ロータリーエバポレーター(ロタバップ)とは:原理・構造・使い方と用途
ロータリーエバポレーター(ロタバップ)の原理・構造・使い方・用途を図解でわかりやすく解説。実験・蒸留のポイントや安全対策まで初心者向けに紹介。
ロータリーエバポレーター(またはロタバップ)は、化学実験室で溶媒を蒸発させて除去するためによく使われます。
丸底フラスコに液体を入れ、装置の中に入れます。ロタバップはフラスコを回転させて加熱し、真空にすることで内部の圧力を下げます。この真空により、液体は通常よりも低い温度で蒸発します。液体は気体となり、冷却して別のフラスコに凝縮させて回収する。
液体に溶けている物質があれば、それが蒸発するときに残ってしまいます。塩を溶かした水を蒸発させれば、純粋な水と乾燥した塩が分離されます。科学者はロータリーエバポレーターを使って、固体が溶けている液体を取り除きます。
ロータリーエバポレーターは、エバポレイティングベイスンよりも短時間で使用することができます。蒸留にも使用できます。
原理(どうして溶媒が低温で蒸発するのか)
ロータリーエバポレーターの基本原理は、回転による液面積の拡大と真空にすることによる沸点の低下を組み合わせる点にあります。フラスコを回転させることで薄い液膜ができ、熱伝達が良くなって蒸発が速くなります。さらにシステム内部を真空にすることで、溶媒の沸点が下がり、加熱温度を低く抑えながら効率的に溶媒を除去できます。
構造・主な部品
- 回転ユニット(ローター):丸底フラスコを回転させる機構。回転数は可変で、攪拌と泡立ち防止に重要。
- 加熱浴(バス):温水浴や油浴が用いられ、フラスコを適温に保つ。水浴は一般的な溶媒に、油浴は高温が必要なときに使用。
- 冷却器(凝縮器):蒸気を冷却して液体に戻す部分。コイル型や垂直ガラスチューブ型などがある。
- 受けフラスコ(回収フラスコ):凝縮した溶媒を回収するフラスコ。
- 真空系:真空ポンプ、真空計、バルブ類。真空レベルを調整して熱暴走や突沸(バンピング)を防ぐ。
- シール・ジョイント:ゴムシールやPTFEシール、ガラスコネクタ。気密性を確保するために重要。
- 冷却循環装置(チラー)やドライアイス・冷却トラップ:溶媒蒸気を効率よく凝縮させ、真空ポンプを保護する。
基本的な使い方(手順)
- 対象サンプルを丸底フラスコに入れ、フラスコを乾燥してから装着する。
- 受けフラスコと冷却器を正しく取り付け、冷却水(またはチラー)を流す。
- フラスコを加熱浴に入れ、回転をゆっくり始める(初めは低回転)。
- 真空を徐々にかけ、蒸発の様子を観察する。泡立ちや突沸があれば真空を戻すか回転速度を調整。
- 所望の濃縮・除去が終わったら、真空を戻して回転を止め、加熱浴からフラスコを取り出す。
- 受けフラスコに回収された溶媒を回収・処理する(可燃性・毒性のある溶媒は適切に廃棄)。
操作のポイント・コツ
- 回転速度:液の粘度や量に応じて調整。薄膜ができていることを目安にすると良い。速すぎると液が飛散することがある。
- 浴温度:溶媒の沸点や試料の熱安定性に合わせる。一般に溶媒の常圧沸点より低く設定しても真空下で十分に蒸発する。
- 真空調整:段階的に真空を強める。突沸(バンピング)を防ぐため、最初は弱い真空から始める。
- 抗突沸策:抗突沸剤や攪拌、回転速度の調整、フラスコの予冷などで対処。ガラスボール(アンチバンプボール)を使うこともあるが、取り扱い注意。
- 冷却能力:凝縮器の温度が低いほど回収効率が上がる。揮発性の高い溶媒ではチラーや低温トラップを用いる。
安全上の注意
- 可燃性・有毒な溶媒を扱う際は、換気の良い場所またはドラフトチャンバー内で作業する。
