仙骨とは?解剖学的構造・役割・痛みの原因をやさしく解説

仙骨の構造から役割、痛みの原因と対処法まで、図解ややさしい解説でわかりやすく紹介。腰痛や尾骨痛の理解に役立つ入門ガイド。

著者: Leandro Alegsa

人間の場合、仙骨は大きな三角形のです。背骨の一番下にあり、骨盤の上部と背面部にある。

2つの腰骨の間にくさびのように収まっている。上部は最後の腰椎と、下部は尾骨とつながっている。人生の前半で、これらの骨は徐々に融合していきます。

仙骨は正面を向いて凹んでおり、前方に傾いています。仙骨は4つの骨とつながっています。

仙骨の解剖学的構造(やさしい説明)

仙骨は1つの大きな三角形の骨に見えますが、もともとは5つの小さな仙椎(S1〜S5)が融合してできています。表面や内部には次のような特徴があります。

  • 仙骨頂(promontory):上端部で、最後の腰椎と接する位置。
  • 仙骨孔(sacral foramina):左右に並ぶ小さな穴で、神経や血管が通ります。
  • 仙骨管(sacral canal):脊髄の終わり付近から続く管で、馬尾神経の枝が通ります。
  • 腸骨耳状面(auricular surface):側方にある面で、腸骨と接して左右の骨盤(腸骨)と仙腸関節を作ります。
  • 尾骨との接続:仙骨の下面は尾骨(尾椎)とつながります。

仙骨の役割

  • 体重を上半身から骨盤・下肢に伝える「橋渡し」の役割。
  • 骨盤を安定させ、歩行や立位の支持を助ける。
  • 仙骨の孔を通る神経が下肢や骨盤内臓器の感覚・運動に関与する。
  • 出産時には骨盤の形や可動性が重要で、仙腸関節や仙骨の位置が影響する。

仙骨が痛む主な原因(わかりやすく)

仙骨の痛みは原因が多岐にわたります。代表的なものを挙げます。

  • 仙腸関節障害:仙骨と腸骨の接合部にズレや炎症が起きると、腰やお尻、下肢に痛みが出ます。
  • 筋・靭帯の負傷:転倒や急な動作、過度の負荷で周囲の筋肉や靭帯を痛めることがあります。
  • 椎間板や腰椎由来の痛み:腰椎の問題(椎間板ヘルニア、変性など)が関連して放散痛を生じる場合があります。
  • 骨折(疲労骨折):スポーツや骨粗鬆症により仙骨にひびが入ることがあります。
  • 関節炎・変形性関節症:加齢やリウマチなどで仙腸関節に炎症や変形が生じる。
  • 感染や腫瘍:まれですが、感染(骨髄炎など)や癌の転移が原因になることもあります。
  • 妊娠・分娩:ホルモンや荷重の変化で仙腸関節に負担がかかりやすく、痛みが出ることがあります。

症状の特徴

  • 腰の下部やお尻、臀部の片側または両側の痛み
  • 座る・立ち上がる・階段昇降で悪化する痛み
  • 前屈や回旋で痛みが強まることがある
  • 下肢への放散痛やしびれ(神経が関与する場合)
  • 腫れや発熱があれば感染の可能性を考える

診断方法(簡単に)

  • 問診と視診・触診:痛みの場所、動作での変化、既往歴を確認。
  • 整形外科的テスト:FABERテストやGaenslenテストなど、仙腸関節の評価に使われます。
  • 画像検査
    • 単純X線:骨の形や明らかな骨折・変形の確認。
    • CT:骨の詳しい評価。
    • MRI:軟部組織や神経根、炎症や腫瘍の評価に有用。
    • 骨シンチグラフィー:疲労骨折や骨代謝の活性化を調べる場合。
  • 診断的ブロック(麻酔注射):疑わしい仙腸関節に局所麻酔を注入し、一時的に痛みが消えるかで診断の手助けをします。

治療と対処(まずは保存療法)

多くの場合、まずは保存的(手術以外)の治療が行われます。

  • 安静と活動修正:急性期は負荷を避ける。
  • 薬物療法:鎮痛薬(NSAIDs)、筋弛緩薬など。
  • 物理療法・リハビリ:ストレッチ、体幹・臀部の筋力強化、姿勢改善。
  • 装具:仙腸関節ベルト(骨盤ベルト)で安定させることがある。
  • 注射療法:ステロイドや局所麻酔の関節内注射で炎症と痛みを抑える。
  • 低侵襲治療・外科的治療:保存療法で改善しない場合、仙腸関節固定術(融合)などを検討する場合があります。

予防と日常ケア

  • 体幹(腹筋・背筋)と臀部の筋力を維持する。
  • 柔軟性を保ち、股関節やハムストリングのストレッチを行う。
  • 正しい姿勢で座る・立つ。長時間同じ姿勢を避ける。
  • 体重管理で腰部への負担を減らす。
  • 妊娠中は骨盤ベルトや専門家の指導を受けるとよい。

セルフケアでできる簡単な運動例

  • 膝抱えストレッチ:仰向けで片膝ずつ胸に引き寄せる(腰の張りを軽くする)。
  • ブリッジ(お尻上げ):臀部と体幹を強化。
  • キャット・カウ(背骨の柔軟運動):腰部の可動域を改善。

受診の目安(速やかに医師へ相談すべき場合)

  • 強い痛みが続き日常生活に支障がある場合
  • 脚のしびれや麻痺、排尿・排便障害がある場合(神経症状の可能性)
  • 発熱や体重減少、癌既往がある場合(感染や転移の疑い)
  • 外傷(転倒など)後に激しい痛みがある場合

まとめ:仙骨は背骨の最下部にあり、骨盤の安定や体重伝達に重要な役割を果たします。痛みの原因は多様で、日常の筋・靭帯の負担から関節疾患、骨折、まれな感染や腫瘍まで幅があります。まずは安静・薬物・理学療法で改善を図り、症状が強い・長引く場合は専門医の診察と画像検査を受けることが大切です。



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