陽子は、原子の中心部にある正の電荷をもつ粒子である。中性子とともに、陽子は原子核をつくる。周期表に並ぶ化学種の違いは、それぞれの原子がいくつの陽子をもつかを反映しており、その数が原子の正体を決める。

陽子と元素

原子核に含まれる陽子の数は、同じ元素に属するすべての原子で一定であり、この数が原子番号である。たとえば、水素原子は通常、1個の陽子と1個の周囲を回る電子から成る。より重い元素では、原子核の中で陽子に加えて中性子が組み合わさっている。

質量と大きさ

ふつうの原子の総質量の大部分は原子核にあり、その主な寄与は陽子と中性子が担う。陽子の質量は原子質量単位1個分に近く、中性子もほぼ同じ質量をもつ。これに対して電子の質量は陽子の約1/1836しかないため、原子全体の質量は陽子が大きく左右する。

内部構造と電気的性質

陽子は素粒子ではなく、強い相互作用によって結びついたクォークからなる複合粒子である。陽子は3個の価クォーク、すなわち2個のアップクォークと1個のダウンクォークで構成される。これらのクォークがもつ分数電気電荷は、アップクォーク1個あたり+2/3、ダウンクォークは−1/3であり、合計すると陽子全体の+1の素電荷になる。

陽子内部のクォークと、それらを束縛する力の担い手は、硬い球ではなく、動的で広がりのある分布をつくっている。量子効果により、陽子は有効な大きさと内部構造をもち、しばしばクォークとグルーオンの雲として説明される。多くの原子核を構成する核子、つまり陽子と中性子は、原子の質量の大部分を担っている。