。
私たちにできること(個人・市民レベルの行動)
- 持続可能な木材製品や紙製品を選ぶ(認証ラベルの確認)。
- 原生林保全に取り組むNGOや地域団体を支援・参加する。
- 原生林を訪れる際はルールを守り、立ち入り制限や「立ち入り禁止」の表示を尊重する(自然観察の際は踏み荒らしを避ける)。
- 情報を学び、地域の森林保全に関する政策や計画に関心を持つ。
原生林は単なる「古い木が残っている場所」ではなく、複雑な構造と多様な生態系サービスを持つ貴重な自然資源です。開発圧や気候変動など多様な脅威にさらされているため、科学的知見に基づく保全と地域社会や先住民族との協働が不可欠です。

モンテネグロ、ビオグラーツカゴーラ国立公園のヨーロッパブナの原生林
質問と回答
Q:原生林とは何ですか?
A: 原生林とは、あまり攪乱されずに大きな樹齢を迎えた森林のことで、独特の生態系を有しています。
Q:原生林の特徴にはどのようなものがありますか?
A:樹冠が幾重にも重なって開いている、樹高や直径が変化している、林床に大きな倒木があるなど、樹木に関連するさまざまな構造が原生林の特徴です。
Q: 原生林は森林生態系にどのような影響を与えるのですか?
A:原生林は野生生物の生息地を提供し、森林生態系の生物多様性を向上させます。
Q: ヨーロッパの原生林の割合はどのくらいですか?
A: ヨーロッパでは、主に20世紀の工業的伐採により、原生林の割合は7%以下となっています。
Q: アメリカに残っている原生林の推定割合は?
A: 推定では、米国に残っている原生林は10%程度と言われています。
Q: アジアで原生林が失われることがあるのはなぜですか?
A:アジアでは、地域紛争で原生林が失われることがあります。
Q: 原生林にはどんな呼び方がありますか?
A:原生林、原生林、原始林、晩生林、イギリスでは古代林とも呼ばれています。
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