バラードとは詩の一種である。音楽に合わせた物語であることが多い。バラッドは中世末期から19世紀までイギリスやアイルランドの詩や音楽で親しまれていた。アメリカ大陸、オーストラリア、北アフリカでも使われた。多くのバラッドが書かれ、一枚もののブロードサイドとして販売された。18世紀以降の詩人や作曲家はこの形式を用いた。このようにして、叙情的なバラッドが作られた。19世紀後半には、バラッドはポピュラーなラブソングのスロー形式となった。現在では、ラブソング全般、特にポップスやロックのパワーバラードと同義語として使われることが多い。
定義と主要な特徴
バラードはもともと物語性の強い詩であり、事件や恋愛、悲劇、伝説などを比較的簡潔な言葉で語る点が特徴です。歌として伝わることが多いため、反復(リフレイン)や決まった韻律を用いることが一般的です。伝統的な英語のフォーク・バラッドでは、いわゆる「バラッド・スタンザ(ballad stanza)」が用いられ、4行連(第一・三行が4強勢、第二・四行が3強勢)で、通常は第2行と第4行が韻を踏む(ABCB)と説明されます。
歴史の流れ
中世から近世にかけて、バラッドは庶民の口承伝承や街頭での歌唱を通じて広まりました。印刷技術が普及すると、簡単な一枚刷りの歌詞冊子(ブロードサイド)が盛んに流通し、出来事やスキャンダル、恋物語を広く伝えました。19世紀になると、学術的な収集も進み、アメリカ英語圏やイギリスで数多くのバラッドが保存されました(例:フランシス・ジェームズ・チャイルドによる「Child Ballads」の収集)。
一方で、18〜19世紀の詩人たちはフォーク・バラッドの形式や語り口を取り入れて「文芸的なバラッド(literary ballad)」を創作しました。これにより、物語性を持ちながらも詩的技巧の高い作品が生まれ、ロマン主義期の詩作に影響を与えました。
音楽としてのバラード — 現代の意味
現代では「バラード(バラッド)」は、特にポップスやロックにおいて「ゆったりとしたテンポで感情を重視するラブソング」を指すことが多くなりました。パワーバラードは、静かなヴァースからドラマチックに盛り上がるコーラスやエレキギターのソロへと展開する様式を指し、1980年代のロックで人気を博しました。J-POPでも「バラード」はバラード曲として分類され、歌詞の叙情性やメロディの叙情的な流れ、感情表現が重視されます。演歌やシティポップのスローな曲も日本では「バラード」と呼ばれることがあります。
世界各地の類似形式
バラッドに相当する叙事詩的・物語的な歌唱は世界各地に存在します。たとえばスペイン語圏の「ロマンセ(romance)」、フランスの「バラード(ballade)」や中世の叙事詩など、地域ごとに形式や詩格は異なりますが、物語を歌う文化という点で共通しています。現代のポピュラー音楽では、各国の伝統的な叙事歌が現代的な編曲で蘇る例も多く見られます。
主な分類と例
- フォーク・バラッド(伝承バラッド):口承で伝わった物語歌。匿名のものが多く、地域差がある。
- 文芸バラッド(リテラリーバラッド):19世紀以降の詩人が意図的にバラッドの様式を用いて書いた作品。
- ポピュラー・バラード:現代のラブソングやスローナンバー。情緒的な表現とメロディの美しさが重視される。
まとめ(要点)
バラードは歴史的には物語を歌う詩であり、韻律や反復を用いて口承・印刷を通じて伝わってきました。19世紀以降は詩的な形式としても用いられ、さらに20世紀以降は「スローで感情的なラブソング」を指す一般名詞として広く使われるようになりました。伝統的なフォーク・バラッドと現代のポップスにおけるバラードは目的や表現手段が異なりますが、どちらも物語性や感情の表現を重んじる点でつながっています。




