パープルハートとは、アメリカ軍の勲章の一つである。1917年4月5日以降に米軍に従軍し、負傷または死亡した者に大統領の名で授与される。紫色の布で作られたハートの形をした軍功章を引き継いでいる。パープルハートは、現在でも米軍人に与えられる最も古い軍事賞である。全米パープルハート名誉殿堂は、ニューヨーク州ニューウィンザーにある。
歴史の概要
パープルハートは、アメリカ最初期の勲章である「Badge of Military Merit(軍功バッジ)」の系譜を引き継いでいます。Badge of Military Merit は1782年にジョージ・ワシントン将軍によって創設されましたが、その後長く使われませんでした。現在のパープルハートは1932年2月22日に陸軍省により復活・制定され、受章資格は第一次世界大戦の米国参戦日である1917年4月5日以降にさかのぼって認められています。
以後、第二次世界大戦や朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、対テロ作戦などの各戦闘で多数が授与されてきました。総授与数は概数で百万単位に上ります(時期により増減)。
受章基準(誰がもらえるか)
- 敵による負傷または死亡:敵の行為により負傷した者、あるいは戦闘行為により死亡した者が対象です。
- 治療と記録が必要:負傷については医療関係者による診療・治療が行われ、公式記録に残されていることが求められます。
- 戦闘関連の例外:テロ攻撃や敵の武器による偶発的被害、戦闘行為に伴う事故なども該当する場合があります。一方で病気や自己傷害、懲戒処分に伴う負傷は通常対象外です。
- 追授(戦死者の場合):戦死した者には遺族が代わって授与されます。
- 追加授与の表示:同一人物が複数回受章した場合、各軍種の規定に従いオークリーフ・クラスターや小さな星などで追加を表示します。
外観と意匠
パープルハートは紫色のエナメルを施したハート形のメダルで、中心にジョージ・ワシントンの横顔像が描かれています。メダルの上部にはワシントンの紋章を模した意匠があり、裏面には「FOR MILITARY MERIT(軍事上の功績のため)」などの刻印が入っています。リボンは紫地に白い縁取りが施されています。
授与手続きと管理
パープルハートは形式上「大統領の名において」授与されますが、実務上は各軍種(陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊など)が所定の手続きで申請・承認を行います。負傷の記録や目撃証言などを基に調査が行われ、適格と認められれば正式に授与されます。過去の出来事について遡って申請・再審査され、追授されるケースもあります。
よくある誤解・注意点
- 全ての軍人負傷が自動的にパープルハートになるわけではありません。戦闘関連であること、医療記録など要件を満たす必要があります。
- 心理的外傷(PTSD)や病気は、敵の直接行為による外傷と認められない限り通常対象外です。ただし状況によって例外的に認められる場合があります。
名誉殿堂と保存
パープルハートに関する資料や受章者の記録は、全米パープルハート名誉殿堂(ニューヨーク州ニューウィンザーに所在)などで保存・公開されています。受章者の顕彰や歴史教育の場として重要な役割を果たしています。
参考と手続きの窓口
自分や故人の受章歴を確認したい場合や、紛失したメダルの再発行、過去の戦闘での受章を申請したい場合は、所属していた軍種の人事・栄誉担当部署や国立人事記録センター(National Personnel Records Center)などに問い合わせを行うとよいでしょう。各軍種で具体的な申請書類や求められる証拠が異なります。


