スウェーデンアカデミーとは|歴史・ノーベル文学賞・辞書の役割

スウェーデンアカデミーの歴史・ノーベル文学賞選考と辞書編纂の役割を詳解する入門ガイド。

著者: Leandro Alegsa

スウェーデンアカデミー(スウェーデンSvenska Akademien)は、1786年にスウェーデン国王グスタフ3世によって設立されました。設立のモデルは史上初のアカデミーであるAcadémie françaiseで、以後スウェーデン語と文学の発展を支える中核的な機関となっています。アカデミーの正会員は18名で、各会員は選出後原則として終身在任します。アカデミーのモットーは「Talent and Taste」(スウェーデン語で「Snille och Smak」)です。

目的と主な活動

アカデミーは主に以下のような活動を行っています。

  • 言語と文学の振興:スウェーデン語と文学の発展・普及を支援する。
  • 辞書の編集・刊行:スウェーデン語の標準と歴史を示す辞書を編纂する(後述)。
  • 賞の授与・助成:ノーベル文学賞をはじめ、各種の文学賞や奨学金を運営・授与する。
  • 文化的審議:言語の維持・改善に関する助言や文化政策への寄与。

アカデミーは自らを「Svenska folkets renhet, styrka och höghet」(スウェーデン語の純潔、力、そして崇高さ)のために活動する機関と位置づけていますが、この「言語の純潔」という立場は、時に変化する語彙や外来語の受容をめぐる議論を呼ぶこともあります。

ノーベル文学賞と選考

1901年以来、アカデミーはノーベル文学賞の受賞者を決定しています。アルフレッド・ノーベルの遺言に基づき授与されるこの賞は、世界で最も権威ある文学賞の一つです。アカデミー内で専門の選考手続きを行い、候補者の推薦・検討を経て最終的に受賞者を決定します。選考は会員の討議と投票によるため、文学的価値の評価に重きを置く一方で、政治的・社会的背景や国際関係が話題になることもあります。

辞書の役割 — SAOL と SAOB

アカデミーはスウェーデン語を守り、整えるために二種類の主要な辞書を発行しています。

  • Svenska Akademiens ordlista(SAOL):単一冊でまとまった用例中心の語彙辞典で、綴りや語形、発音など標準的な綴りを示す「正書法辞典」としての役割が強いです。日常的・実務的な語の扱いを規範として示すため、出版や教育現場で広く参照されます。2015年時点では第14版が刊行されています。
  • Svenska Akademiens ordbok(SAOB):多巻にわたる歴史的・用例的な大辞典で、語の意味変遷や古い用法を詳しく記述する点で、英語のオックスフォード英語辞典のような性格を持ちます。最初の巻は1898年に印刷され、作業は長期にわたって続けられており(原文時点では「V」まで到達している、などの進行が報告されています)、現在も増補・改定が進行中です。

建物と会合

アカデミーは歴史的に重要な建物、現在のストックホルム証券取引所ビル(Börshuset)を使用しています。建物の下階はもともと取引所(現在の証券取引所)として、上階は舞踏会や大晦日のパーティーなどの社交場として使われていました。1786年当時、上階の舞踏室は舞踏室はストックホルムで最も大きく、冬でも暖房が効いていたため、国王はアカデミーにその使用を提案したと言われます。それ以来アカデミーはここで年次会議を行い、1914年には上階を恒久的に使用する権利を得ました。ここで日常的な会議や各種選考(特にノーベル賞の受賞者選定)が行われています。

組織と会員選出

アカデミーの正会員は18名で、それぞれの席に対して新しい会員が選出されます。会員の選出は既存の会員による投票で行われ、文学者や言語学者、文化人などが選ばれます。会員は基本的に終身在任であり、会員同士の議論を通じてアカデミーの判断が形成されます。

近年の出来事と改革

アカデミーは長い歴史の中で高い権威を築いてきましたが、近年は内部のスキャンダルや透明性・ガバナンスをめぐる批判に直面したこともあります。特に2018年には性的不祥事をめぐる問題や財務上の不適切な関係が表面化し、複数の会員の辞任やノーベル文学賞の選考延期につながりました。この一連の事態を受けて、アカデミーは規約や運営体制の見直しを進め、会員選出や利益相反の管理、外部監査の導入などの改革を行っています。これにより、透明性の向上と信頼回復を図りつつ、従来の文学・言語活動を継続しています。

以上のように、スウェーデンアカデミーは文学賞の授与機関であると同時に、スウェーデン語の規範と歴史を記録・整備する重要な役割を担う学術文化団体です。王立アカデミーの一つとして、国内外の文学・言語界に大きな影響を及ぼし続けています(スウェーデン王立アカデミーの一員)。

質問と回答

Q:スウェーデン・アカデミーとは何ですか?


A:スウェーデン・アカデミーは、1786年にスウェーデン国王グスタフ3世によって設立された組織です。史上初のアカデミーであるアカデミー・フランセーズをモデルとしています。スウェーデン・アカデミーには18名の会員がおり、そのモットーは「才能と味覚」です。

Q:スウェーデン・アカデミーの役割は何ですか?


A:スウェーデン・アカデミーの主な目的は、毎年ノーベル文学賞を受賞する人を決定することです。また、Svenska Akademiens ordlista (SAOL) とSvenska Akademiens ordbok (SAOB) という2つの辞書を発行し、スウェーデン語を美しく保つための活動も行っています。

Q: スウェーデン・アカデミーの会議はどこで行われるのですか?


A: スウェーデン・アカデミーは、現在ストックホルム証券取引所ビルとして知られている建物で会合しています。この建物は、以前はダンスや年越しパーティーなどに使われていましたが、1914年に、自分たちの会合のために永遠に使用する許可を得ました。

Q:スウェーデン・アカデミーのメンバーは何人いるのですか?


A:スウェーデン・アカデミーのメンバーは全部で18名です。

Q:SAOLとは何ですか?


A:SAOLはSvenska Akademiens ordlistaの略で、「スウェーデン・アカデミーの単語リスト」と訳されています。アカデミーが発行する辞書で、1冊の大きな本になっており、2015年現在で第14版まで出ています。

Q:SAOBとは何ですか?


A:SAOBはSvenska Akademiens ordbokの略で、「スウェーデン・アカデミーの辞書」と訳されています。オックスフォード英語辞典と同じように多くの巻から構成されており、2015年には「V」で始まる単語まで作業が進みました。

Q:グスタフ3世はなぜこの組織を立ち上げたのですか?


A:グスタフ3世は、当時、冬の時期に暖房が効く場所が少なかったため、ダンスや忘年会などの冬のイベントを開催できる場所を求めて、この団体を立ち上げたのです。


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