Prestel(プレステル)とは — 英国郵便局のViewdata型ビデオテックス概説
Prestel(プレステル)の歴史と技術を詳解 — 英国郵便局のViewdata型ビデオテックスが1979年商用化されオンライン時代の先駆けとなった全貌を紹介。
Prestelは、イギリス郵便局のViewdata技術のブランド名で、1970年代後半に開発され、1979年に商用化された双方向ビデオテックスシステムです。英国では最大9万人の加入者を達成し、最終的には1994年にBT社に売却された。 当時はまだインターネットが一般化していなかったため、Prestelは家庭向けのオンライン情報サービスとして注目され、ニュース、天気、旅行情報、金融サービスなど多様な情報を提供しました。
この技術は、現在のオンラインサービスの先駆けであり、パソコンの一般普及前に家庭で情報を閲覧する手段を提供しました。ユーザーは専用端末をテレビに接続し、電話回線を介して遠隔地のデータベースから情報を受信しました。接続はダイヤルアップの低速通信で行われ、テキスト中心・文字ベースの表示に限られていたため、画像は限られた表現にとどまりましたが、当時としてはインタラクティブな操作性を持っていました。
技術的特徴
- 文字ベースの画面表示を基本とし、限定的なグラフィック(ブロックやモザイク状の表示)をサポート。フルカラー写真の表示や高解像度画像は困難だった。
- ユーザーは専用端末や適合する端末ソフトを使い、電話回線を通じてホストと通信。通信速度は低速で、ページの転送に数秒から十数秒を要することが一般的だった。
- 双方向性(ユーザーからの入力や注文の送信)が可能で、単なる一方向の放送(テレテキスト)とは異なるサービス提供ができた。
提供されたサービスの例
- ニュース、天気、スポーツの速報ページ
- 交通・旅程情報やチケット予約の簡易サービス
- 銀行残高照会や簡単なオンライン取引(限定的)
- ショッピングやカタログ閲覧、広告ページ
- 企業や自治体による情報公開ページ
歴史と普及状況
Prestelは1970年代後半から1980年代にかけて実用化され、家庭や一部企業で使われました。英国以外でも同様のビデオテックス(Viewdata/Videotex)システムが試行されましたが、各国の標準や端末事情が分かれていたため、世界的な統一は進みませんでした。フランスのMinitelとしばしば比較されますが、Minitelはフランス国内で官民一体の大規模普及が進んだのに対し、Prestelの普及は限定的でした。
衰退と遺産
1990年代に入るとパーソナルコンピュータの普及とインターネットの登場により、Prestelのような閉じたビデオテックスサービスの優位性は失われていきました。通信速度や表示能力の限界、ページ数や情報量の競争力不足も衰退の一因です。しかし、Prestelはオンライン商取引や電子情報配信、双方向通信サービスの先駆例として重要な役割を果たし、その技術や運用経験は後のオンラインサービスやインターネット普及期に生かされました。
簡単な年表
- 1970年代後半 — Prestelの開発開始
- 1979年 — 商用サービス開始
- 1980年代 — 家庭向け・企業向けに情報サービスを展開、加入者拡大(最大約9万人)
- 1990年代初頭 — インターネットの台頭で利用者減少
- 1994年 — サービス資産がBT社に売却された。
Prestelは今日のウェブやオンラインバンキング、電子商取引といったサービスの原型の一つと見なすことができ、情報通信の歴史における重要なマイルストーンです。


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