唾液腺がん(唾液腺腫瘍)とは:症状・原因・検査・治療の概要

唾液腺がんの症状・原因・検査・治療をわかりやすく解説。耳下腺に多い発症特徴や早期発見のポイント、治療法と経過を総合的に紹介。

著者: Leandro Alegsa

唾液腺がんは、唾液を作る唾液腺の組織から発生する悪性腫瘍です。唾液腺は大きく分けて大唾液腺(耳下腺、顎下腺、および舌下腺)と小唾液腺口蓋、鼻腔や口腔粘膜に散在する小さな分泌腺)に分類されます。唾液腺腫瘍自体はまれで、全ての頭頸部腫瘍のうち約2%を占め、その大部分は耳下腺に発生します(頭頸部腫瘍のうち)。発生部位や組織型によって病気の性質や治療方針が大きく異なります。

発生部位・頻度の特徴

  • 耳下腺(大唾液腺):唾液腺腫瘍の約70〜80%がここに発生します。耳下腺腫瘍の多くは良性ですが、悪性も起こります。
  • 顎下腺:約10〜15%。悪性の割合は耳下腺よりやや高いことがあります。
  • 舌下腺・小唾液腺:まれですが、小唾液腺に発生する場合は悪性の割合が比較的高い傾向があります。

主な症状

  • 顔や顎のしこり・腫れ(数週間〜数か月持続することが多い)
  • しこりが硬い、徐々に大きくなる
  • 痛み、圧痛(感染や神経浸潤を示すことがある)
  • 顔面神経麻痺や片側の顔の運動障害(耳下腺腫瘍で特に注意)
  • 口の中のしこり、出血、嚥下(えんげ)や発音の障害、持続するしびれ
  • 頸部(首)のリンパ節腫脹 — 転移の可能性

原因・危険因子

唾液腺がんの明確な原因は不明ですが、いくつかの要因が関連すると考えられています。

  • 放射線被曝の既往(頭頸部への放射線治療歴など)
  • 職業的曝露(鉱物油や特定の化学物質など)
  • 喫煙や重度のアルコール摂取は一部の型でリスクと関連する可能性
  • 既存の良性腫瘍(例えば多形腺腫)が長期間存在し、悪性化することがある(carcinoma ex pleomorphic adenoma)
  • 遺伝的素因・稀な遺伝性症候群が関与する例も報告されているが稀

検査と診断

  • 診察:腫瘤の位置、大きさ、硬さ、可動性、顔面神経機能の評価を行います。
  • 画像検査:超音波検査(頸部リンパ節評価を含む)、造影CT、MRI(軟部組織や神経浸潤の評価に有用)、場合によってはPET-CTで局所・遠隔転移を検索します。
  • 細胞診・組織診:細針吸引(FNA)やコアニードル生検で良性か悪性か、ある程度の組織学的情報を得ます。小唾液腺や口腔内病変では口内生検が必要なことがあります。
  • 術前評価:病期(TNM分類)を確定し、治療方針(手術範囲、頸部郭清、放射線照射の必要性)を決めます。

主要な病理学的種類

唾液腺腫瘍には多様な組織型があり、代表的な悪性腫瘍は以下の通りです:

  • ムコ表皮様癌(Mucoepidermoid carcinoma) — 唾液腺悪性腫瘍で最も一般的な型の一つで、低〜高悪性度に分かれます。
  • 腺様嚢胞癌(Adenoid cystic carcinoma) — 神経周囲浸潤(perineural invasion)や遅発性転移(特に肺)を起こしやすく、長期予後が問題となりやすい。
  • 漿液性(アシニック細胞)癌(Acinic cell carcinoma) — 比較的良好な予後のものが多い。
  • 唾液管癌(Salivary duct carcinoma)やcarcinoma ex pleomorphic adenoma など、高悪性度のものも存在します。

治療の概要

  • 外科手術:根治を目指す第一選択治療です。耳下腺では部分切除や全摘(顕微鏡下での顔面神経温存を試みることが多い)を行います。腫瘍の浸潤や神経浸潤が強い場合は顔面神経を切断することが必要になる場合もあります。頸部リンパ節転移がある、あるいは高リスク例では頸部郭清(neck dissection)を行います。
  • 放射線治療:術後補助療法として高悪性度、陽性断端、神経侵襲、頸部転移がある場合に行われます。手術不能例や根治切除が難しい局所進行例の代替・補助療法としても用いられます。
  • 化学療法:進行・転移性で局所療法が困難な場合に用いられますが、効果は腫瘍型により限られており、標準的な全身化学療法は確立されていません。分子標的療法や免疫療法、臨床試験が検討されることがあります。特定のサブタイプ(例:唾液管癌でのHER2陽性、アンドロゲン受容体陽性など)では標的治療が適応となる場合があります。
  • 再建とリハビリ:顔面神経障害に対するリハビリ、顔面再建術や義歯など機能・外観の回復を考慮します。

予後と経過観察

予後は腫瘍の組織型、悪性度(低・高悪性度)、病期(局所進行具合やリンパ節転移、遠隔転移の有無)、手術で切除できたか(断端の状態)などにより大きく異なります。一般に:

  • 低悪性度のものや早期で完全切除できた場合は良好な予後が期待されます。
  • 腺様嚢胞癌のように局所再発や遅発性の遠隔転移が起こりやすい腫瘍では、長期の経過観察が必要です。
  • 高悪性度・進行例では再発や遠隔転移のリスクが高く、生存期間が短くなる場合があります。

定期的な経過観察(診察、必要に応じて画像検査)は重要です。再発は早期に発見し治療に結びつけることが転帰改善に有利です。

受診の目安(いつ医師に相談すべきか)

  • 顔や顎、口の中にしこりや腫れが2週間以上続く場合
  • しこりが硬い、急速に大きくなる、痛みやしびれ、顔面の麻痺が出てきた場合
  • 首のリンパ節が腫れている、持続的な口腔内の潰瘍や出血がある場合

まとめ:唾液腺がんはまれですが、発生部位や組織型により性質や治療が異なります。早期発見と適切な診断(画像検査・生検)に基づく外科治療が基本で、必要に応じて放射線療法や化学療法を組み合わせます。疑わしい症状があれば耳鼻咽喉科や頭頸部外科を受診してください。



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