レイモンド・ゴズリング(1926–2015)|DNAのX線回折「写真51」を作製した生物物理学者

レイモンド・ゴズリング(1926–2015):ロザリンド・フランクリンと共にDNAのX線回折写真「写真51」を作製し、二重らせん構造解明に貢献した生物物理学者の軌跡を解説。

著者: Leandro Alegsa

レイモンド・ゴスリングRaymond Gosling、1926年7月15日 - 2015年5月18日)は、イギリスの生物物理学者で、DNAのX線回折研究を通じてDNAの三次元構造解明に重要な貢献をした人物です。キングス・カレッジ・ロンドンで、最初は物理学科のA.R.ストークスのもとで研究を始め、その後モーリス・ウィルキンスが率いる研究グループに所属して博士課程の研究を行いました。

初期の研究と写真の改良

ゴスリングの初期のX線回折写真は、1950年までにウィルキンスから高く評価され、ウィルキンスは「アストベリーのものよりもはるかに優れていて、ほとんど単結晶のようだ」と評しました。1951年にウィルキンスのグループに参加した際、ゴスリングはロザリンド・フランクリンに再配属され、以後2年間にわたり彼女と緊密に協力してDNA繊維のX線回折写真の取り扱い法や試料作成、データ解析法を改良しました。

「写真51」(Photo 51)とその意味

ゴスリングがフランクリンの指導下で作成したX線回折像のひとつが、後に「写真51」と呼ばれる有名なパターンです。この像は、X字状の回折パターンを示し、らせん構造の存在を強く示唆しました。写真51から得られた情報(らせんのピッチが約34 Åで、塩基間の積層間隔が約3.4 Åであることなど)は、DNA二重らせんモデルの構築にとって重要な手がかりとなりました。フランクリンとゴスリングの解析は、特にB型DNAの性質を明らかにするものとして評価されています。

この写真とフランクリンらの解析結果は、フランシス・クリックとジェームズ・D・ワトソンが二重らせんモデルを完成させる上で重要な情報源となりました。ウィルキンスが写真51をウォトソンに見せたこと、あるいはフランクリンの未発表のデータがモデル構築に影響を与えたことは長年にわたり議論されてきましたが、いずれにせよゴスリングとフランクリンの実験的成果が決定的な役割を果たしたことは広く認められています。

論文と評価

ゴスリングは1953年4月にネイチャー誌に掲載されたDNAの二重らせんに関する3編の論文のうち、フランクリンと共著の論文に加わりました。これらの論文と関連研究は、1953年に提唱された二重らせんモデルを支える実験的根拠となり、後にその功績が評価されて、フランシス・クリック、ジェームズ・ワトソン、モーリス・ウィルキンスの3名に1962年のノーベル生理学・医学賞が授与されることにつながりました。ただし、ノーベル賞は存命の研究者に対して与えられるため、1958年に早逝していたロザリンド・フランクリンは受賞対象にはなりませんでした。

その後の経歴と人物像

ゴスリングはその後も生物物理学分野に関わり、試料作成法やX線回折法の技術的改良、教育や普及活動などを通じて後進の育成にも寄与しました。晩年には当時の研究の経緯やフランクリンの役割についての証言や回想を行い、歴史的事実の整理に協力しました。

ゴスリングは2015年5月18日、ロンドンで88歳で亡くなりました。彼の撮影した回折像とそれに基づく解析は、分子生物学の基礎を築く上で重要な遺産を残しています。

2003年のゴズリングZoom
2003年のゴズリング

質問と回答

Q: レイモンド・ゴスリングとは誰ですか?


A: レイモンド・ゴスリングは、DNAのX線回折研究で知られるイギリスの生物物理学者です。

Q:ゴスリングのDNAのX線回折研究はどのようなものだったのですか?


A: ゴスリングのDNAのX線回折研究は、DNAの3次元構造を理解するための最初のステップとなりました。

Q: ゴズリングのロンドン大学キングス・カレッジでの最初の指導教官は誰ですか?


A: キングス・カレッジ・ロンドンの研究グループにおける最初の指導教官は、物理学部のA.R.ストークスです。

Q: 1950年のゴスリングの回折写真について、ウィルキンスはどのようにコメントしていますか?


A: ウィルキンスは、1950年のゴスリングの回折写真について、「アストベリーのものよりずっとよく、ほとんど単結晶のようだ」と評しています。

Q: ロザリンド・フランクリンとはどのような人物で、ゴスリングの研究グループにおける彼女の役割は何だったのでしょうか?


A: ロザリンド・フランクリンは、キングス・カレッジ・ロンドンのモーリス・ウィルキンスの研究グループに参加した科学者です。彼女は、DNAのX線回折写真を改良し、より鮮明な画像を得るために、ゴスリングと密接に協力することになりました。

Q: ゴスリングが作ったDNAのX線回折画像は、何と呼ばれているのですか?


A: ゴズリングが作ったのは、「写真51」と呼ばれるDNAのX線回折像です。

Q: ゴズリングが行った研究の意義とノーベル賞の受賞者は?


A: ゴズリングのDNAのX線回折研究、特に写真51は、1963年のフランシス・クリック、ジェームズ・D・ワトソン、モーリス・ウィルキンスのノーベル生理学・医学賞受賞に直接つながりました。また、ゴスリングは、1953年4月に『Nature』に掲載された3つのDNA二重らせん論文のうちの1つを、ロザリンド・フランクリンと共著で発表しています。


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