ポア・プラテンシス(ケンタッキーブルーグラス)とは:特徴・分布・利用

ポア・プラテンシス(ケンタッキーブルーグラス)の特徴・分布・生育環境と芝生や牧草としての利用法を写真付きでわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

イネ科の多年草で、Smooth Meadow-grassCommon Meadow Grass、またはKentucky Bluegrassとも呼ばれるヨーロッパアジア、アフリカ北部が原産。高さは30〜70cm。

ポア・プラテンシス(Poa pratensis)は、牧草として有用な植物である。また、公園や庭の芝生化にも利用される。ポアはギリシャ語で飼料を意味し、家畜に与える食料である。

ケンタッキーブルーグラスの名は、その青い花頭からきている。

特徴(形態と生長)

  • 地下茎(リゾーム)を発達させて横に広がり、密な芝生状の群落を作る。これにより傷んだ部分の自己修復力が高い。
  • 葉は細く柔らかく、色は青緑色。春に穂状の花序が伸び、全体に青みがかった印象を与えるため「ブルーグラス」と呼ばれる。
  • 耐寒性は高く冷涼な気候を好むが、極端な高温・乾燥には弱く夏季には休眠して葉色が悪くなることがある。
  • 高さは一般的に30〜70cmで、芝として管理する場合は頻繁に刈り込まれるため低く保たれる。
  • Poa pratensis は染色体数や形質の異なる多数の系統があり、園芸・牧草用に改良された品種群がある。

分布・生育環境

  • 原産はヨーロッパ、アジアおよび北アフリカの冷涼地で、世界各地に帰化・栽培されている。
  • 日当たりの良い草地〜半日陰を好み、排水が良い肥沃な土壌でよく育つ。土壌pHはおおむね中性からやや酸性(pH6.0前後)を好む。
  • 湿潤な環境では良好に生育するが、過湿や水はけの悪い場所は病害の発生を招きやすい。

利用(芝生・牧草・その他)

  • 芝生(レジャー・スポーツ用):見た目が美しく踏圧回復力に優れるため、公園、ゴルフ場のフェアウェイ、一部の庭園芝に広く使われる。寒冷地の高級芝としての評価が高い。
  • 牧草:若い時期は栄養価が高く家畜に良く食べられる。乾草や緑肥、放牧草としても利用されるが、成長が進むと茎葉が硬くなり飼料価は低下する。
  • 土壌保護・緑化:リゾームでの繁殖により地表被覆力が高く、侵食防止や斜面の緑化に有効である。

栽培・管理のポイント

  • 播種時期は春または秋(特に秋は気温が落ち着き発芽・定着が良い)。種子を均一に播き、覆土は薄くして保湿する。
  • 日常管理では適度な施肥(特に窒素)が必要。春と秋に追肥を行うと葉色・生育が良くなる。
  • 刈り込み高さは用途に応じて調整する。一般的な芝生では短めに管理することが多いが、刈り過ぎは草勢低下を招くため適度に保つ。
  • 乾燥に弱いため、夏季は十分な灌水が必要だが過湿は根腐れや病害を招くため排水管理も重要。
  • 目土入れ、エアレーション(通気)やトップドレッシングによる更新で健康な芝生を維持する。

繁殖と定着力

  • 主に種子での繁殖と地下茎による栄養繁殖の両方で増える。リゾームの伸長で横方向に広がり、速やかに密な群落を形成する。
  • このため芝生としての自己修復性は高いが、逆に在来草地では侵入性を示すことがある。

病害虫と対策

  • 代表的な病気:雪腐菌(スノーモールド)、葉枯病、さび病、円盤病などの菌核病や葉部病害。冬季や高湿条件で発生しやすい。
  • 害虫:コガネムシ幼虫(根を食害するグラブ)やサビダニ類などが問題になることがある。
  • 対策:適切な排水・通気、過剰肥料の回避、輪作的管理や耐病性品種の導入、必要に応じて薬剤防除を行う。

環境影響・雑草性

  • 庭園や牧場では優れた被覆植物だが、自然草地では外来種として在来植物を圧迫する例が報告されている。特に高山帯や乾燥草地で問題になることがあるため、導入・管理には注意が必要である。
  • 一方で、適切に管理すれば土壌浸食防止や都市の緑化に貢献する。

代表的な品種と育種の傾向

  • 園芸・ turf 用には耐病性や耐暑性、葉色の良さ、密生性を高めた多くの改良品種が存在する。品種によって耐寒性・耐暑性のバランスが異なるため、使用地域に合った品種選定が重要である。
  • 育種は主に密度、耐踏圧性、発芽率、病害耐性を目標に行われている。

まとめ(要点)

  • Poa pratensis(ポア・プラテンシス、ケンタッキーブルーグラス)は冷涼な地域で優れた芝生・牧草資源となる多年草で、リゾームによる密な被覆力と美しい青緑色の葉が特徴。
  • 庭や公園、運動場などの用途では見た目と踏圧回復性が高く評価されるが、乾燥や高温には弱く、病害管理や適切な肥培管理が必要。
  • 自然環境へ導入する場合は在来種への影響を考慮し、地域特性に応じた管理が求められる。


百科事典を検索する
AlegsaOnline.com - 2020 / 2025 - License CC3