口蓋(硬口蓋・軟口蓋)とは|構造・機能・口蓋裂などの異常

口蓋(硬口蓋・軟口蓋)の構造と機能、口蓋裂などの発達異常の原因・症状・診断・治療法をわかりやすく解説。ケアや予防法まで詳しく紹介。

著者: Leandro Alegsa

口蓋は、人間や他の哺乳類の口の中の屋根です。口腔(こうくう)と鼻腔(びくう)を隔てている。

ワニ類にも同様の構造が見られるが、他の四肢動物の多くは、口腔と鼻腔が真に分離しているわけではない。

口蓋は、前方の骨付き硬口蓋と後方の肉付き軟口蓋に分けられる。

硬口蓋は生前に形成される。融合が完全でない場合、口蓋裂と呼ばれます。これは、生まれつき、あるいは先天性の障害です。

口蓋は、かつて味覚の中枢と考えられていたため、「a discriminating palate」という表現があるように、味覚そのものを指すこともある。さらに広げて、食品(特にビールやワイン)の風味を口蓋と呼ぶこともある。

構造(解剖)

硬口蓋(前方)は、左右の上顎骨(上顎の口蓋突起)と口蓋骨(横板)の骨性構造からなり、その表面は粘膜で覆われます。正中には口蓋縫線(palatine raphe)があり、口蓋隆起(rugae)と呼ばれる横しわが認められます。前方には正中口蓋孔(incisive foramen)があり、ここを通って神経・血管が走ります。

軟口蓋(後方)は可動性のある筋性の板で、口蓋帆(palatal aponeurosis)を中心に複数の筋肉で構成されます。口蓋垂(のどちんこ、uvula)も軟口蓋の一部です。軟口蓋の筋肉は、咽頭や舌と連動して嚥下や発声で重要な役割を果たします。

主要な筋肉

  • 軟口蓋挙筋(levator veli palatini):軟口蓋を持ち上げ、咽頭後壁との閉鎖(軟口蓋と咽頭の接触)を作る。通常は迷走神経支配(咽頭筋叢)。
  • 口蓋帆張筋(tensor veli palatini):軟口蓋を張り、耳管(咽頭口)の開放にも関与。三叉神経下顎枝(V3)が支配する点が特徴的。
  • 口蓋舌筋(palatoglossus):軟口蓋と舌をつなぎ、舌を後上方に引き上げる。咽頭筋叢(主に迷走神経)支配。
  • 口蓋咽頭筋(palatopharyngeus):軟口蓋と咽頭を連結し、咽頭入口の狭窄に関与。
  • 口蓋小舌筋(musculus uvulae):口蓋垂の形を保つ。

神経・血管支配

  • 感覚:硬口蓋の感覚は上顎神経(V2)の枝である大口蓋神経や鼻口蓋神経(nasopalatine nerve)が主に担当します。軟口蓋の感覚は小口蓋神経(lesser palatine nerves)や一部は舌咽神経(IX)によることもあります。
  • 運動:ほとんどの軟口蓋筋は咽頭筋叢を介する迷走神経(X)が主な運動支配をしますが、口蓋帆張筋だけは三叉神経下顎枝(V3)によって支配されます。
  • 血管:上顎動脈の分枝(下降口蓋動脈→大口蓋・小口蓋動脈)が硬口蓋・軟口蓋に血液を供給します。

機能

  • 隔壁機能:硬口蓋と軟口蓋は口腔と鼻腔を分け、食物や液体が鼻腔へ逆行するのを防ぎます。
  • 嚥下:軟口蓋が挙上して鼻腔を閉鎖し、咽頭への食塊移送を助けます。
  • 発声・呼気調節:発音時に軟口蓋と咽頭後壁の閉鎖(velopharyngeal closure)を作ることで、口腔共鳴を確保し、口蓋の不完全だと鼻声(鼻音化)になります。
  • 味覚・感覚:口蓋自体に味蕾は多くありませんが、口腔内での感覚的役割と食物の風味の受容に関係する文化的用語としての「palate(口蓋・味覚)」があります。