- 真空ポンプの油や蒸気で汚染されることがあるため、必要に応じて冷却トラップを設置する。
- ガラス器具は急激な衝撃や温度変化で破損することがある。取り付け・取り外しは慎重に行う。
- フラスコ内の液量は規定以内に(過満は突沸や液の吸入を引き起こす)。
- 高温の油浴は火災リスクがあるので温度管理と周囲の可燃物に注意する。
メンテナンスとトラブル対処
- 定期的にシール(Oリング、グランドフレッジ)やクランプの状態を点検する。
- 真空ポンプ油はメーカーの指示に従って交換し、油の汚染があれば清掃する。
- ガラス部品に亀裂や欠けがないか点検し、損傷があれば交換する。
- 蒸気がポンプ側に入らないように冷却トラップや吸収剤を使用する。
- 突沸が繰り返し起きる場合は、溶媒の前処理、フラスコの容量を減らす、回転・真空条件を見直す。
主な用途・応用例
- 反応混合物からの溶媒除去(濃縮)
- 溶媒の回収と再利用(溶媒のリサイクル)
- 天然物抽出物や合成生成物の精製前処理
- 低沸点・熱に弱い化合物の濃縮(加熱条件を低く保てるため)
- 簡易的な減圧蒸留や小規模蒸留実験
よくある質問(短答)
Q:どの溶媒がロタバップに向いていますか?
A:水、エタノール、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリルなど一般的な有機溶媒はよく使われます。ただし毒性や可燃性に注意し、凝縮器・トラップの条件を合わせてください。
Q:溶媒が急に泡立つ(突沸)時は?
A:真空を弱める、回転速度を上げるか下げる(条件による)、加熱温度を下げる、または抗突沸剤を用いる。重症の場合は真空を切って安全に停止してください。
まとめ
ロータリーエバポレーター(ロタバップ)は、化学実験で溶媒を効率よく除去・回収するための基礎機器です。回転と減圧で低温でも蒸発を促進できるため、熱に弱い試料や時間短縮が必要な処理に適しています。安全対策と適切な操作・メンテナンスを行えば、非常に有用で汎用性の高い装置です。

真空ポンプ(左)とヒーター(右)を備えたロータリーエバポレーター(中央)。
質問と回答
Q: ロータリーエバポレーターとは何ですか?
A:ロータリーエバポレーター(ロタバップ)は、化学実験室で一般的に使用されている、蒸発によって溶媒を除去する目的の装置です。
Q:ロータリーエバポレーターはどのように溶媒を除去するのですか?
A:丸底フラスコに液体を入れ、装置で回転させながら加熱していきます。真空にすることでフラスコ内の圧力を下げ、通常よりも低い温度で液体を蒸発させます。蒸発した液体は、冷却して別のフラスコに凝縮させ、回収します。
Q:蒸発の過程で、液体に溶けている物質はどうなるのでしょうか?
A:液体に溶けている物質があれば、蒸発するときに残ります。
Q: 塩を溶かした水をロータリーエバポレーターで蒸発させるとどうなるのでしょうか?
A: 塩を溶かした水をロータリーエバポレーターで蒸発させると、純水と乾燥塩に分離されます。
Q: なぜロータリーエバポレーターは、固体が溶けている液体を取り除くのに便利なのですか?
A:ロータリーエバポレーターは、真空を作り出し、通常よりも低い温度で液体を蒸発させることができるため、科学者は固体が溶けている液体を除去するためにロータリーエバポレーターを使用します。
Q:ロータリーエバポレーターは、蒸発槽よりも早く使用できますか?
A:蒸発缶に比べ、短時間で使用できることが多いようです。
Q:ロータリーエバポレーターは他にどのような用途で使用することができますか?
A:蒸留にも使用できます。
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