スウィートブレッド(英: sweetbread、仏: ris)は、特に子牛(リス・ド・ボー)や子羊(リス・ダグノー)の胸腺や膵臓の料理名を指します。一般には胸腺(thymus)と膵臓(pancreas)のやわらかい組織が使われ、繊細でクリーミーな食感が特徴です。牛肉や豚肉の個体でも同様の部位を用いたスウィートブレッドが流通しますが、風味や大きさは動物の種類や年齢によって変わります。
名称と部位
英語の「sweetbread」やフランス語のrisは、食文化によって指す部位や呼び方が多少異なります。胸腺は若い動物で発達しており、成熟すると小さくなるため、子牛・子羊のものが好まれることが多いです。他にも、耳下腺、舌下腺、睾丸(ロッキー山脈の牡蠣など)など、食べ物として使われる様々な腺が「甘草」と呼ばれてきました。地域や料理人によっては、胸腺の中心部を別名で呼んだり、左右の塊を区別して扱うこともあります。
主な調理法
スウィートブレッドは下処理が重要です。一般的な調理手順は次の通りです。
- 血抜きと塩水での浸し洗いで汚れを取り除く。
- 軽く湯通し(ブランチング)してから、冷水で冷やし血合いや余分な脂肪を取りやすくする。
- 牛乳や水に数時間浸して臭みを取ることがよく行われる。
- 外側の薄い膜を丁寧に取り、形を整える。
下処理後は、パン粉をまぶして揚げたり、バターでソテーして表面を香ばしく仕上げたり、グリルやローストで火を通したりします。詰め物やパテ、テリーヌなどに使われることも多く、濃厚なソース(ブラウンバター、ケーパーやレモンを使ったソース、クリーム系ソースなど)とよく合います。揚げたりしますの他に、ソテー、コンフィ、低温調理した後に焼き目を付けるなどの調理法も一般的です。アルゼンチンのアサードのようなラテンアメリカの料理ではグリルされることがあり、トルコ料理ではパンに挟んで提供されることもあります。
歴史と語源
"sweetbread"という語は16世紀頃から記録に現れますが、名前の由来ははっきりしていません。sweet(甘い)は胸腺などの味わいがややまろやかであることを指すという説があり、breadは古語のbrede(焼いた肉を意味する語)に由来する可能性が指摘されています。フランス料理では古くから高級食材として扱われ、クラシックなビストロ料理や高級レストランの前菜・主菜に用いられてきました。現代でも一部のシェフがテクスチャーと風味を生かしてメニューに取り入れています。
栄養・取り扱い上の注意
スウィートブレッドは臓物(内臓)に分類され、たんぱく質が豊富で滑らかな脂質を含みます。他の内臓と同様にビタミンB群やミネラルも含まれますが、コレステロールやプリン体が多めであるため摂取は適量を心がけてください。また生のままでは食中毒のリスクがあるため、十分に下処理と加熱を行うことが重要です。購入後は冷蔵保存し、できるだけ早く調理するか、適切に冷凍して保存します。
料理での役割と現代の評価
かつては世界中の多くの地域で珍味として親しまれてきましたが、現代では好みが分かれる食材でもあります。柔らかくクリーミーな食感と濃厚な風味を好む人には高く評価され、フォーマルなコース料理の素材として使われることが多いです。一方で内臓を敬遠する消費者もいるため、流通量は限定的で専門店や高級レストランで見かけることが多くなっています。
調理の際は下処理を丁寧に行い、適切な火入れと味付けで素材の良さを引き出すと、スウィートブレッドは非常に魅力的な一品になります。