臨床的意義

口蓋裂(cleft palate):胎生期に口蓋の形成が不完全だと起こる先天異常で、単独の口蓋裂や唇裂と合併する場合があります。問題点としては授乳困難、栄養障害、中耳炎(耳管機能不良による)や構音障害(鼻音化、構音の乱れ)などが挙げられます。治療は外科的に口蓋形成術(palatoplasty)を行い、言語療法や必要に応じて補綴(口蓋閉鎖補助プロステーシス)を併用します。修復の時期や方法は個々の症例で異なりますが、早期の介入が言語発達に重要です。

粘膜下口蓋裂(submucous cleft palate):表面の粘膜は連続しているが内部の筋や骨の癒合不全があるタイプで、二重口蓋垂(bifid uvula)、粘膜の薄化(zona pellucida)、後方硬口蓋縁の切れ込みなどが手がかりになります。見落とされやすく、発語や耳の問題で発見されることがあります。

その他の疾患・異常:硬口蓋隆起(torus palatinus)という良性の骨性隆起、粘液嚢胞や良悪性腫瘍、外傷や感染による問題も起こり得ます。また、成人では歯科治療や義歯装着時の基盤となるため重要です。

比較解剖・進化的背景

多くの哺乳類やワニ類では、二次口蓋(secondary palate)が発達して口腔と鼻腔が完全に分離されています。これにより動物は口を閉じたまま呼吸できる利点を持ち、咀嚼や嚥下が効率良く行えます。一方で爬虫類や両生類などでは口腔と鼻腔の分離が不完全な場合が多く、種によって差があります。

言語・文化的用法

英語などでは「palate」が「味覚」「味わいの好み」を指す比喩として使われます。「a discriminating palate(目の肥えた味覚)」のように、飲食物の風味を評価する能力を表す言葉です。日本語でも「口蓋」を食べ物の風味や舌の感覚に関連づけて比喩的に用いることがあります。ワインやビールの評価で「口の中での感じ」を表現する際に「口蓋に残る風味」などと表現されます。

診察でのポイント

  • 口蓋を視診・触診し、裂隙・隆起・粘膜の異常を確認する。
  • 疑わしい構音障害や鼻声がある場合は、鏡検査やファイバースコピーで軟口蓋と咽頭後壁の閉鎖状態を評価する。
  • 小児では授乳時のミルクの逆流や頻繁な中耳炎の既往が口蓋裂や機能異常の手がかりとなる。

以上のように、口蓋は単に「口の屋根」という解剖学的構造を超えて、嚥下、呼吸、発声、さらには文化的・感覚的な側面まで幅広い役割と意義を持つ部位です。

質問と回答

Q:口蓋とは何ですか?


A:口蓋とは、人間や他の哺乳類の口の中の屋根のことです。

Q:哺乳類で口腔と鼻腔を分けているものは何ですか?


A:口蓋は、哺乳類の口腔(口)と鼻腔(鼻腔)を分けています。

Q: ほとんどの四肢動物では、口腔と鼻腔は分かれているのでしょうか?


A:いいえ、他のほとんどの四肢動物では、口腔と鼻腔は本当の意味で分離していません。

Q: 人間や他の哺乳類では、口蓋はどのように分かれているのですか?


A: 口蓋は、前方の骨の多い硬口蓋と後方の肉の多い軟口蓋の2つの部分に分かれています。

Q: 口蓋裂とは何ですか?


A:硬口蓋の癒合が出生前に完了しない場合、口蓋裂と呼ばれます。これは生まれつきの、あるいは先天性の欠陥です。

Q: 口蓋は味覚のことを指すのでしょうか?


A:はい。かつて口蓋は味覚の中心であると考えられていたため、「a discriminating palate」という言葉のように、味覚そのものを指すこともあります。

Q:食べ物の味はどうして口蓋と言えるのでしょうか?


A: さらに拡張すると、食品(特にビールやワイン)の風味をその口蓋と呼ぶこともあります。


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