プランク衛星(ESA):CMBを高精度マッピングした宇宙観測所(2009–2013)
ESAのプランク衛星(2009–2013)がCMBを高精度マッピング。宇宙年齢や暗黒物質比率など重要な宇宙論成果をわかりやすく解説。
プランクは、欧州宇宙機関(ESA)が2009年に打ち上げ、2013年に運用を終了した高感度の宇宙観測所です。 太陽–地球系の第2ラグランジュ点(L2)付近で観測を行い、全天を詳細にスキャンすることで宇宙背景放射の精密な地図を作成しました。
目的と観測対象
宇宙マイクロ波背景(CMB)の異方性を、複数のマイクロ波・サブミリ波周波数帯で高感度かつ高角度分解能で測定することが主目的でした。これにより、初期宇宙の状態や宇宙構造の成長、宇宙論的パラメーターの高精度決定を目指しました。
搭載機器と運用方式
- 2つの主要観測器:
- 低周波器(LFI): 30、44、70 GHz帯の受信を行うHEMT増幅器を用いた器材。
- 高周波器(HFI): 100〜857 GHzのボロメータを搭載。低温(ミリケルビン)冷却により極めて高い感度を達成。
- 角度分解能:最も高い周波数では約5分角(5 arcmin)程度の分解能を実現し、小さな角度スケールのゆらぎも検出できました。
- 冷却系:HFIはサブケルビンの温度で動作するための複雑な冷却系を搭載しており、これが高感度測定の鍵となりました。
- 運用期間:2009年5月に打ち上げられ、HFIは冷却材の消耗により2012年初頭に観測を終了、LFIはその後も観測を継続して2013年にミッション全体が終了しました。
主な科学的成果
- 宇宙論的パラメーターの高精度化:宇宙における普通の物質と暗黒物質の平均密度、宇宙膨張率(H0)の推定、宇宙の年齢(宇宙の年齢)などを世界で最も高い精度で決定しました(最終データリリースでは宇宙年齢は約13.8億年のオーダーとされています)。
- 温度および偏光マップ:全天の温度ゆらぎと偏光(Eモード)を高精度でマッピングし、初期揺らぎのスペクトル形状(スペクトル指数 n_s が1より小さいことなど)を明確に示しました。
- primordial 重力波(Bモード)への制約:直接検出はできなかったものの、原始重力波の振幅(テンソル対スカラー比 r)に対して強い上限を与え、初期宇宙のインフレーション理論の絞り込みに寄与しました。
- 成長構造・クラスタ観測:銀河団のサンヤエフ=ゼルドヴィッチ(SZ)効果によるカタログ(Planck SZ catalog)や、点源カタログ(PCCS)などを作成し、銀河団や遠方の塵で熱せられた系、活動銀河核などの研究に貢献しました。
- 天体物理的貢献:宇宙マイクロ波での前景(銀河塵、同期放射、自由放射など)を高精度で分離したことで、銀河・星形成史や宇宙赤外背景(CIB)研究にも重要なデータを提供しました。
- 基本的な物理制約:ニュートリノの実効自由度(Neff)や総ニュートリノ質量の上限、原始揺らぎの非ガウス性(f_NL)に対する強い制約を与え、標準宇宙論モデル(ΛCDM)の検証に寄与しました。
データ処理と公開
プランクは観測データからCMB信号を抽出するために、複数の成分分離手法(例:Commander、SMICA、NILC、SEVEM)を用いて前景を除去しました。得られた全天マップ、パワースペクトル、カタログ類、処理ソフトウェアと文書は段階的に公開され、主要なデータリリースは2013年、2015年、最終版の2018年に公開されました。これらの公開データは後続の解析や他観測との比較に広く用いられています。
ミッションの位置づけと遺産
本ミッションは、以前の観測(たとえばNASAの Wilkinson Microwave Anisotropy Probe(WMAP)による結果)を大幅に改良し、宇宙論や天体物理学に関する多くの理論的予測を厳密に検証しました。プランクの成果はCMB観測の標準となり、後続の観測計画(地上や将来の衛星ミッション)に対する基準と目標値を与えています。
運用終了と現在の状況
プランクはミッションを終え、現在は電源が切られています。観測は終了しましたが、得られたデータと解析結果はプランク遺産としてESAのアーカイブに保存され、研究コミュニティで引き続き活用されています。
プランクの高精度な測定は、初期宇宙や宇宙構造の起源に関する理解を深めるとともに、今後の観測プロジェクト(より高感度の偏光観測や原始重力波探索など)への道を拓きました。
質問と回答
Q:プランクとは何だったのですか?
A:プランクとは、欧州宇宙機関(ESA)が2009年から2013年まで運用していた宇宙観測衛星です。
Q: プランクは何を観測したのですか?
A: プランクは、宇宙マイクロ波背景の異方性を、マイクロ波と赤外線の周波数で、高感度と小さな角度分解能でマッピングしました。
Q: プランクはこれまでの観測をどのように改善したのですか?
A: NASAのウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機による観測を改良したものです。
Q: プランクのミッションの目的は何ですか?
A: プランクのミッションの目的は、宇宙論と天体物理学に関する主要な情報源を提供し、初期宇宙と宇宙構造の起源に関する理論を検証することでした。
Q: プランクのミッション終了後、どのような測定が行われたのですか?
A: プランクは、ミッション終了後、宇宙における通常の物質と暗黒物質の平均密度や宇宙の年齢など、いくつかの重要な数値について最も正確な測定を行いました。
Q: プランクはまだ稼働しているのですか?
A:いいえ、プランクは現在スイッチを切っているため、稼働していません。
Q: プランクは宇宙物理学の分野でどのような重要な貢献をしたのですか?
A: プランクのミッションは、宇宙論と天体物理学に関する主要な情報源を提供し、いくつかの重要な数値の最も正確な測定を行い、天体物理学の分野に大きく貢献しました。
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