リグヴェーダとは|古代インド最古のヴェーダ:起源・神々・1028讃美歌

リグヴェーダは、古代インドの宗教書で、ヒンドゥー教のヴェーダと呼ばれる四つの聖典のうち最古の一つです。サンスクリット語で記された最も古い重要な作品群の一つであり、世界最古級の宗教文献として広く認識されています。特にインドやネパールのヒンズー教徒にとっては儀礼や祈りの中心的なテキストで、多くの詠唱が現在でも宗教的行事で用いられています。成立年代については学術的には一般に紀元前2千年紀後半(概ね紀元前1500〜1000年頃)に編纂されたとされますが、天文現象の解釈や伝承に基づいて4000年前、さらに8000年や1万年前まで遡るとする説も存在し、年代論は研究者の間で議論が続いています。

構成と内容

リグ・ヴェーダは、讃歌(サンスクリットでは sūkta)の集成で、全体は10巻(マンダラ)に分かれています。全体で1,028の讃美歌(sūktas)、約10,600の詩句(ṛc・リク/riks)から成ります。ここで “riks”(リク、サンスクリットでは ṛc)は個々の詩句を指し、リグヴェーダの名はこの語に由来します。

構成上の特徴:

  • 第2〜7巻が最も古い部分とされ、族長や祭司の系譜に基づく讃歌が含まれる。
  • 第1巻と第10巻は比較的後代の編集を受けており、第10巻には哲学的・宇宙論的な讃歌(例:創世讃:ナサディヤ讃(10.129)やプルシャ讃(10.90))が含まれる。
  • 第8・第9巻は混合的で、内容的に古い部分と新しい部分が混在する。

主要な神々とテーマ

リグヴェーダの讃歌は、多くの自然神や儀式上の神々を讃えます。代表的な神々には以下があります:

  • アグニ(Agni):祭火の神、祈りと祭儀の仲介者として重要。
  • インドラ(Indra):雷・戦いの神で、多くの英雄的讃歌の主題。
  • ヴァルナ(Varuṇa)ミトラ(Mitra):秩序と契約を司る神々。
  • スーリヤ(Sūrya):太陽神。
  • ソーマ(Soma):儀礼用飲物の神性化された存在で、祭儀と深く結びつく。
  • その他にウシャス(暁の女神)、ルドラ(後のシヴァに関連する側面)、ヴァーユ(風)などが頻繁に登場します。

言語・詩形・伝承

リグヴェーダは古典サンスクリット以前のヴェーダ語(ヴェーダ・サンスクリット)で書かれ、メトリ(詩形)や発音・アクセントが厳密に保存される口承伝統によって伝えられてきました。詠唱にはガヤトリ(gāyatrī)などの韻律が用いられ、祭儀(ヤジュニャ)における正確な発音とリズムが重視されました。長年にわたる暗誦・師承によって、写本の変異が少なく維持された点が、リグヴェーダを今日まで高い一致度で残す要因となっています。

成立年代・研究史

リグヴェーダの成立年代は、言語学・考古学・比較インド・ヨーロッパ学の観点から研究されています。主流の学説では、初期の口承吟唱は紀元前2千年紀半ばから後半にかけて成立し、最終的な編集がその後行われたとされます。19世紀以降、エドワード・サイデンステッカーやマックス・ミュラーらが注目し、英訳や批判校訂が進みました。近年はMichael Witzelらの研究をはじめ、音声学的・数理的手法や考古学的データとの照合により理解が深まっています。一方で、天文現象の解釈などからより古い年代を主張する研究者・愛好家も存在し、年代論は完全に決着していません。

重要性と影響

リグヴェーダは、その後のヴェーダ文献(ヤジュル・サーマ・アタルヴァ)やブラフマナ文献、アップニシャッドなどに強い影響を与え、ヒンズー教の宗教観・儀礼・神話の基礎を形成しました。リグヴェーダの詩句や句法はマントラや儀礼文の源泉となり、哲学的・宗教的思索の出発点ともなりました。現代でも儀礼、学問、文化史の研究対象として極めて重要です。

関連の研究と訳本

19世紀から20世紀にかけて多数の訳本と研究が出され、代表的な英訳者にはR. T. H. GriffithやMax Müllerがいます。現代では批判版のサンスクリット原文校訂、句読点付きテキスト、音韻研究に基づく研究書、詳細な注釈付き訳注などが利用可能です。日本語訳も部分的に存在しますが、完全訳は学術的に注釈付きで読むのが望まれます。

要点まとめ

  • リグヴェーダはヴェーダ四聖典の最古の一つで、1,028の讃美歌と約10,600の詩句を含む。
  • 構成は10巻(マンダラ)で、第2〜7巻が最も古い核となる部分。
  • 主要な神々はアグニ、インドラ、ヴァルナ、ミトラ、スーリヤ、ソーマなど。
  • 成立年代は学術的には紀元前2千年紀後半が有力だが、諸説あり議論が続いている。
  • 口承による厳格な伝承と詩形・韻律の保持がその保存を支えた。
19世紀初頭のデーヴァナーガリーによるリグヴェーダ(パダパータ)写本。書記による祝福(śrīgaṇéśāyanamaḥ Au3m)の後、1行目に最初のパダであるRV 1.1.1a(agni iḷ e puraḥ-hitaṃ yajñasya devaṃ)が書かれています。ヴェーダのアクセントはアンダースコアと縦のオーバースコアが赤で表示されている。Zoom
19世紀初頭のデーヴァナーガリーによるリグヴェーダ(パダパータ)写本。書記による祝福(śrīgaṇéśāyanamaḥ Au3m)の後、1行目に最初のパダであるRV 1.1.1a(agni iḷ e puraḥ-hitaṃ yajñasya devaṃ)が書かれています。ヴェーダのアクセントはアンダースコアと縦のオーバースコアが赤で表示されている。

質問と回答

Q:『RUGHVED』とは何ですか?


A: 'RUGHVED'は古代インドの宗教書です。

Q:「RUGHVED」の意義は何ですか?


A:ヴェーダと呼ばれるヒンズー教の4大聖典の1つに数えられています。世界最古の宗教書です。

Q: 「RUGHVED」は何語で書かれているのですか?


A: 「RUGHVED」は、サンスクリット語で書かれた最古の著作のひとつです。

Q: なぜヒンズー教徒にとって「RUGHVED」が重要なのですか?


A: アグニ(火の神)、インドラ(天界の主)、ミトラ、ヴァルナ(水の神)、スーリヤ(太陽の神)など、ヴェーダの神々に祈るためのさまざまな讃美歌が書かれています。その言葉は、祈りや宗教的な集まりの際に唱えられます。

Q: 「RUGHVED」はいつ頃書かれたのですか?


A: 3700年前までとされています。

Q:『リグヴェーダ』にはいくつの著作があるのですか?


A:『リグヴェーダ』は10の著作から構成されています。

Q: リグヴェーダにはいくつの讃美歌や詩がありますか?


A: リグヴェーダには、1,028の讃美歌と10,600の詩があります。

AlegsaOnline.com - 2020 / 2025 - License CC3